ぷ〜っ
どこからか、不穏な音が聞こえる。
ぷ〜っ ぷぷっ
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小林 |
「どや」
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北小岩 |
「なかなかの切れ味だと
思います」
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小林 |
「そやろ」
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その音は屁以外には考えられない。
ぷっ ぴ〜〜〜
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北小岩 |
「先生!
今のはどのように!?」
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小林 |
「屁をした瞬間に、
肛門を半分閉じながら
突き出し、
穴にひねりをきかせ
屁をカーブさせたんや」
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北小岩 |
「口笛を吹くときの要領で、
さらにひねりを
加えたのですね!
さすがでございます!!」
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いったい何があるというのだろう。
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北小岩 |
「今日は四町交流会。
先生とわたくしが
今年の町の代表です」
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小林 |
「場所は四町が交わった
銭湯やな」
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先生の町と隣町。
先生の町の前の町と、斜め前の町。
四町の境になる場所に銭湯「ひまし湯」がある。
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北小岩 |
「通称『アヌスの湯』で
ございますね」
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浴槽に四町が交わる点が記され、
そこにケツの穴のようなマークが
描かれているのでそう呼ばれるのだ。
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小林 |
「いざ出陣や!」
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北小岩 |
「おう!」
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四町は基本的に仲が悪い。
そこで年に一度、
ひまし湯に集い交流するのだが。
四町の代表が車座になって
入浴している状況を見てみよう。
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隣町
代表 |
「俺たち仲わりいけど、
年に一度ぐらい
休戦してもいいよな」
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斜め
前の
町代表 |
「個人的な恨みが
あるわけでもねえしな」
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その刹那。
ぷ〜っ
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前の町
代表 |
「誰か屁をこきやがったな。
むっ、
屁の泡が
こっちに向かってくる」
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ばしゃっばしゃっ ぱん!
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隣町
代表 |
「臭え!
おめえが屁を
こっちに流したから、
吸い込んじまっただろ。
くらえ!」
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ぷ〜っ
彼の屁泡が
先ほど屁の流れを変えたヤツのもとを目指す。
ばしゃっばしゃっ ぱん!
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斜め
前の
町代表 |
「臭え!
お前、さっきから
周りのヤツに
屁え嗅がせてんじゃねえよ。
くらえ!」
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ぷ〜っ
ばしゃっばしゃっ
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小林 |
「臭せえやないか!
お前らがその気なら、
俺も容赦せん!」
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ぷっ ぴ〜〜〜
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前の町
代表 |
「あははは!
こいつ、誰もいないところに
屁を流しやがった」
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くくくっ
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前の町
代表 |
「げっ!
屁泡が曲がってきやがった」
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ぱん!
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前の町
代表 |
「臭え!」
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小林 |
「ざまあみやがれ!
この日のために、
俺は屁をカーブさせる修行を
積んだんや」
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前の町
代表 |
「この野郎!
俺も本気でいくぞ!!」
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ぷ〜〜〜〜〜〜〜〜っ ぱん!
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北小岩 |
「臭いでございます〜〜〜!」
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四町による屁大戦は延々と続いた。
世界でも例を見ませんが、
これも交流会のひとつの形として
有効かもしれませんね。 |