そろり そろり
ぺたっ
しゅしゅっ
じろじろ
|
町の男
A |
「ふう〜」
|
ささっ
ざっざっ
じろじろ
|
町の男
B |
「ほっ」
|
北小岩 |
「何か変ではございませんか」
|
小林 |
「町の男たちが
尋常ではなく
自分を意識しているように感じるな」
|
北小岩 |
「自意識過剰でございますね」
|
小林 |
「そやな」
|
北小岩 |
「町の方々が
自意識過剰になってしまうのは
好ましくないように感じますが」
|
小林 |
「ヤツらの動きを見とると
ただの自意識ではないな」
|
北小岩 |
「そうなのでございますか。
わたくしには
まったくわかりません」
|
小林 |
「俺の勘やがな。
専門家に聞いてみるか」
|
師弟は自意識を専門に研究している
『自慰好木意地李(じいすきいじり)』氏のもとを
訪れた。
|
北小岩 |
「お忙しいところ
大変申し訳ございません。
町の方々が自意識過剰に
なっているようなのですが」
|
自慰好 |
「自意識の自という字が
違いますね」
|
北小岩 |
「はっ?」
|
自慰色 |
「彼らは自意識過剰なのではなく
『痔意識過剰』なのですよ」
|
北小岩 |
「痔の意識がですか」
|
自慰色 |
「そうです。
あそこでそろりそろりと
歩いている人は
『切れ痔意識過剰』です」
|
小林 |
「なるほどな。
ヤツは切れ痔ではないのに、
自分のケツが
切れるんやないかと
必要以上に気にしとるんやな」
|
自慰色 |
「そうなんです。
痔は彼のことに
まったく注目していないのに、
彼はあたかも切れ痔が
自分のお尻を狙っているのではないかと
意識し過ぎているのです」
|
北小岩 |
「あちらの方は
地面をとても気にされております。
もしかすると
『脱肛痔意識過剰』なのでは
ございませんか」
|
自慰色 |
「よくわかりましたね。
杞憂という言葉がありますね。
杞憂の場合は
天が落ちてくることなどを
ひたすら心配していたようですが、
彼はまだ脱肛にもなっていないのに、
お尻の穴を地面に
落としたのではないかと
探しているのです」
|
北小岩 |
「・・・」
|
先生の町で増殖している痔意識過剰。
今後どのような展開を見せるのか
予断を許さない気もしますが、
はっきりいってどうでもいい気もいたします。 |