ぐるぐる〜 ぴたっ
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北小岩 |
「猛暑の最中、
扇風機が止まってしまうのは
致命的です。
もう一度試してみましょう」
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ぐるぐる〜 ぴたっ
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北小岩 |
「やはり手で回しても
持続力がございません」
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小林 |
「何しとるんや」
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北小岩 |
「あっ、先生。
ゴミ置き場からがめてきた
羽根が一本しかない
扇風機でございますが、
電気を止められているため
手で回しておりました。
しかし、
すぐに止まってしまいます。
わたくしたちに残されたものは
亀頭滅却しかないのでしょうか」
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小林 |
「亀頭が滅却したら
終わりや。
心頭滅却ぐらいに
しとかんかい」
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北小岩 |
「そうでございました。
せめて風さんに
吹いていただけると
助かるのですが」
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小林 |
「風か・・・。
両隣町で
よからぬ噂が流れとる。
詳しいヤツがおるから
真偽を確かめるか」
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師弟は風秘所撫出留(かぜひしょなでる)氏を
訪ねた。
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風秘所 |
「噂は本当です。
まず左隣の町に
入ってみましょう」
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ぴゅ〜
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北小岩 |
「風が吹いてまいりました」
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もわ〜
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小林 |
「むっ!
何かが腐ったような
重い臭いがせんか」
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風秘所 |
「この町の風は
歯槽膿漏にかかっているのです」
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北小岩 |
「風にも
歯槽膿漏があるのですか」
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風秘所 |
「ありますよ。
甘い物を食べても
どこ吹く風で
歯を磨かないですからね」
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小林 |
「耐えられん。
逆の隣町に行こか」
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北小岩 |
「こちらは大丈夫そうですね」
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ぴゅ〜 もわ〜
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小林 |
「むっ!
いびつな屁の臭いがするで」
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風秘所 |
「風が腹を壊して
屁に実が混ざって
しまっているのです」
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小林 |
「なんやと!
隣町の風は
だらしないカスどもや。
俺たちの町は
そんなことはないやろ」
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風秘所 |
「ところが・・・」
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小林 |
「もったいぶった言い方を
するんやない。
戻るで」
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三人が町に入ると一陣の風。
びゅ〜 もわ〜
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北小岩 |
「栗の花の香りと
イカ臭が混ぜっております!」
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風秘所 |
「実は我が町の風は
マスをかいてしまい・・・」
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小林&
北小岩 |
「・・・」
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やはり先生の町は、
風もぶっちぎりのワーストワンであろう。 |