北小岩 |
「先生、そのぶ厚い本は何ですか?」 |
小林先生が読了し放心していると、
弟子の北小岩くんが問いかけてきた。 |
小林 |
「これはな、ダーチンによる
『ちんちんの環境適応による進化論』や。
略して『チン化論』とも呼ばれとる名著や」 |
北小岩 |
「私、ダーウィンの種の起源は読破しましたが、
ダーチンは知りませんでした」 |
小林 |
「甘いな、北小岩。
ダーチンはんはな、
ちんちんの進化だけに焦点をあて、
一生をかけて研究し続けたお方や。
これは男にとって最重要なテーゼやで」 |
北小岩 |
「私も股間に粗品をしのばせる者として、
その進化の歴史は是が非でも知りたいものです。
先生、ぜひご講義ください!」 |
小林 |
「ほな、かいつまんで話すで。
第1章は『ちんちんのお誕生日』や。
三十億年前、ちんちんは真っ赤に燃えた火の玉やった。
その回りをちりとガスが取り巻いていたんや。
それが何億年かたつうち、
次第に冷たくなっていった。
冷えて固まったちんちん下部は、
ゆっくり縮んでしわをつくった。それが玉袋や」 |
北小岩 |
「なるほど!露出している体の部分で、
なぜ玉袋だけがあんなにしわしわなのか
疑問を持っておりましたが、今、氷解いたしました」 |
北小岩くんは玉袋のしわは多いが、脳のしわは少ない。 |
小林 |
「第2章の『昔々、ちんちんは個体でした』には
思わず目を見張らされるで。
現代に生きるほとんどの人が
誤解していることやが、
大昔、ちんちんは体の一部ではなく、
個体として独立していたんや」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
小林 |
「その頃は他の生き物と同じように海に棲息していた。
しばらくその状態が続いたが、
約1億年前に二派に分裂した。
陸を目指すちんちんと、海に残るちんちんや。
パイオニアなちんちんは、
より深い快感を求めて陸に上がっていった。
摩擦係数の問題で、
水中ではそれ以上大きな悦びは得られないからや。
そして、ついに8対2の割合で
趨勢は陸派に傾いていった」 |
北小岩 |
「ということは、私たちは快楽を求めて
陸に上がったモノの子孫なのですね。
海派はどうなったのですか?」 |
小林 |
「現在も立派に生きながらえておる。
あの黒ずんで海に沈んでいる大量のナマコが、
海派の末裔や。
海は陸ほど急激な変化はなかった。
だからそのまま生き続けられた。
だが陸は違った。
まず、地球の気候が温暖になった。
ジュラ紀到来やな。
それに合わせてちんちんも、
恐竜のようにでかくなった。
チン長16メートルのものもあったという。
肉食と草食が生まれ、
過酷な戦いが繰り広げられた。
食うか食われるかのちんちん弱肉強食時代や。
だが、ビッグな時代は長くは続かなかった。
あまりに大きくなりすぎたので、
氷河期を迎えるとほとんどが滅んでしまったんや」 |
|
北小岩 |
「ちんちんたちの共食い・・・。
恐ろしい光景です。
でも、ちんちんの大きさって、
過ぎたるは及ばざるが如しなんですね」 |
小林 |
「そうや。
だから、日本人よりケタ外れにでかい欧米人は、
これからは心してかからなあかんで。
外国産のビデオを観る限り、
あのツチノコみたいなイチモツはロスが多過ぎる。
あれ以上でかくなったら、滅びることは間違いない。
最後に生き残るのは、小さいが芯のある
アジアのちんちんと俺はにらんでおる」 |
北小岩 |
「わたくし、自分自身の小さきことに、
胸をなでおろしました。
それにしても陸上のちんちんは
氷河期に絶滅してしまったのですか?」 |
小林 |
「いや。わずかながら生き残った。
そして、ちんちんの精鋭たちはこう考えた。
こんなに大きくては、自分たちの種は
早晩全滅するだろう。
種をあげて、一か八かの大勝負にのぞまなあかん。
彼らの思惑はこうや。
大きな個体として存在するよりも、
小さくなっていろいろな生き物と共生し、
種を存続させる。
それが陸で生き延びる唯一の道とみた。
それから彼らは
さまざまな生き物の股間に散らばって、
見事に現在までサバイバルしてきたんや」 |
北小岩 |
「環境適応のための壮大なドラマがあったのですね。
それにしても、ちんちんって
見かけによらず頭がいいのですね」 |
小林 |
「そうやな。それからもちんちんは知能を上げ続け、
ついに火を使うようになったんや。
寒い日にも凍死せず、
また他の危険な動物から身を守るため。
意外なことやが、ちんちんはかなりうまいらしい。
ちょうどいい具合に塩味もきいておる。
だからしょっちゅう、
獰猛な肉食獣に狙われたんやな。
ところで最も成功をおさめたちんちんは、
何のかわかるか?」 |
北小岩 |
「う〜ん、馬でしょうか?」 |
小林 |
「何度もいうが、でかけりゃエエちゅうもんやない。
それはヘビのナニや。
ヘビのモチモノはへミペニスと呼ばれ一対ある。
つまり、ちんちんを2本所有しているわけや。
これほど心強いことはないで。
1本失ってもまだ1本ある。
惜しむらくは2本同時に使って楽しめんことやな。
だが、ヘビの交尾は何日間も合体したまま
快楽を貪り尽くすんや。
抜かずの三発などといって
自慢している人間の男など、
足元にも及ばんわ」 |
|
北小岩 |
「まったくうらやましい限りです。
私もへミペニスの垢でもせんじて飲みたいものです。
あれっ?先生、その薄汚いチラシは何ですか?
『バイアグラ・マイルド』という文字が見えましたが」 |
小林 |
「こっ、これかいな。
いやな、バイアグラでは副作用が心配やが、
マイルドならばちょいええかなと思ってな」 |
北小岩 |
「でも聞いたことありませんよ、
バイアグラ・マイルドなんて。
インチキじゃないですか?」 |
小林 |
「こっ、これは一本抜かれたなあ。あははははは」 |