小林秀雄、あはれといふこと。

その七・・・男の約束

そいつは乱暴ものだっだ。
盗み癖があった。
恐喝をしていた。
誰も近づかなかった。
だけど、嫌いではなかった。

放課後、担任の女教師に呼びだされた。
「知ってると思うけど、Kくん補導されたのよ。
昨日、じっくり話したの。
友だちがいなくて寂しかったんだって。
誰に友だちになってほしいか聞いてみたのよ。
小林くんが友だちになってくれたらうれしいって。
あなたは学級委員だし、
しっかりしてるから、彼のこと頼むわね」
それからしばらくの間、彼と行動をともにすることになる。
連れションをしたり、
給食を一緒に食べたり、算数を教えたり。
彼は私にだけは心を開いていたし、
私も感じたことはすべて彼にぶつけた。
そして、いつでも彼を笑わせた。

「欲しいものがある」。
彼は突然耳打ちをする。私は思わず苦笑いをした。
「いいよ、わかったよ。特別だそ」
大きな木片を使いそれをつくって渡した。
「これは先生には見せないことにしよう。男の約束だな」
二人は指切りをした。 翌朝、担任はドアを開くなり、
殴り掛かるような剣幕でどなり立てた。
「小林、前へ出ろ!!!!!」
手には例の木片を持っている。

許可証 K様

あなたが女のお○んこをもんでもよいことを、
ここに誓います。

         お○んこ大臣 小林秀雄

「何だ、これは!! この○を埋めて、
大声で読んでみろ!!!」
うつむくしかなかった。
担任は1メートルの物差しで頬を強く張った。
仕方ない。読もう・・・。

1 首からさげる図

「言ったな! 言ったな! 小林!!
その札を首から吊して廊下に立ってろ!!!」
1時間近く、遠い目をして立っていた。
チャイムが鳴ると他のクラスの奴までが
ニヤニヤしながら近づいてきた。
Kくんも教室から出てきた。
ニヤニヤしている。
彼は許可証を印籠のように使い、
本当にもんでしまったらしい。
そして、担任に詰問され、
許可証を渡してしまったのだ。
男の約束はどこへ行ったのだ。
彼が心を開き、私も心を開き交わした
男の、あの男の約束は・・・。
翌日、新しい学級委員を選ぶ投票があった。

「先生、暑くなったり寒くなったりして、
知恵熱を出しそうですね」

弟子の北小岩くんがいう。

2 交番に届ける図

「トイレに入ると、たまに前の人が
うんこを流し忘れている時があります。
どうしましょ?」

先生「時間に余裕があるようでしたら、
   交番に届けてください」

弟子「先生、今日はさらっとしてますね」

先生「はい。もしも時間がない場合は、
   踏むようにしてください」

弟子「わかりました」

小林先生は紙を使いすぎて
学校のトイレをあふれさせたこともある。

1998-07-17-FRI

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