おいしーつくつく おいしーつくつく
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北小岩 |
「アブラゼミさんや
ミンミンゼミさんの季節が終わり、
すっかりつくつくぼうしさんの
歌声となりました。
しかし、このあたりの
つくつくぼうしさんは、
鳴き方が変ではございませんか」
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小林 |
「あそこを見てみい」
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北小岩 |
「あっ!
つくつくぼうしさんが
女性の秘所にとまっております!」
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小林 |
「ここだけにいる
『アソコにつくつくぼうし』
と呼ばれる変態種や。
20秒ほどでイッてしまうんや」
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先生の町の変態種などどうでもいいので、
話を先に進めよう。
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北小岩 |
「今からお会いする方は
どんな体験をされたのでしょうか」
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小林 |
「死の淵から蘇った英雄や」
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北小岩 |
「そうなのでございますか!」
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小林 |
「そや。
死は地球上の人類すべてに
起こることや。
死を回避する重要なヒントが
もらえるかもしれんな」
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北小岩 |
「凄いでございます!」
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人類にとっての福音となるのだろうか。
奇跡の男を訪ねた師弟は。
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小林 |
「君が死の淵から蘇った男やな」
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死の淵
から蘇
った男 |
「そうです」
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小林 |
「どういうことなんか、
ぱっくり聞かせてもらおうやないか」
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死の淵
から蘇
った男 |
「二週間ほど前、
町の公園を散歩している時に
犬の糞を踏み抜き
後ろに転んでしまったのです。
そこに石で作られた
男のシンボルがたっており、
後頭部を強く打って
危篤になってしまいました」
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北小岩 |
「大変でございます!
どうなりましたか」
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死の淵
から蘇
った男 |
「目の前に太い川があり、
向こう岸に
亡くなった父と母が立っていて。
僕が川を渡ろうとして近づくと、
父と母がうなずきあったのです」
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北小岩 |
「えっ?」
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死の淵
から蘇
った男 |
「父がハンマーを投げてきました。
父は若い頃ハンマー投げの選手で。
とてつもない勢いで飛んできて
顔にぶつかりました」
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北小岩 |
「危険ではないですか!」
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死の淵
から蘇
った男 |
「それが
砲丸の部分が丸くてでっかい
糞だったんです。
顔にぐしゃっとつきました」
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北小岩 |
「なんと!」
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死の淵
から蘇
った男 |
「それならばと
母のもとにいこうとして
川に入ろうとしたら、
今度はやりが飛んできたのです。
母は若い頃やり投げの選手でした」
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北小岩 |
「それもまた危険です!」
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死の淵
から蘇
った男 |
「顔に当たると危ないから
後ろを向いたら、
ケツの穴に刺さって。
やりの先には糞がついていました」
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北小岩 |
「なんでそんなひどいことを
なさるのでしょうか」
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小林 |
「心をやわらかくして考えてみい」
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北小岩 |
「あっ!
お父様とお母様は
あなた様が川を渡って
あちらの世界にいかないように」
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死の淵
から蘇
った男 |
「そうなのです。
それで僕は川を渡るのをあきらめて、
とぼとぼ歩いていたら
意識が戻って・・・(涙)」
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愛する息子が川を渡れないように糞を投げる。
諸手を挙げて美しいとは
言い切れない気もするが、
それでも美しい両親の愛情であることは
確かであろう。 |