ざっざっ
颯爽と二人の益荒男が現れた。
ざっざっざっ
男たちの顔を見ると前言を訂正せざるを得ない。
彼らは益荒男などではなくマスかきであった。
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北小岩 |
「あたたかくなってまいりましたね」
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小林 |
「そろそろ芽を出すころやな」
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北小岩 |
「そこかしこで芽が出ていると
思いますが」
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小林 |
「そうやない。
おなごの背中や」
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北小岩 |
「はっ。
薄着になった女性の
背中でございますね」
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小林 |
「そや。
ブラジャーのラインが
芽を出すというこっちゃ」
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北小岩 |
「さすが先生でございます!
趣深き季節の風物詩、
ありがとうございました!」
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小林 |
「うむ」
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二人を滅ぼそうとする女性が
あまた存在するのもむべなるかな。
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北小岩 |
「あれっ?
こんなところに立て札が」
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小林 |
「なになに。
『我が町が
宇宙飛行士を輩出していないのは
いやじゃな』」
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北小岩 |
「『だから選抜試験を行ない
町の男から
宇宙飛行士候補を選ぶ』」
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小林 |
「『今日から試験を始めるぞ』」
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北小岩 |
「いったいどんな
試験なのでしょう」
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小林 |
「考えたくもないわ」
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ぷ〜っ
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北小岩 |
「大便への呼び屁でございます。
わたくしトイレに
行ってまいります」
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ぶ〜っ
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小林 |
「俺もや。
連れ便するで」
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師弟は公衆トイレに駆け込み、
隣同士で小部屋に入った。
ふんどしとズボンを同時に下ろして着座し
一息ついた。
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小林 |
「ふう間に合ったな」
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ぶりり〜〜〜ん
その刹那。
「10、9、8」
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小林 |
「なんや。
長老の声がするな」
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「7、6、5、4」
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北小岩 |
「カウントダウンしているようです!」
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「スリー、ツー」
もわもわもわ〜
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小林 |
「便器から煙が出とる!」
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「ワン」
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小林 |
「もしや!
待て〜〜〜!!」
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「発射!」
どどーん
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北小岩 |
「お尻とおちんちんを
むき出しにしたまま、
便器が打ち上がって
しまいました〜〜〜!」
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ぐるぐるぐる
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小林 |
「やばい!
回転しだした」
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べちょっ
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小林 |
「自分のクソが
目に入ってしまった!」
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先生と北小岩くんは便器のロケットに座ったまま
高度1万メートルまで上昇してしまった。
長老はそのような過酷な状況を生き抜いた男を
宇宙飛行士に仕立てようとしているらしい。
二人が便器にまたがったまま
民間飛行機に激突し、
人様に迷惑をかけないことを祈るしかない。 |
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