小林 |
「今年も海水浴が
ままならんな」
|
北小岩 |
「残念でございます」
|
小林 |
「俺たちの夏の海には、
様々なドラマがあるからな」
|
北小岩 |
「3年前、海水浴中に
先生のふんどしが
流されましたね」
|
小林 |
「俺は一張羅が流され、
犬かきで追いかけた」
|
北小岩 |
「そしてそのまま
沖に流されてしまったので
ございます」
|
小林 |
「ところが溺れかけた時に
イルカに出会ってな。
何とかまたがって
戻って来たんやな」
|
北小岩 |
「奇跡でございます。
たまたま砂浜には、
夏の海の取材に来ていた
報道陣がいらっしゃいました」
|
小林 |
「そこに
『イルカに乗った少年』
のごとく俺の登場や」
|
北小岩 |
「しかし、先生は
溺れそうになった恐怖が
緩んだ安心感から、
ふるちんでイルカに乗ったまま
小便を垂れ流してしまいました。
翌日の地方紙には
『イルカに乗った少年』ではなく
『イルカに乗って小便』の
見出しが躍り、
先生は思いっきり
叩かれたのでございます」
|
灼熱の日が続くのに、
こんなくだらない話を聞いている暇はない。
|
小林 |
「そういえば
顔が海水に浸ってしまった時、
見たこともない生物が
たくさんいた気がしたな」
|
北小岩 |
「それはとても気になります」
|
小林 |
「海洋生物の研究者に
聞いてみるか」
|
二人はちんちんに指で「うみ」と書き、
そのこそばゆさを原動力に
海洋生物研究者の
『満開筋男(まんびらきすじお』氏を訪ねた。
|
北小岩 |
「むっ!
柱にいやらしいものが
ついております」
|
小林 |
「あわび呼鈴や。
『ここに指を這わせてください』と
書いてあるな。
北小岩、這わせてみい」
|
北小岩 |
「かしこまりました」
|
にゅるしゅ〜
「まんびらき〜」
中から陽気な研究者が飛び出してきた。
|
小林 |
「ひさしぶりやな」
|
満開 |
「先生じゃないですか」
|
小林 |
「ちょっと聞きたいんやが、
3年前に
海で溺れそうになった時、
海中で
アリクイのような舌を持った
コバンザメを見たんや」
|
満開 |
「それはコバンザメの新種で
『オマンナメ』ですね」
|
小林 |
「なんや! それは」
|
満開 |
「もともと
コバンザメだったのですが、
スケベ方向に
進化を遂げたのです。
水着の女性の太ももにくっつき、
そこから60cmある舌を出して
秘所を舐めようとします」
|
北小岩 |
「あまりにいやらしすぎます!」
|
小林 |
「それから
ハマグリみたいな貝が
俺の乳首に近づいてきたんやが、
間違えたという表情で
どこかに行ってしまった」
|
満開 |
「なるほど。
それはハマグリが進化した
『マサグリ』ですね。
ビキニの胸を狙って
入水管と出水管を伸ばし、
乳首をまさぐろうとします。
他にもホッキガイが進化した
『ボッキカイ!』という
驚きの新種もおりますが、
それはとりあえず
置いときましょう」
|
先生の周囲に集う進化した海洋生物は、
ろくでもないものばかりのようだ。 |