祖父江 |
本が何か苦手で苦手で・・・。
姉がいるんですけど、
姉は本を好きだったんですよ。 |
糸井 |
遺伝子が、かたよっちゃったわけだね。 |
祖父江 |
かなりかたよっちゃったんですよ。
そうなんだろうなあ。
絵本にもリアルな絵が書いてあって、
こどもの頃、絵か写真か
わからないものがあって、
こわくてね・・・。
絵か写真かわからないから。 |
糸井 |
あ、絵か写真か
わからないから、こわいんだ。
ふふふふ(笑)。
写真だと、ほんとにあったみたいだもんね。
赤ずきんちゃんが、
食べられちゃった、とか。 |
祖父江 |
だから、見るの、嫌んなっちゃったんですよ。
何か苦手だったんですよ。
だけど、浪人した時に、
勉強しないといけないじゃないですか。 |
糸井 |
うんうん。 |
祖父江 |
二浪はさせてもらえないな、とか。
そうなると、教科書とか参考書とかを読むんだけど、
やっぱり、読まなければいけないものって、
嫌なんですよね。 |
糸井 |
(笑)うん。 |
祖父江 |
それで、まず、どうせだったら
こっちのほうがいいよなって、
つくり話とかが好きになったんですよ。 |
糸井 |
え、好きになったんだ!今度は。 |
祖父江 |
急に好きになったんですよ。 |
糸井 |
ええ〜(笑)。
うん、うん? |
祖父江 |
逃げてばっかりですよね。 |
糸井 |
高校を卒業してから、
こっちのほうがましだと思ったら? |
祖父江 |
そしたら、何か、おもしろくて。 |
糸井 |
その時、何を読んでいましたか?
小説ですか? |
祖父江 |
その時、小説あまり読まなかったです。 |
糸井 |
小説じゃなかったんだ。
何を読んでました? |
祖父江 |
うーん・・・。
恥ずかしいですけどね・・・
工作舎の本を。 |
糸井 |
へぇ。そっちに行くんだ、いきなり。
極端ですね。 |
祖父江 |
極端なんですよ・・・。
ちょっとねえ、あぶないでしょう? |
糸井 |
読まない奴が、いきなり工作舎。 |
祖父江 |
宗教が、入ってるでしょう? |
糸井 |
近いものがありますね。
農村でたがやしていた人が、
いきなりオウムに入っちゃうような・・・。 |
祖父江 |
うん。 |
糸井 |
はあ・・・。 |
祖父江 |
「おまえ、かたよった会社の
ものばっかり、読むなよな」
って言われたりもして(笑)。 |
糸井 |
(笑) |
祖父江 |
そう言えば、そうだよな、と思って。 |
糸井 |
それが、18歳くらいのこと? |
祖父江 |
そうです。それで大学に入って。 |
糸井 |
何科? |
祖父江 |
グラフィックデザインで。
寮生だったんですよね。
学校も、ほかの人の返事もしちゃうくらい
熱心に単位をとってたんですけど。
あの、構内に寮が建ってるから。 |
糸井 |
勉強は、できる子だったんですか。 |
祖父江 |
勉強ができるというより、
単位のとれる子でしたね。
で、単位をとっていたけど、
何か本が好きで・・・。 |
糸井 |
おもしろいなあ。
(つづく)
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