KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の九百九拾参・・・みのむし

ぴゅ〜

北小岩 「隙間風でございます。
 早朝は冷えるでございます」

ぴゅ〜 ぴゅ〜

北小岩 「紙のように薄い毛布一枚では
 限界がございます。
 身の回りにあるものをのせて
 暖の足しにいたしましょう」

ばっ ばっ ばっ

弟子は極薄毛布の上に、
ちらし、茶筒、雑巾、すりこぎ、孫の手などを
手当たり次第にのせて毛布にくるまった。

小林 「お前、
 みのむしみたいやぞ。
 それとも新しい変態プレイか」
北小岩 「そうではございません。
 隙間風に
 耐えるためでございます。
 先生は今、
 みのむしとおっしゃいました。
 わたくし幼少の頃、
 みのむしさんを探すのを
 何よりの楽しみにしておりました。
 しかし、近頃すっかり
 目にすることが
 なくなってしまいました。
 さみしくてしかたございません」
小林 「それは俺も感じとった」
北小岩 「なぜでございましょうか」
小林 「ようわからんな。
 みのむしの専門家で、
 陰嚢虫下蛾留
 (いんのうむし・さがる)という
 男がおる。
 聞きにいくか」
北小岩 「『みのむし』さんと
 『いんのうむし』さんは、
 お名前が
 瓜二つでございます。
 ぜひうかがいましょう」

まったく似ているとは思わないが、
ともかく二人は陰嚢虫氏のもとを訪れた。

北小岩 「わたくし、ここ何年も
 みのむしさんに
 会うことができずに
 とても悲しい思いを
 しております。
 何が原因なので
 ございましょうか」
陰嚢虫 「外来種の寄生バエに
 壊滅的にやられてしまったと
 いわれています」
北小岩 「そうなのでございますか。
 わたくしたちの町では
 もう会うことは
 できないのでしょうか」
陰嚢虫 「そうとも言い切れないのですよ。
 まだ確かめていないのですが、
 夜になると
 巨大なみのむしが出現する
 という噂なのですよ」
北小岩 「ぜひ場所をお教えください!」

夜になり師弟がそこで見たものは。

北小岩 「銭湯の横にある大木に
 みのむしさんが
 ぶら下がっております」
小林 「みのむしにしてはでかすぎる。
 目ん玉を金玉のようにして
 よく見てみい。
 みのむしは枝や葉をかき集めて
 巣をつくるが、
 この巣は
 エロ本のページをかき集めて
 つくっとる」

その刹那、みの上方の窓が開いた。

にょき

北小岩 「あっ、
 幼虫さんが
 出てくるのかと思ったら
 おじさんの顔が出てきました。
 あれはみのむしさんではなく
 『みのおじさん』でございます」

小林 「それも銭湯上部の窓から
 女風呂をのぞいとる。
 のぞきの新戦法や。
 なるほどな。
 俺もやったるで〜〜〜!」

翌日夜、みのむしに変装した先生が
大木からぶら下がっている。

小林 「小股の割れ上がった
 おなごが入っていった。
 そろそろのぞきタイムや」

ぱっ

顔を出したタイミングが最悪だった。
そばを歩いていたのがあの恐ろしき。

お仕置
き隊員
「何あれ!
 のぞきの変態じゃない」
お仕置
き隊員
「撃ち落とさなきゃ!」

びゅっ ぐさっ ぴゅっ ぷちっ

一の矢(毒矢)がみのを貫き、
二の矢が巣の糸を切った。

小林 「やばい!」

ひゅ〜 どた

お仕置
き隊員
「お前が出すのは
 顔じゃなくてここなんだよ!」

ジョキジョキ

先生みのむしの股間に窓をつける。

お仕置
き隊員
「熱湯を大量に持ってきて!」

大声で叫ぶと
他の隊員がバケツで女湯から
煮えたぎる湯を運んだ。

お仕置
き隊員
「ここにぶちまけて!」
小林 「なんやと! うう」

先生は毒がまわり動けない。

ざば〜 ざば〜〜

小林 「あちい〜〜〜!
 ちんちんが〜〜〜!!」


熱湯で赤くただれた先生のブツは、
それから数週間赤ちんと呼ばれました。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2023-10-15-SUN

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