いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

ピアノのイントロが流れた時
一瞬で自分も雪の中の小屋にいるような‥‥。
(投稿者・masa)

『I LOVE YOU』
 歌/尾崎豊

 1983年(昭和58年)
 アルバム
 『十七歳の地図』
 収録曲
 

My恋歌ポイント

 (イントロ)タンタララララン〜
 I LOVE YOU
 今だけは悲しい歌 聞きたくないよ

15歳。
学校では、サッカーボールを追いかけ
友達と馬鹿話をしていても
家に帰るとなんだかイライラして
夜 ベッドで一人になると受験に対する
不安でねむれない。
そんな時、テレビで見た『北の国から '87初恋』
小屋の中で純が見つけたウォークマンから
ピアノのイントロが流れた時
一瞬で自分も雪の中の小屋にいるような
寒くて、切ない気持ちになりました。
ドラマが終わるや否やベッドのヘッドボードに
「尾崎豊」と鉛筆で書きました。
レンタルレコードを借りるため忘れないように
メモしたのですが、なぜベッドだったのか
自分でもわかりません。
次の日 すぐにレンタルレコード屋さんで
「17歳の地図」を借り
友達にダビングをしてもらいました。

ベッドをきしませるようなドキドキもなく
校舎の窓ガラスを壊して回るほどの
怒りもないごくごく平凡な中学生が
あのイントロを聞くたびに
純とレイちゃん 二人の切ない恋を
思い浮かべていました。

今は、「かよわき大人の代弁者なのか?」と
尾崎が言った教師となっています。
子どもと向き合う時に
思い出すのはあの頃の自分や友達です。

わあー、
また新しいかたちの恋歌の想い出が届きました。
『北の国から』というドラマの中の切ない恋が、
たいせつな記憶になっているのですね。

わかります。
そのドラマが『北の国から』だから、わかります。
『'87初恋』での『I LOVE YOU』は、
すごかったですよねぇ。

ベッドのヘッドボードに
「尾崎豊」と鉛筆で書いた、
というエピソードが、しみじみと、すばらしい。
(masa)さん、エモーショナル。
盗んだバイクで走り出すことはなかった
(masa)さんですが、
その衝動的なアクションは
なかなかに尾崎豊的だと思います。

(masa)さんって、いい先生なんだろうなあー。

15の頃の自分から見た
先生の(masa)さん。
ふたつの視線の交差がなんともいえません。
それをつなぐ尾崎の『I LOVE YOU』と
「かよわき大人の代弁者なのか?」という言葉。

先生に、子ども時代があったなんて
考えられなかったし
いまは教師、と思い返している
人がいるなんて思いもしなかったなぁ。

「ドラマが終わるや否やベッドのヘッドボードに
 「尾崎豊」と鉛筆で書きました。」

ああ! そういう出会いがありますよね、
音楽って。歌、って。
突然、なにかの扉を開いてくれるような
そんな気持ちになる曲が、
ある日とつぜん、現れるんです。
(masa)さんがベッドに書いちゃったきもち、
よくわかります。
そしてその音楽は、ずっと寄り添って
いっしょに歩いていってくれるんですよね。

レンタルレコード屋さんも懐かしい。
LPって高くて、中高生はひと月のおこずかいでも
1枚、買えるか買えないかでした。
だから友だちから借りたり、
レンタルレコード屋さんで探したり、
あるいは中古を探したりするんです。
洋楽は洋盤がちょっと安くてね、
印刷は悪いし独特の匂いがするし、
けど、音楽をすこしでもたくさん聴きたかったから
とにかく毎日、レコード屋に通っていました。

ちなみにぼくの衝撃の曲は
矢野顕子さんの「ごはんができたよ」でした。
ラジオから流れた音楽を友だちが
「おもしろい曲があったよ」と教えてくれた。
友だちはKISSのファンだったりしたので
その「おもしろい」は「可笑しい」だった
ようなんだけれど、
ぼくには脳天ぶんなぐられるようなショックで、
そして現在にいたるのでした。

生き様みたいなことが
どうしても語られてしまう尾崎豊さんですけど、
ぼくはまず、この人は
とってもキャッチーな曲を書く
メロディーメイカーだなあと思うんです。

すごいメッセージも独特の世界観も
あの「歌いやすい曲」「耳に残る旋律」に
乗っかるからこそ、
力を持つんじゃないかなあと。

『十七歳の地図』がリリースされたとき
十代ど真ん中だったぼくらの世代は
まさに尾崎豊直撃世代。
ぼくも、レコードは買わなかったけど、
友だちに録音してもらった記憶があります。
ああ、尾崎を好きだった友だちのことが
つぎつぎに思い浮かぶなあ。

ベッドのヘッドボードに
「尾崎豊」と書いたその人が
いま教師になっているというのも、
なんだかとってもいいなあと思いました。
生徒とどんな話をしているんだろう。

2011-12-30-FRI

最新のページへ
感想をおくる ツイートする ほぼ日ホームへ
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN