零士 |
僕らの世界は、すごい厳しいんですよ。
だから俺、息子ができたら、店に入れたいですよね。
手っ取り早いですから。 |
糸井 |
零士さん、結婚してないんだよね? |
零士 |
してないです。 |
糸井 |
しないですか? この後も。 |
零士 |
子どもはほしいですね。
息子がほしいです。
で、ホストの世界に入れちゃいますよ、一回。
半年くらい。 |
糸井 |
「いいところだからさ!」と言って入れるの? |
零士 |
いや。
「いろんなものが、よく見えるよ」と。
「人間関係がよーく見えるから」って。
「タテ社会が基本で、
ピラミッドの形がよくわかるよ」って。
どうやって上がっていけば、頂上に辿りつくかってことが、
よく見えるから、見てきな、って言いたいですね。
で、やっちゃいけないことは、こういうことだよ、って。 |
糸井 |
僕、ほかの業種に関してよく言ってるんだけど、
今まで立っていたピラミッドの三角形が、
今は倒れてきている時代だと思ってるんですよ。 |
零士 |
だから、僕らまっすぐに立ててるんですよ。あえて。
まず、そこをわかった上で、
タテ社会、ピラミッドを立ててるんです。
従来のホストのイメージってのは、
ぬぐい去れない部分で……、
あれは20世紀が生んだ産物というか、名称ですよね。
21世紀に向かって、こういう僕らのように
仕事を伸ばしていこうと思っている人間には、
ホストではない、ちがう言葉があれば……。
なんか……ものすごい訓練を受けて、
すごい最新の戦闘機を乗りこなすというか、
そういうイメージでやってるわけですよ。 |
糸井 |
レンジャー部隊とか(笑)。 |
零士 |
でね、こないだ、うれしい話を聞いたのは、
田舎にいる知りあいのオジサンが同窓会に出たときに、
そこに子どもが来たんですって。中学生の。
でまあ、普通の会話の中で、
「おい、オマエ、大きくなったら何になるんだよ?」
って言ったら、
「僕、ホストになる!」
「は?」
「ホストになりたい」って。
「こないだテレビに出てた人がいて、
僕、あの人のところに行く!」って
言ったっていうんですよ。 |
糸井 |
まるで、スポーツ選手みたいだね。 |
零士 |
3、4年前では、これ、考えられないことですよ。
若い男の子たちの、そういうせっかくの気持ちを
ホストという名称を出しただけで、
「あー? なに言ってんのアンタ!」みたいなね、
「バカなこと言ってんじゃないよ!」って
親に言われないような、なにかを
僕らは作ってあげたいです。 |
糸井 |
それは、あれですね、
いったんちがう業態に見える店があって、
そっちの方向に全体が向かっていったときに、
見えてくることですよね。 |
零士 |
ええ。
今すぐには無理ですね。難しすぎて。
ずーっと考えてるんですよ。
だけど、出ないです、答えが。 |
糸井 |
無理やり取ってつけても、結局ダメですからね。 |
零士 |
なにか大きなものを実質的に作り上げておいた上で、
実は、昔からホストというのは厳しい世界で、
決して悪くはないんだけど、
ホストという名称はそれはそれで、封印して、
新しい名称で……なんかこう……、
夜のパイロットみたいなイメージで。 |
糸井 |
夜にはちがいないもんね。
だったら、“ナイト”もいいよね。
“騎士”という意味の。
でも、それ呼び方かえてもちがうんだよな。
まず先に新しい箱があって……。 |
零士 |
昔からのイメージからきちゃってるから……。 |
糸井 |
ホストってもともといい意味の言葉だもの。 |
零士 |
呼び方だけかえても、川でいうと支流を作っただけ
みたいになっちゃうから。 |
糸井 |
やっぱり実体がかわらない限り
新しい名称はなかなか出てきませんよね。 |
零士 |
みなさん、いい呼び方があったら、
アドバイスよろしくお願いします(笑)。 |
糸井 |
えー、というわけで、
かなり長い時間、モテ道について話してきました。
どうもお疲れさまでした。
いや〜、おもしろかった〜。
ためになったなぁ〜。
やっぱ、大事なのは、言葉ですね。
俺らおしゃべりだね、
ってことは、俺なれるね。
50代のホスト(笑)。 |
零士 |
なれますね(笑)。 |
糸井 |
だけどさぁ、やっぱ参加してない感じあるわ。
俺、モテない光線出しまくってるもん(笑)。 |
零士 |
(笑)みなさん、ありがとうございました。
おやすみなさい!
(おわり) |