零士 |
読者からたくさんもらった質問のなかに、
58歳の人とか、62歳の男の人がいましたよねぇ。
この人たちって、すっごい純粋じゃないですか、
思ってることが。 |
糸井 |
そうですよねぇ。
俺もそう思ったよぉ。 |
零士 |
びっくりしたでしょ?
僕はもうこれ、びっくりしたんですよー。 |
糸井 |
思ってることをストレートに書いてくれるってのは、
やっぱりすごいですよねぇ。
「ほぼ日」も信用されてるんだろうけど、
思ってることを出してくれるだけでねぇ……。
うれしいですよね。 |
零士 |
そうなんです。
僕にも気持ちが伝わるわけなんですよ。
「この人、マジで質問書いてきてんな」と。
できれば、そういう人たちに
今回の話をわかってもらえれば……。 |
糸井 |
その人たちも「タフでマメ」って
メモ書いたかもしれないよね(笑)。 |
零士 |
はい、書いてほしいですねぇ、これは。
明日の朝から急に身体鍛えちゃったりしてね(笑)。
「丈夫になって長生きしなきゃダメなんだよ」って。
「健康第一だ!」なんて、ハチマキしちゃったりしてね。
朝、起きてきた娘にバカにされちゃったりしてねぇ。 |
糸井 |
「やだお父さん、なんなの、それ?」
なんて言われて(笑)。 |
零士 |
「え、牛乳だ!」なんて、
昨日までお茶だった人が「健康第一!」なんて、
ウーッ! って牛乳イッキ飲みして(笑)。 |
糸井 |
これからは「タフでマメだ!」(笑)。
いや〜、それでさ、
みんながモテるってことを語ってるときに、
「僕はいらないや」という人もいますよねぇ?
「べつにモテなくたっていいや」って人もいるけど、
男の人は総じて素直に
「モテてみたい」って言い方をしますよね。 |
零士 |
ええ。
じゃ“モテる”にテーマしぼりますか? |
糸井 |
しぼりましょう。
モテ道入門ですからねぇ。
まず、『タフでマメ』というキーワードは出てると。 |
零士 |
具体的にはですね……、モテるってことには
「モテる」「モテている」「モテたい」
いろいろあると僕は思うんです。
「モテる」というのは、結果論で、
「モテている」というのは形容詞で、
「モテたい」というのは、その人の欲望、願望ですね。
で、「モテている」というのは、たとえば
お金を使ってるからモテているとか、
お金をもっているからモテているとか、
かっこいいからモテているとか、
じゃあ、そうじゃなくなったら……モテなくなるわけです。 |
糸井 |
そのとおりです。 |
零士 |
「モテる」っつーのは、ずっとモテるんです、結果なんで。
僕はそう考えてるんです。 |
糸井 |
はー、一時的なものじゃなくて? |
零士 |
一時的にってのは「モテている」ですから。 |
糸井 |
あるいは、「モテたことがあった」とか。 |
零士 |
過去形ですね、これはもう。 |
糸井 |
若いとき友達とよくしゃべったんだけど、
「みんな人生に一度は華の時期があって、
それが小学校で来ちゃったヤツは後が悲惨だ」とかね。 |
零士 |
そういう話、ありますよね(笑)。 |
糸井 |
だいたい普通の人は、一生をつうじて、
「あの頃はモテてたっけなぁ……」で終わりますよね。
それがずっとつながっている人が、
世の中にはいるわけですよね? |
零士 |
だから、そういう人たちは、
いっつも女のこと考えてるんですよ。 |
糸井 |
考えてるんだ? やっぱり。 |
零士 |
考えてるんですよ、ぜったい。
考えてなきゃ、そりゃ無理ですよ。 |
糸井 |
字幕入るねぇ(笑)。 |
零士 |
“考えてなきゃ無理” |
糸井 |
つまり、俺はぜんぜん考えてないのに、
向こうから女の子がわんさかやってくる、
なんてことは、ない? |
零士 |
たとえば、バス釣りのルアーでも、
子どもの頃釣りしてて、あるときいったん熱が冷めて、
また釣りにカムバックして、釣り道具屋行くと、
もうわかんないルアーだらけでしょ?
自分が昔持ってて、すっげー大事にしてて
「こーれはぜったい釣れるんだ!」というルアーも
なんか今じゃ釣れない気になってくるんですよ。
不安になってくるんですよ。 |
糸井 |
はいはい。 |
零士 |
そうするともう、自分の熱はトーンダウンして、
その時点で半分になっちゃうんですよね。
“継続は力なり”っていいますけど。 |
糸井 |
(笑)おお“継続は力なり”。 |
零士 |
ちょっと古風ですけど(笑)。
女にモテるというのも、そーなんですよ。
モテてなくても、モテたいと思ってて、
いつもいつもずーっと
お姉ちゃんの尻を年中追っかけてると、
一応は、その時代の流れには入ってるわけですよ、
気持ちだけも。
結果は別として。 |
糸井 |
参加することに意義があるんだ? |
零士 |
そうなんですよ! 意義があるんですよ! |
糸井 |
場からおりてるくせに、モテたいってのは、
ずうずうしいんだ? |
零士 |
それは無理ですね! |
糸井 |
そーだよねー。 |
零士 |
それは俺、無理だと思うんですよ。
たとえば、俺は60センチのバスを釣りたいんだ、と。
そりゃ釣りたいと思うのは勝手ですよ。
でも、釣るには、やっぱ上手くならないと。
上手い人が釣るんですよ。
「なんでアイツは釣れるんだろう???」
それはそいつなりに、いっつも考えてるんですよ。
夢のなかでも。 |
糸井 |
考え方は釣りに似てるね。すっごく。
でも、実際に釣りするとモテなくなるんですよ(笑)。 |
零士 |
それは、そっち(釣り)に行っちゃうからですよ(笑)。
ホントに釣りにハマっちゃうとねぇ……。 |
糸井 |
つまり、魚に向けて力をそそいじゃう(笑)。 |
零士 |
釣りにハマっちゃうと、
魚が恋しくなっちゃうんですよ。
もう、魚のことばっかり考えちゃって。
夢のなかでも、釣りに行く前の晩から、
「こーのルアーに60センチのバスが
“ガブッ”といくのか〜!」とかねぇ(笑)。 |
糸井 |
そーだよねー、俺、自分のことはっきりわかるもん。
釣りを始めてからさ、
モテるパワーぜんぜんなくなってるもん(笑)。 |