KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の九百弐拾六・・・魔法使い

ぱらぱら
北小岩 「魔法使いの女の子でございます。
 箒に乗っていらっしゃるのですね」

ぱらぱらぱら

北小岩 「とってもかわいらしいでございます。
 わたくしたちの町にも
 現れてくださらないでしょうか」
小林 「おまえ今、町に小股の割れ上がった
 AV女優がウハウハな姿で
 現れないかと言ったやろ」
北小岩 「いえ。
 わたくしは
 かわいらしい魔法使いの女の子が」
小林 「魔法使いか」
北小岩 「心当たりがあるのでございますか」
小林 「昔この町にも来たという話や」
北小岩 「そうなのでございますか!
 ぜひ、お聞かせください」
小林 「俺はその時たまたま
 出かけておったんやが
 残骸は見たな」
北小岩 「残骸でございますか。
 まったく想像がつきません」
小林 「その場に居合わせたヤツがおるから
 聞きにいくか」

二人は暑さのあまりぐったりしているイチモツに
井戸水をかけ、
気化熱で冷やされる心地よさを動力に
その場に居合わせたヤツのところへ向かった。

北小岩 「お忙しいところ
 大変申し訳ございません。
 わたくし、箒に乗った魔法使いに
 恋焦がれるものなのですが、
 以前この町にも
 魔法使いが現れたとうかがい」
その場
に居合
わせた
ヤツ
「魔法使いがやって来たことは
 確かだけど、
 箒になんか乗ってなかったぜ」
北小岩 「そうなのでございますか」
その場
に居合
わせた
ヤツ
「あんたはかわいい女の子の
 魔法使いが来たと
 思っているだろうが、
 それも違うぜ」
北小岩 「どういうことでしょうか」
その場
に居合
わせた
ヤツ
「この町に来たのは
 魔法使いのおじいさんだよ」
北小岩 「そうなのでございますか」
その場
に居合
わせた
ヤツ
「箒じゃなくて、
 便器にまたがって飛んで来たんだよ」
北小岩 「えっ!」

その場
に居合
わせた
ヤツ
「みんな最初は笑って見てたんだよ。
 でもそのじいさん、
 褌が風に飛ばされ、
 上空でクソを漏らしたんだよ」
北小岩 「げげっ!」
その場
に居合
わせた
ヤツ
「みんな逃げまどってさ。
 じいさんも慌ててしまって、
 壁に激突して
 便器が割れちゃったんだよ」
小林 「俺が用事を済ませて
 町に戻って来た時、
 割れた便器が散乱しとってな。
 残骸だけは見たんやが、
 じいさんはどっかに消えとった」
北小岩 「・・・」

この話から学べるのは、魔法使いは必ずしも
箒にまたがってやってくるわけでも、
かわいい女の子でもないかもしれない
ということである。
しかし、
そのようなことは学ぶ必要などないような気もする。

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2022-07-03-SUN

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