小林 |
「バレンタインデーやな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「昨年は最高のプレゼントを
もらったな。
生まれてから
1、2を争うほどの幸せやった」
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北小岩 |
「わたくしもでございます」
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小林 |
「今年も現れるという噂や」
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北小岩 |
「そうしていただけると、
また一年間
笑顔で過ごせます」
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バレンタインデーではあるが、
チョコレートをもらったわけではなさそうだ。
昨年の今日に、時計の針を戻してみよう。
ざっざっざっ
ぶるぶるぶる
町の男たちが震えている。
お仕置き隊の主要メンバーが、
少人数の大名行列のごとく
通り過ぎていくのである。
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小林 |
「行列の後方から、
見なれんヤツが走ってくるな」
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北小岩 |
「なまはげさんのようで
ございます」
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「屁をこいたヤツは
おらんかね」
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北小岩 |
「ただのなまはげではなく、
『屁のなまはげ』さんの
ようです」
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ダダッ
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北小岩 |
「あっ、
お仕置き隊のしんがりのお尻に
鼻を潜り込ませました。
大変なことになります!」
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くんくんくん
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屁の
なまはげ |
「お前は10分前に、
とんでもなく
臭せえ屁こいたな!」
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この町の男でお仕置き隊員に狼藉を働く者は
皆無である。
そんなことをしたら、金玉を失ってしまう。
しかし、隊員はあり得ない出来事に
狼狽してしまったのだ。
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お仕置
き隊員 |
「なっ、なっ、なっ、なっ、
何言ってんのよ!」
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ぴゆ〜〜〜
屁のなまはげは、
信じられないスピードで逃げていった。
彼がどこの誰かはわからない。
先生と北小岩くんは笑いをかみころし、
家に戻ってから快哉を叫んだ。
果たして今年、
再びヒーローは現れるのだろうか。
ざっざっざっ
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北小岩 |
「お仕置き隊の方々が
通り過ぎてゆきます」
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小林 |
「見てみい。
ヤツらの後ろから、
屁のなまはげが
全力で走ってくるで!」
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屁の
なまはげ |
「屁をこいたヤツはおらんかね」
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北小岩 |
「お仕置き隊のしんがりのお尻に
鼻を入れました!」
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くんくんくん
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屁の
なまはげ |
「むっ!
お前、30分前に糞っぺを」
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お仕置
き隊
しんがり |
「それがどうした!」
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ぐぎゅんっ
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屁の
なまはげ |
「しまった!
ケツに超強力とりもちが
ついてる。
鼻がとれない!」
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ぼくっ がっ ぐがっ ごげっ
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屁の
なまはげ |
「うっ!」
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氏は金玉空手の有段者である
他の隊員の蹴りを何発も股間に受け
悶絶した。
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北小岩 |
「酸素ボンベのようなものを
装着されてしまいました」
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お仕置
き隊
しんがり |
「これは屁ボンベだ。
町で一番、いや、
日本でも有数の臭い屁の
『屁腐礼放(へぐされはなつ)』の
糞っ屁を一年間ためたんだよ。
くらえ!」
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ぷ〜〜〜〜〜!
ぶぶぶぶぶ〜〜〜〜〜〜!
バルブを開けると、
氏の鼻と口に凄まじい勢いで屁が流れ込んだ。
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屁の
なまはげ |
「うげげげげげげげ
げげげげ〜〜〜〜〜〜!」
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屁腐礼放氏の屁は、
少量吸っただけでも肺が破壊されると言われる
最終兵器だ。
屁のなまはげの安否が気遣われる。 |