松本 |
いま、ものすごく休みが多いんですよ。 |
糸井 |
うそでしょ?
・・・あ、でもさあ、
それならそれもいいじゃないですか。 |
松本 |
まあ、それはそれで・・・。
そんなに友達もいませんし。 |
糸井 |
ふふふ(笑)。 |
松本 |
(時間を)埋めていくの、難しいですよ。 |
糸井 |
(笑)。 |
高須 |
松本って、自分と同じくらいのレベルで
休めている奴が、おれへんでしょ? |
松本 |
うん。それがいないんです。
ぼくの今のテーマなんですよね。 |
高須 |
それがむつかしい。 |
松本 |
むつかしい・・・
時間があって、金があって、という人が。 |
糸井 |
あ。ここにいる末永さん、ヒマよ〜。
一日に、原稿2枚書いて暮らしてる。 |
松本 |
(笑)。 |
高須 |
それでいいんですか?
何で、いいんですか? |
糸井 |
聞きたくなるでしょ?
ぼくが邱永漢さんの家で
ごはんをごちそうになった時に、
たまたま同席してた人なんですけど。
うなづきかたがものすごくいいなあと思ってて、
「また会いましょうね」と。
たまたま近所なので、今日は来てもらったの。
まあ、大金もうけて隠居しちゃった人です。 |
末永 |
・・・そりゃまあ、大げさですけど(笑)。 |
糸井 |
ま、大げさに言うと、だけどさ〜。
でも、それまでは十年間、アメリカの
証券会社につとめてて、ずっと働いてた・・・
で、今は一日に原稿2枚、書いてんの。 |
末永 |
そこ、もうちょっと増やしたいですけど(笑)。 |
糸井 |
(笑)でも、35歳ぐらいでしょ、まだ? |
末永 |
36歳になったばっかりですね。 |
高須 |
隠居ですかあ・・・。 |
糸井 |
(笑)ひどいと思わない?
俺は生まれてはじめて会ったよ?
こんなに若い隠居。 |
高須 |
ほんとにそれしかしていないんですか? |
末永 |
はあ、今は原稿だけ。 |
糸井 |
ほとんど知らなかったんだけどさあ、
インターネットで調べてみると、末永さんって、
「何でクルマ持ってないんですか?
と言われ過ぎてうるさいから買った」
とか、エピソードが、だいたいひどいんですよ。
末永さん、友達と会ったりも、してるんですか? |
末永 |
会社やめるとほんとうにひまになって、
それまでの友達は取引先だったりしますから、
確かに、会えなくなるんですよね。 |
松本 |
そうでしょうね。 |
末永 |
会っても話すことないです。
というか、話すことが共通しないというか、
話が、成立しないんですよ。
向こうとこちらの立場が全然違うから。
で、まあ・・・非常に退屈ですね。 |
糸井 |
(笑) |
高須 |
(笑)いいなあ。 |
松本 |
(笑)いや、よくないんでしょうね。きっと。
それはそれで、よくないんですけど。 |
糸井 |
よくないんだろうねえ。それはわかる。 |
高須 |
そうかなあ?
退屈な日々が欲しいなあ、一回。 |
糸井 |
こないだ、
高須くんと久しぶりに会って、
「どうしてこんなに、ひっきりなしに
働いていなきゃいけないかなあ」
って、話したんだよね? |
高須 |
そうですねぇ〜、
だってね、いくら働いても
楽になんないんですもん。 |
松本 |
こないだ、ワイズビジョンの
白岩さん(プロデューサー)が、
「好きなことばっかりやってると、
人間は、ヒマや!」
・・・って言うてたのは、
まあ、そうなんかなと思って(笑)、
人間、嫌なことをやらないと、
ヒマにできてるっていうのは。 |
糸井 |
俺なんかそうなんだけど、若い頃って、
「忙しくしたい」と、一度は思っていて、
それで生きていたところがない?
もう、絶えず仕事をしてたいって、
思ってたような面があって、
「お前、最初はそう思ってたじゃん?」
って言われると、
「・・・そうですね」って言うしか
なくなっちゃうんだけど。
かといって、忙しくしてると腹立つじゃない?
ヒマになるとまた文句を言うんだけど。
・・・末永さんのほうが
松っちゃんよりひどいと思う。
さっきちょっとだけ聞いたけど、露骨だもん。 |
高須 |
「ひどい」って(笑)。 |
松本 |
(笑)
「ひどい」「ひどない」
の次元じゃないですよね。 |
糸井 |
(笑)まあ、つまり、
「そうありうる確率」が低いと思う。
だって、末永さんの働いたその10年って、
さっきも言ったように、ほんと、
ものを投げつけあうくらいだったらしいよ。 |
末永 |
まあ、受話器が飛ぶという雰囲気ですよね。 |
松本 |
は〜。それじゃあ、性格も変わりますよね。 |
末永 |
会社の外で会った人が
会社に電話をかけてくると、びっくりする。 |
松本 |
そうでしょうね。 |
末永 |
「声がぜんぜん違う」って。 |
糸井 |
へぇ〜。一見のほほんとしてますよね。 |
末永 |
これが「地」なんですけど、
会社にいると少し違うみたいです。 |
高須 |
それ、ちょっとわかるな〜。 |
糸井 |
タレントさんが、
カメラ向けるとポテンシャルが上がるのと、
おんなじようなもんかなあ。
・・・あんなポテンシャルのやつ、
世の中に、いないよね〜(笑)。 |
松本 |
(笑)いるわけないですよね。
たま〜〜に、いますけども。 |
高須 |
いてんのかな? 誰? |
松本 |
そんなに変われへんやついるよ。 |
高須 |
今ちゃん(今田耕司さん)
なんかそうなんちゃう? |
松本 |
「やや」ね。
でも、あいつも、何年か前に、どっかで
「そうしよう」って決めた感はあるけども。 |
高須 |
「俺はこういうキャラで行こう」と(笑)。 |
松本 |
うん。ふだんから、
もう、全体的に上げていこう、
という感じにしたフシは、見られる。 |
糸井 |
(笑) |
高須 |
全体会議開いて、自分の中で(笑)。
今年はこうしていこう、って。 |
糸井 |
(笑)ひとり全体会議。オレ集合。 |
松本 |
昔はもう少し、暗かったな。 |
高須 |
暗かったなあ。 |
糸井 |
全体的に、お笑いの人って暗いよね。
暗くないはずがないよ。 |
松本 |
ほんとに、ひどいよね。
ココリコもふたりともしゃべらんし。 |
糸井 |
じゃあ、普通の人のほうが陽気じゃん。 |
松本 |
そうじゃないですか?
種類にもよるけど・・・。
でも意外と、だまーって、じーっと、
人のことを見てるような奴が多いよなあ。 |
高須 |
多いなあ、人間観察しながら
くすっと笑ってる奴とか。 |
糸井 |
聞き耳立ててる人とか。 |
高須 |
いやらしく、ニタニタ笑ってて、
何がおもろいんかなって聞くと、
「いやあ、おもろいから」
って、何がおもろいのか言わずに、
・・・それをゆえよ、お前!(笑)
っていうような奴が多いですよね。 |
糸井 |
「ひとが悪い」というのとは、違うよね。 |
松本 |
あ、ぼくは、芸能界では、
一番ましな部類だと思いますよ。 |
糸井 |
(笑)うん。それはなんか、わかる。
ポジションで考えたりしないもん。
それは珍しいよね。
(明日に、つづきます)
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