北小岩 |
「いってまいります」
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小林 |
「お前、
自分だけエッチな思いを
しようとしとるんやないか」
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北小岩 |
「めっそうもございません」
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小林 |
「いやらしいことをするために
出かけるわけやないんやな」
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北小岩 |
「もちろんでございます。
年も暮れてまいりましたので
おじさまのところに
ご挨拶にうかがうのでございます」
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小林 |
「そうか。
お前の叔父には
ごぶさたしとるな」
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北小岩 |
「先生もいかがですか」
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小林 |
「スケジュールは埋まっとるが、
行ってやってもええな」
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先生の今日のスケジュールなど、
右に傾いたおちんちんを左に戻せば
それですべての用が終わりである。
ともかく叔父を訪ねた二人だった。
トントン
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北小岩 |
「入ってますか」
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「大便中です」
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北小岩 |
「おじさま、
お元気そうですね」
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叔父 |
「おお。
久しぶりだな。
先生も来たんだな」
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小林 |
「お歳暮や」
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叔父 |
「おお!
俺のエロ本の好みを
覚えていてくれたか。
この角度の開き方がたまんないんだよ」
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どうでもいいことなので割愛しよう。
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北小岩 |
「靴箱の上に
喪中ハガキが
たくさん置いてありますね」
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叔父 |
「俺の仲間たちも
歳をとったな」
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北小岩 |
「大勢お亡くなりに
なったのでございますか」
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小林 |
「違うな。
ハガキをよく読んでみい。
これは命がつきたのではなく、
ちんちんの寿命が終わったことの
喪中や」
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北小岩 |
「えっ?
読んでみます。
『俺も昔はバーバー田中と呼ばれた男だ。
意味わかんねえかな。
散髪屋=三発屋。
毎晩それぐらいの栄華を誇ってたんだ。
でもここ数年塔が傾き、
ついに倒れたままになって
勃ち上がらず。
そんなわけで喪中だよ』。
確かにおちんちんが
亡くなられたようです!」
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小林 |
「他はどや」
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北小岩 |
「え〜と。
『十年前に孫ができたんだ。
それでも俺のブツはそそリッチで
ベッドでヒーヒー言わせてたんだ。
つまり俺はおじいさんを飛び越え
ヒーじいさんだったんだよ。
でもここ数年ちんちんが
シロアリにでもやられたかのように
スカスカな感じがして。
ついに倒れたまま
起きることがなくなってしまった。
俺もついに喪中だよ』」
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小林 |
「なるほどな」
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北小岩 |
「あれっ?
おじさまが持っていらっしゃるのは、
おじさまが出す
ハガキでございますね」
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叔父 |
「実は俺も喪中になって」
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叔父の喪中ハガキも他の男たちと同じように
まず昔のイチモツ自慢をしてから
喪中を知らせているのであった。
男はよく過去にワルであったことなどないのに
「俺も昔はワルでさ」などとのたまったりするが、
ちんちんのご臨終を知らせる際にも
たいしたことのなかったイチモツを、
盛って伝えたがる生き物である。 |