糸井 |
自分の脳波をはかるのって、
ちょっとおもしろそうでしょ?
もしやる気があったら、
言ってくれればいつでもできますよ。
松本さんが「絵で思う」っていうのは、
たぶん右脳をものすごく使っていて、
言葉にならないイメージが先に湧きあがって
俺には分かってるんだけど説明できない、
というようになっているのかなあ。
今の小説家のほとんどが、
左脳が動いてるんだって。
論理で、こうしてこうしてこうして、
っていうふうに書いてるらしいんです。
でもおそらく、詩をつくるのは、
そういう感じではないんですよ。
絵としてさえもなってないイメージを、
何とか作りたいなんて思っているのは、
どう考えてもロジックじゃないでしょ。
「どうしたらいいのかは
わからないけど、わしゃ分かっとんねん」
というのが、あるんですよ。 |
松本 |
うん。何となく分かります。
ぼくの場合は、
話していることが、例えば
絵を描いて、壁に貼っているような
ものだとしたら、ぱらっ、ぱらっ、と、
その紙が落ちるようなものなんです。
そこで、
これではいかんなあということで、
ピンを刺していくんですよ。
そのピンが多すぎても、
明確にばっちり貼れすぎてしまうので、
どのくらいの間隔で貼るか・・・
それ絵の大きさにもよるんだけど。 |
糸井 |
それ、ものすごくよくわかるわ。
ぼく、コピーを考えている時でも、
一年をつなぐキャンペーンをやる場合は
「あ、できた」と思ったとしても、
終わりにしないで、まずは
頭の中の壁に貼っておくんですよ。
そのポスターが街に貼ってあるとしたら
人はどう思うかなあ、というような、
そこからが、長い時には半年かかるんです。
コピーを考える時間よりも、
試し算をしながら生活する期間のほうが
実は長い場合もけっこうあるんです。
「できた」と思って、
自分にはイメージがわかったとしても、
それは、みんなにとっての
イメージではないかもしれないから、
自分の中の壁に絵を貼るところに、
大勢と仲良くするために貼っておくの。
「俺は、できた」で終わりにしたいんだけど、
ぼくの場合は、ずっと、
「人が何て言うかなあ」
が重要なところで商売をしてたから、
そういう時間が必要だったんですよね。
放送作家たちは、論理なの?
それとも、松本さん的な・・・? |
高須 |
いや、逆でしょうね。
まったく逆だと思います。
そこは二つに分かれるとは思うんです。
コントだと、いまだに
なんとなくアナログですから、
「それおもしろい、じゃ、やってみよう」
そうやって作ってできるものだと思うんです。
粘土を作って、いつのまにかできてるような
オブジェのようなのがコントだと思うんです。
でも、今のテレビで視聴率考えて
どうのこうのすると、その作りかたは
たぶん成立しなかったりするかもしれない。
「もっと、まるいもの・・・。
全体的にはこれくらいの幅で」とか。
「まるくて見やすくする」とか。
「今いいのは赤い色だから、それ入れて。
でもそれだけでは俺らがつまらないから、
ここから、何を足そうか・・・」
そういうところで、
「じゃあ、あれやろう、これやろう」
と、はめものみたいになってきますね。
だから「持ってくる」っていう感じで。 |
糸井 |
レゴみたいな。 |
高須 |
そうですね。
パズルはめるみたいになってますよ。
企画考えるのも、
けっこうそっちの話になってますね。 |
糸井 |
その時に、レゴのひとつが
松本人志だったりすると、
レゴのくせして違うかたちになって
反乱したりするじゃないですか。
それは、計算に入れるんですか? |
高須 |
入れますよ。
「遊びの範囲」とか、
天井はこのへんにしようとか、
そういうことは意識していますね。
でも、ぜんぜん違うことしますので。
こちらの思い描いているハコの中から
出ていってしまう時も、ありますから。
でも、今の放送作家は、基本としては、
粘土を作るような作りかたを、
バラエティではしていないですよね。 |
糸井 |
だから逆に仕事になるとも言えるんだね。
みんな松本人志じゃ困るわけですから。
・・・でも、松本さん、
企画も、ずいぶんしてますよね? |
松本 |
あ・・・割とぼく、今、企画は
そんなに前ほど一生懸命やっていないですね。
「ガキ」のオープニングなんかも、
前ほどは、時間かけてやってないです。
それは意識してそうしてるところもありますね。
ちょっと、ふわっとして、やってみようかなあ、
という、今はそういう期間で。
来年になるとどうなるかは分からないけど。
割とこの一年、企画、早いよな? |
高須 |
早い早い。 |
松本 |
会議も早く終わらせます。
あんまりそっちばっかりやっても
しょうがないかなあと思っていて。 |
糸井 |
サイズが変わっていく時期なんだろうね。
サナギとかが・・・。 |
松本 |
うん。
(明日につづきます) |