ざっざっ
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北小岩 |
「新緑が
気持ちいいでございます」
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ぴっぴぴぴぴぴ
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小林 |
「近頃野鳥の種類が
増えている気がせんか」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「むっ、
あそこを見てみい」
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北小岩 |
「鳥は鳥でも
『ギターを持った渡り鳥』の
ポスターでございます」
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小林 |
「カッコええな」
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北小岩 |
「マイトガイさんは
主役になるべくして
生まれてきた方ですね。
この町からもスターが出ると
うれしいのでございますが」
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小林 |
「お前は知らんかもしれんが
おるで」
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北小岩 |
「主役の方ですか」
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小林 |
「いや、脇役の王者や。
カッコよく言えば
バイプ、バイプ・・・。
あかん。
ド忘れしてしもうた」
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北小岩 |
「先生がおっしゃりたいのは
バイブレーターでございますね!」
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小林 |
「あほ!
だがお前のおかげで
思い出した。
バイプレイヤーや」
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北小岩 |
「イカしてますね。
今の時代、脇役で有名なスターも
たくさんいらっしゃいます。
どのような脇役なのですか」
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小林 |
「ヤツは脇役というより
腋役や」
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北小岩 |
「えっ?」
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小林 |
「いい腋しとる。
ワキジェニックや」
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北小岩 |
「腋の下が美しいのですか」
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小林 |
「そや。
腋の撮影によく呼ばれとる。
だがそれだけやない。
ヤツの腋からは
ジャコウが出る」
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北小岩 |
「なんと!
ジャコウジカのような方ですね。
強い匂いで
女性を誘引できますね」
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小林 |
「ちんちんが乾く暇もないぐらい
モテモテや」
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北小岩 |
「ジャコウジカといえば、
絶滅の恐れがあるため
ワシントン条約で
国際取引が
禁じられておりますね」
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小林 |
「うむ。
だがヤツの輸出は
禁じられておらん。
だから日本にとどまらず
海外の女からも
引っ張りだこなんや」
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北小岩 |
「まさに国際スターでは
ございませんか。
そのような方が
この町出身というのは
誇り高きことにございます」
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小林 |
「それほどの人気者やから
町におることはほとんどないが、
今でもどこかの国で
腋から艶美な香りを
漂わせとるで」
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北小岩 |
「うらやましい限りで
ございます!」
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天下の腋役。
ジャコウジカ男として人気を博す
スーパー腋スター。
時にジャコウの匂いに混じって
腋特有のニオイも流れてくるという。
ジェネラリストよりスペシャリスト。
そんな時代の要請に合致した男の
ひとりであろう。 |