KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の九百拾参・・・木

小林 「俺たちの町も
 強力な名物を作って
 町おこししようとしているらしいな」
北小岩 「『木』で集客すると
 うかがっております」
小林 「日本有数の接ぎ木のプロが
 担当するらしい。
 外国人旅行者も狙っているそうや」
北小岩 「外国人が日本観光に来ることを
 確か、イン、イン」
小林 「インサートや」
北小岩 「そうでございました。
 さすが先生です!」

彼らの頭の中にインバウンドという言葉はない。
インがつく文字といえば、
インサートの他にはインポテンツ、インモウ、
インノウ、インキン、インブなどが
せいぜいであろう。

小林 「町の名が海外に轟くのも
 ええこっちゃな」
北小岩 「楽しみでございますね!」

それから数カ月が過ぎ。

司会 「ついに町の木が完成しました!
 こちらが担当された接ぎ木のプロ
 『勃木反男(ぼっきそりお)』さん
 です」
勃木 「ご紹介にあずかりました
 勃木(ぼっき)です。
 今もさりげなく勃起しており、
 あっ、
 関係ありませんね。
 私は世界で
 ここだけにしかない三本を
 接ぎ木でこしらえました。
 これで海外からも誘客できます」
司会 「ありがとうございます!
 よい角度のお話でした。
 ではお披露目です。
 それぞれお気に入りの木の下に
 移動してください」
小林 「せっかくやから
 違う木にしよか」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「俺はこれにするわ」
北小岩 「わたくしはその隣で」

町の人々が三本の木の下に散る。

司会 「ではカバーを外します」

どよ〜ん

小林 「おい、北小岩!
 不穏な気配が漂っとらんか」
北小岩 「嫌なことが
 起こりそうな気がいたします」

ぶりっ ぶりっ

小林 「なんや!
 上からクソが
 落ちてきやがった!!」
勃木 「一本目は
 『クソをたれる木』です!」

しゃ〜 しゃ〜

北小岩 「うわ!
 おしっこの雨が
 降っております!」
勃木 「二本目は
 『しょんべんをもらす木』です」

ぷ〜っ ぷ〜っ

北小岩くんの隣では
三本目の『屁をひる木』がかましている。

クソ、しょんべん、屁は
人間の三大エレメンツと言っても
過言ではないが、
いったいどうやって接ぎ木をしたのだろうか。

『クソをたれる木』、
『しょんべんをもらす木』、
『屁をひる木』は、
果たして町おこしとして機能するのか。
外国人旅行客を呼べるのか。

その昔、永源遥さん(プロレスラー)が
チョップされて
放物線を描いて飛んできたツバを、
リングサイドでスポーツ新聞を盾にして
避けるのを楽しみにしている方々が
多々いらっしゃいました。

そのように考えると、
もしかすると一部熱狂的なファンが
押しかけるということも
考えられなくはないという気もいたします。
 

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2022-04-03-SUN

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