ダ・ヴィンチ×ほぼ日刊イトイ新聞共同企画 中島みゆきさん、おひさしぶり。 ややこしくておもしろい、歌をつくるということ。
最終回 人のあいだに、つなぎ目がある。
糸井 なぜ“詞や曲はどういうときに書くんですか?”
“どうやって書くんですか?”って
人が訊くかっていうとね、
それは人はつなぎ目が好きだからです。
つなぎ目はどうなってんのかなあと、
人はみんなそこをアップで見たがるんですよ。
中島 どうなってんのかなぁ、と?
糸井 今、お寿司を食べているこのお姉さんは、
どこからあの歌を吐き出しているのかな、
そこを見たい! って思うんです。
板さんが「みゆきさん、どんなふうに
曲をつくるんですか」って訊くのは
そういうことなんです。
中島 はあああああ。なるほどね。
糸井 だから、詞と曲が交配するときだとか、
生まれくる瞬間だとかのつなぎ目に
誰もが興味を覚えると。
ある意味、それは性的好奇心にも近いというか。
中島 あー、そういうことですか。
糸井 教えてあげました(笑)。
中島 ありがとうございました。
目から10枚くらい
コンタクトレンズが落ちました(笑)。
糸井 ぼくも何回か考えましたから。
なぜ俺はそんなことを知りたがるのかと。
その結論が、つなぎ目説です。
つなぎ目見ると興奮するんです(笑)。
中島 次からは、そういう質問の際は、
そういうことだと理解します(笑)。
今までは、聞かれるたびにね、
真面目に答えようと思っても、
確固たる答えも持ち合わせていなかったし。
どういう答えを期待されているのかも
不可解だったし。
糸井 ただ知りたいようにできているのが
人間なんですよ、きっと。
中島 ただ知りたいんですね。
糸井 うん。スケベ心。
中島 大抵は軽く尋ねられるというか。
だから軽く答えようとしても、
ごく軽い答えが浮かばないんですよ、何にも。
糸井 ないない。それは板さんに逆に、
料理をおいしく作ろうとか、
できたぞ! って思う瞬間について質問したら、
やっぱりその人も答えられないと思いますよ。
中島 ああ。
糸井 だからみんな
自分のつなぎ目については無我夢中なんです。
中島 あはははは。そうねえ。
糸井 性ですから、犬と同じですから。
もう白目剥いてハアハアいって。
中島 白目〜!!(笑)
糸井 そこ、俺じゃないもん!
みたいなとこあるんです。
中島 なんで? って言われても困るんですよね。
糸井 困る困る。
中島 説明せよと言われてもね。
糸井 諍いごとっていうのも、
激しいつなぎ目ですから。
中島 ああ確かに。
糸井 ドラマツルギーも、激しいつなぎ目ですから。
中島 そら、そうですね。
糸井 複雑なつなぎ目で、
よく見たら見えたぞっていうのがドラマですから。
中島 今、目の前を染色体のつなぎ目が
ふわふわと通りすぎて行きました。
糸井 染色体もそうですね。
つなぎ目理論、公にしたの始めてです。
中島 まあ、貴重な。
糸井 いやいや、中島みゆきにサインしてあげた、
そんな気分ですね(笑)。
中島 家訓をいただいてしまいましたね。
糸井 よかったです。
中島 わたしの歌が変わるかもしれません。
糸井 いちファンとして、
最善のことができたような。
中島 ありがたいことです。
師匠と呼ばせていただきます。
糸井 ‥‥!!(笑)
中島 言葉の師匠。
糸井 ありがとうございます!
中島 ありがとうございますー。
糸井 おもしろかったー、ほんとに。
こんな対談、そんなにはできない!
中島 うふふふ。
糸井 おしっこしてきていい?
(トイレに中座して戻ってくる)
今の対談、利尿作用があったみたいで。
中島 (笑)。
糸井 ものすごーくたくさん出ましたねー。
中島 あらまー。
糸井 ここ3年ぐらいの間でいちばん出ました。
中島 細胞が活性化したんじゃないですか?
糸井 あのね、ぼくもいろんな謎が解けましたからね。
中島 あははは。細胞が動いたんだ。
糸井 動きました。
あらためてありがとうございました!
中島 こちらこそありがとうございました。
2007-09-24-MON
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