糸井 |
本嫌いが、工作舎の本を、
読みふけるようになったんですね。 |
祖父江 |
それで、読者カードとか
ついてるじゃないですか。 |
糸井 |
出すの? |
祖父江 |
宗教になっちゃってるじゃないですか。 |
糸井 |
(笑)うんうん。 |
祖父江 |
だから、
「ここの人の意見はあれだけど、
この人には、ちょっと、反感を持ったな!」
とか、いろいろ書いて。 |
糸井 |
(笑) |
祖父江 |
そしたら、
その時の工作舎は忙しくて、
春休みにバイトをしないか?
とか電話がかかってきた。 |
糸井 |
「やるやつだな」とか思われちゃったの? |
祖父江 |
たぶん、読者カードが来る中で、
多摩美の寮生ということは、
ちょっとは手伝えるかな、とか。 |
糸井 |
デザイン科だから。 |
祖父江 |
デザイン、って書いてあるから
かかってきたんだと思うんですよ。
それで春休みに行ったら・・・
帰れないんですよ。 |
糸井 |
(笑)わははははは。
絶えず仕事があるんだ?
それ、うち(ほぼ日)のスタッフの
木村くんみたいなもんだね。 |
祖父江 |
みんなが泊まりでやってるし・・・。 |
糸井 |
(笑)帰れない。 |
祖父江 |
帰れなくて帰れなくて、
気がついたら。 |
糸井 |
単位は取ってたのに、あんなに。 |
祖父江 |
貯蓄があったから、
いいなと思ってたんですけど、
帰れないまま夏休みも終わって。 |
糸井 |
(笑)春から!
あはははは(笑) |
祖父江 |
そろそろ、通知が、親のほうに。
出席していないので、
ちゃんとやらないといけないですよ、
みたいなのが親に届いたみたいで。
親から怒りの電話がかかってきて。
「ちゃんと卒業しないと、
行かせてやらない!」とか。
まあ、そりゃそうだなあ、と思って。
何でこんなに働いてるんだろうなあ、と。 |
糸井 |
(笑)「俺って」。 |
祖父江 |
それで、これは、
学校にちょっと戻りたいな、と
当時編集長だった松岡正剛さんに言ったんですよ。
そしたら、たまたまその時に、雑誌の連載記事で
大学から遊学へ、という特集があった時期で、
「大学行って、何するんだ」
とか言われて。
「大学っていうものは、どうなんだ?」
という、その特集は、そういう
問いかけのようなものだったんですよね(笑)。 |
糸井 |
(笑) |
祖父江 |
「ちょっと明日行ってみて、
大学にほんとに残ったほうがいいかどうか、
連絡してくれ」
とか言われて。 |
糸井 |
ほお。 |
祖父江 |
それで、大学行って、一日出席とって、
で、何か知らないけど、次の日に
また工作舎行ったんですよ。
で、行ったら、何か、
「勉強になったか?」
とか言われて。 |
糸井 |
(笑) |
祖父江 |
で、こっちのほうが
勉強になりますね、って。
まあ実際そうなんですよね。 |
糸井 |
うん、うん(笑)。 |
祖父江 |
で、何か知らないけど、
社員になっちゃったんですよね。 |
糸井 |
あはははは。
ほとんどそれ、
「ほぼ日」の木村じゃねえか(笑)。 |
祖父江 |
で、これ以上むだなお金を払ってても
しょうがないということで、
中退になっちゃって。 |
糸井 |
(笑)親には言ったのね? |
祖父江 |
うん・・・。
なんか、親とかは、わけもわからないまま
「そんな危険思想のところに」って。
東京に出てきたりしてね。
それで、ずっとアシスタントだったんですけど、
ちゃんと、アシスタントじゃなくて
やりたいなあ、って思うことが
いっぱいあったんですよ。
それで、たまたまその会社が
すっごく不渡りのようなものに
近いかたちになって。 |
糸井 |
(笑)工作舎が。 |
祖父江 |
そこのところで、急に
「全体会議だ!」とかいうことになって。 |
糸井 |
「不渡りも、出たし」(笑)。 |
祖父江 |
不渡りを出したかどうかは
わかんないんだけど・・・
で、何かと思ったら、
実は給料を払っていくのが
これだけ人間抱えてツラいから・・・。 |
糸井 |
抱えちゃったんだ。 |
祖父江 |
やめてもいいやつは、
どうぞやめてもらいたいと、
そういう会議だったんですよ。
ですから、ぼくより上にいたデザイナーは、
全員やめちゃったんです。 |
糸井 |
へえー。 |
祖父江 |
だから急にアートディレクターというか。
(つづく)
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