弟子 |
「先生、野球じいさんというのはどんな人なのですか」。 |
小林 |
「高校野球を見つづけて69年という
高校野球の生き字引のような人や。今日はじいさんに、
一番のお気に入り選手について聞こう。
ここがじいさんの家や」。 |
弟子 |
「ずいぶん狭い門ですね。
あっ、ホームベースが置いてある。
向こうにピッチャーマウンドがありますよ!」。 |
門と門の間がストライクゾーンになっており、
訪問者は持参した硬球を投げストライクをとらないと
家に入れない。弟子の北小岩くんが
三十球目にやっとストライクをとった。
すると中から野球じいさんが出てきた。 |
野球
じいさん |
「ストライク! どうじゃ、ほどよく肩が
あったまったじゃろ」。 |
話を聞きに来たのに、肩をあたためて
どうするというのだろう。 |
小林 |
「野球じいさん、おひさしぶりです。
今日は味のあるあだ名で呼ばれ、
強い個性を持った球児を教えてもらいにきました」。 |
野球
じいさん |
「ボール! まあ、わしも69年間高校野球を
見つづけてきた男じゃからな。
高校野球のヒダの奥まで知っとるぞい」。 |
わけのわからないことをいっている。 |
野球
じいさん |
「そうじゃなドカベン香川も
なかなか愛嬌のある男じゃったが、
それ以上に印象に残っている男がいるな。
それはダイベンと呼ばれて愛された男じゃ」。 |
弟子 |
「どんな男ですか」 |
野球
じいさん |
「豪快なアイデア男じゃった。
ダイベンの守備位置は決まっておらず、
いろいろな所をこなした。
一塁を守りランナーがリードした瞬間だった。
ダイベンがランナーのケツのあたりに金玉を押しつけて
グラインドさせている。審判が不信に思い近づくと
ダイベンはパンツの中の金玉の隣に球を隠しており、
隠し球でピンチを救ったのじゃ。観客は
『これぞ真の隠し玉!』と大いに沸いたのじゃが、
公式記録からは削除されてしまった」。 |
小林 |
「なかなかの切れ者やな」。 |
野球
じいさん |
野球じいさん
「うむ。ピッチャーをやった時もな、
ロージンバッグを使用済みパンティに入れると
指がいい仕事をするといって、
粉をパンティに入れ替えとったな。
特に穴付きのやつを使ったときは凄かった。
球がよがりながらバットの上でのけぞるんや」。 |
弟子 |
「ほんとうですか」。 |
野球
じいさん |
「ああ。高校野球は試合開始の時サイレンが鳴るじゃろ。
ウーと鳴るところを
『ウッウーン、イヤーン、アアーン』
と鳴るように細工し、相手投手が突然性に目覚めて
配球を乱し、69点とって勝ったこともある。
そうそう、相手のメンバー表に
密かに付け足したため、うぐいす嬢が
『4番サード山本くん、背番号5、Pサイズ8センチ』
と公表してしまい、短小を気にしていたスラッガーが
全打席三振したことも」。 |
小林 |
「敵に回すと恐ろしい男やな」。 |
野球
じいさん |
「キャッチャーをやっていた時には、
ポコチンをなでたりつかんだり回したりして
サインを送っていたらつい気持ちよくなってしまい、
そのままマスをかいてしまったな」。 |
弟子 |
「それほどまでに個性の強い球児がいたとは。
ダイベンか・・・。
ところでどうしてダイベンというのですか?」 |
野球
じいさん |
「味方の攻撃の時、投手の肩が冷えないよう
ブルペンで球を受けていて、便意をもよおし、
その場でクソをしてしまった。
試合に負け、みんなが泣きながら
袋に土を入れていたのに、
彼だけは袋に自分のクソを入れて持ち帰ったんじゃ。
犬の散歩中クソをそのままにしてしまう
飼い主がいるが、彼はきちんとマナーを守った。
それをみんなが殊勝な男と評価したんじゃ」。 |