「わお〜ん」
遠吠えが聴こえる。
「わお〜ん。わお〜ん」
コヨーテであろうか。
「わお〜ん。わお〜ん。わお〜ん」
その声は悲しげである。
遠吠えの方角にズームしてみよう。
ぐぐぐぐっ
遠吠えの主は、北小岩くんであった。
がらっ
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小林 |
「俺は1キロ離れたところに
おったんやが、
お前の遠吠えが聞こえた。
何があったんや」
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北小岩 |
「レスです」
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小林 |
「お前のレスなど、
生まれた時からやないか」
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北小岩 |
「わたくしのレスは
ふんどしの奥に
しまっておきます。
そうではなくて、
日本の夫婦でレスの方々が
実に半数を
超えているのではないか
という記事を読んだのです」
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小林 |
「ほほう」
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北小岩 |
「毎日気持ちいいことを
するチャンスがございますのに
いたさない。
世の中にこれほど
もったいないことが
ございましょうか!
うう・・・」
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弟子の目から涙がこぼれた。
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小林 |
「お前の気持ちも
わからんでもないがな。
俺たちの町は
世界でも有数の
レスが少ない地域なんや」
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北小岩 |
「なぜですか」
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小林 |
「この町では夫が妻に、
妻が夫に、どちらが相手に
よりいやらしいことをしたかを
競い、
勝った方に多額の金が
手渡されるんや」
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北小岩 |
「存じませんでした!
お金はどこから出るのですか」
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小林 |
「町の金庫からや」
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北小岩 |
「わたくしたちの町は
極貧なのではございませんか」
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小林 |
「基本極貧や。
だが、数十年に一度、
ドすけべなものを開発して
財をなす
スケベ富豪を輩出しとるやろ」
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北小岩 |
「はい。
何か所かスケベ御殿が
建っております」
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小林 |
「歴代のスケベ富豪が
『いやらしいことのみに使う』
ことを条件に、
莫大な財産を町に寄付しとる。
だからスケベ資金は潤沢なんや」
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北小岩 |
「そうなのですか!
でもなぜレスが
世界的に少ないのですか」
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小林 |
「最初は夫も妻も
いやらしいことをされても
まったく動じないそぶりを
しとるんやが、
徐々に耐えきれなくなって
コトにおよぶからや」
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北小岩 |
「夫の勝ちか妻の勝ちか、
誰が審判をするのですか」
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小林 |
「町に
『アンパいや〜ん!』
という者が巡回しとってな。
彼はコウモリのような
特殊な超音波を放ち、
反響してくる音で
どちらがいやらしいことをしたか
判断できるんや」
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町にレスが少ないことより、
『アンパいや〜ん!』の特殊能力の方が
気になりますね。
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