KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の九百七拾伍・・・脇役

ざっざっ

北小岩 「新緑が
 気持ちいいでございます」

ぴっぴぴぴぴぴ

小林 「近頃野鳥の種類が
 増えている気がせんか」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「むっ、
 あそこを見てみい」
北小岩 「鳥は鳥でも
 『ギターを持った渡り鳥』の
 ポスターでございます」
小林 「カッコええな」
北小岩 「マイトガイさんは
 主役になるべくして
 生まれてきた方ですね。
 この町からもスターが出ると
 うれしいのでございますが」
小林 「お前は知らんかもしれんが
 おるで」
北小岩 「主役の方ですか」
小林 「いや、脇役の王者や。
 カッコよく言えば
 バイプ、バイプ・・・。
 あかん。
 ド忘れしてしもうた」
北小岩 「先生がおっしゃりたいのは
 バイブレーターでございますね!」
小林 「あほ!
 だがお前のおかげで
 思い出した。
 バイプレイヤーや」

北小岩 「イカしてますね。
 今の時代、脇役で有名なスターも
 たくさんいらっしゃいます。
 どのような脇役なのですか」
小林 「ヤツは脇役というより
 腋役や」
北小岩 「えっ?」
小林 「いい腋しとる。
 ワキジェニックや」
北小岩 「腋の下が美しいのですか」
小林 「そや。
 腋の撮影によく呼ばれとる。
 だがそれだけやない。
 ヤツの腋からは
 ジャコウが出る」
北小岩 「なんと!
 ジャコウジカのような方ですね。
 強い匂いで
 女性を誘引できますね」
小林 「ちんちんが乾く暇もないぐらい
 モテモテや」
北小岩 「ジャコウジカといえば、
 絶滅の恐れがあるため
 ワシントン条約で
 国際取引が
 禁じられておりますね」
小林 「うむ。
 だがヤツの輸出は
 禁じられておらん。
 だから日本にとどまらず
 海外の女からも
 引っ張りだこなんや」
北小岩 「まさに国際スターでは
 ございませんか。
 そのような方が
 この町出身というのは
 誇り高きことにございます」
小林 「それほどの人気者やから
 町におることはほとんどないが、
 今でもどこかの国で
 腋から艶美な香りを
 漂わせとるで」
北小岩 「うらやましい限りで
 ございます!」

天下の腋役。
ジャコウジカ男として人気を博す
スーパー腋スター。
時にジャコウの匂いに混じって
腋特有のニオイも流れてくるという。
ジェネラリストよりスペシャリスト。
そんな時代の要請に合致した男の
ひとりであろう。

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2023-06-11-SUN

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