小林 |
「俺たちの町も
強力な名物を作って
町おこししようとしているらしいな」
|
北小岩 |
「『木』で集客すると
うかがっております」
|
小林 |
「日本有数の接ぎ木のプロが
担当するらしい。
外国人旅行者も狙っているそうや」
|
北小岩 |
「外国人が日本観光に来ることを
確か、イン、イン」
|
小林 |
「インサートや」
|
北小岩 |
「そうでございました。
さすが先生です!」
|
彼らの頭の中にインバウンドという言葉はない。
インがつく文字といえば、
インサートの他にはインポテンツ、インモウ、
インノウ、インキン、インブなどが
せいぜいであろう。
|
小林 |
「町の名が海外に轟くのも
ええこっちゃな」
|
北小岩 |
「楽しみでございますね!」
|
それから数カ月が過ぎ。
|
司会 |
「ついに町の木が完成しました!
こちらが担当された接ぎ木のプロ
『勃木反男(ぼっきそりお)』さん
です」
|
勃木 |
「ご紹介にあずかりました
勃木(ぼっき)です。
今もさりげなく勃起しており、
あっ、
関係ありませんね。
私は世界で
ここだけにしかない三本を
接ぎ木でこしらえました。
これで海外からも誘客できます」
|
司会 |
「ありがとうございます!
よい角度のお話でした。
ではお披露目です。
それぞれお気に入りの木の下に
移動してください」
|
小林 |
「せっかくやから
違う木にしよか」
|
北小岩 |
「そうでございますね」
|
小林 |
「俺はこれにするわ」
|
北小岩 |
「わたくしはその隣で」
|
町の人々が三本の木の下に散る。
|
司会 |
「ではカバーを外します」
|
どよ〜ん
|
小林 |
「おい、北小岩!
不穏な気配が漂っとらんか」
|
北小岩 |
「嫌なことが
起こりそうな気がいたします」
|
ぶりっ ぶりっ
|
小林 |
「なんや!
上からクソが
落ちてきやがった!!」
|
勃木 |
「一本目は
『クソをたれる木』です!」
|
しゃ〜 しゃ〜
|
北小岩 |
「うわ!
おしっこの雨が
降っております!」
|
勃木 |
「二本目は
『しょんべんをもらす木』です」
|
ぷ〜っ ぷ〜っ
北小岩くんの隣では
三本目の『屁をひる木』がかましている。
クソ、しょんべん、屁は
人間の三大エレメンツと言っても
過言ではないが、
いったいどうやって接ぎ木をしたのだろうか。
『クソをたれる木』、
『しょんべんをもらす木』、
『屁をひる木』は、
果たして町おこしとして機能するのか。
外国人旅行客を呼べるのか。
その昔、永源遥さん(プロレスラー)が
チョップされて
放物線を描いて飛んできたツバを、
リングサイドでスポーツ新聞を盾にして
避けるのを楽しみにしている方々が
多々いらっしゃいました。
そのように考えると、
もしかすると一部熱狂的なファンが
押しかけるということも
考えられなくはないという気もいたします。 |
|
|