糸井 |
人間って人のことを知りたいから、
それぞれの人を、十二支にしてみたり、
誕生日で占ってみたり、血液型だとか、
いろいろジャンル分けがありますよね。
零士さんは、そういうジャンル分けの
おおまかなものをもってるんですか? |
零士 |
僕はねぇ……今の質問は、女性に関してですか?
人間に関してですか? |
糸井 |
女性と人間で、答えがちがうんだ? |
零士 |
僕はいちおう分けてるんです。 |
糸井 |
女性にしましょう。 |
零士 |
わかりました。
女性の場合は、
非常に攻撃的なタイプと、
普通のタイプと、
そうじゃない、どちらでもないタイプとあって、
攻撃的なタイプに関しては、
ひとつの事を適当に流さないで、
ひとつの事をつかまえたら、
畳みかけるように戦うしかないんですよ。
「そーじゃない! それはおかしい!」と。
そうすると、フッと息をつくときがあるんですよ、
そういう女性って。
僕はデータ主義なんですよ。 |
糸井 |
ID野球なんだ? |
零士 |
その女性が人に対して
どーいうふうに自分を出しているかを見ます。
自分ってぜったい出すんですから。 |
糸井 |
攻撃的なタイプの女性が使う言葉だとか、
服だとか、そういうものってあるんですか? |
零士 |
言葉は……「私はね」です(笑)。
あと、なんでそこまで自信満々に言うのかな、みたいな。
「私はね、あんたとはちがう、誰々とはちがう」
「私は私だから……」
で、「あんなヤツなんか何よ!」とかね。 |
糸井 |
基本的に攻撃的なタイプの女性は、
ホスト業界全体に対して、
上下関係みたいなことを考えてるんですか?
「あんたたちより私のほうが上だ」みたいな。
……とは限らない? |
零士 |
「なによ、失礼な!」みたいなね。
ちょっと“お蝶夫人”っぽく。 |
糸井 |
“お蝶夫人”(笑)。 |
零士 |
強気に気取った感じで「フッ」なんて……、
そーいうヤツに限って
本当は「フッ」じゃないんですよ! |
糸井 |
「フッ」じゃない(笑)。 |
零士 |
「フッ」じゃないんですよ! |
糸井 |
なんなんですか? |
零士 |
本当は、自分はそうじゃないと思ってるから、
そういう行動をとるんです。
僕は完全に、そう決めてかかってます。
じゃないと、その人の攻撃的な部分に惑わされちゃって、
その人の本音をつかみきれないんですよ。
本音を言わせるようにするのが僕らの習性なんですよ。 |
糸井 |
まず自分で、必ず成せば成ると思ってるわけだ? |
零士 |
思ってるんです。
で、たまに読みがちがっても
成っちゃうときもありますよね。
あと、普通のタイプは
それはそれで、わりと特徴が出てきますから……。
いちばんヤバイのが、
攻撃的でもなく、普通でもなく、
「この子はいい子だろうなぁ……」っていう女性。
このタイプだけはヤバイですよ。 |
糸井 |
え、どういうこと、それは?
「いい子だろうなぁ」って。 |
零士 |
あの……保守的なタイプ。
意外と頑固なんですよ。
だから、その人の価値観をわかったうえで、
その人のちょっとした心の針を揺らすというか……。
そんなようなことを、早い段階に言わないと。 |
糸井 |
え? な、な、なに?
今のはむずかしそうだなぁ。 |
零士 |
たぶん、「ホストへの質問をください」というのに、
まじめに答えてくれる人もそうなんですけど、
基本的に保守的なんですよ、自分の考えに対して。 |
糸井 |
それは慎重ということと近いんですか? |
零士 |
本物で、なおかつ自分が本当に理解しないことに関しては、
ぜったいに受け入れないんですよ。
そういう人って人前ではすごく
「あー、そうなんですか、いいですねぇ」って感じで、
なんでも受け入れてるように見えるんですけど……。 |
糸井 |
実は頑固なんだ(笑)。 |
零士 |
頑固なんですよ。
そういう人いっぱいいますよ、
僕に質問してくれた人のなかに。 |
糸井 |
だって、俺がそうだもん。 |
零士 |
そうでしょ?
「あ、いいですねー」なんて言ってても、
あ、これはぜったいちがうな、とかね。 |
糸井 |
別に俺はいらないや、とか平気で思ってますよ。 |
零士 |
そうでしょ?
そういう人には、早い段階で……、
たとえば、そういう糸井さんを俺が口説く場合には、
とにかく時間かけちゃダメなんですよ。
インスピレーションなんですよ、本当にもう。 |
糸井 |
おお(笑)!
時間かけちゃダメ。 |
零士 |
本当に、時間かけちゃダメなんですよ。
でも男ってのは、
「この人は時間かければ、きっと俺のこと
わかってくれるな」
とかって、思っちゃうわけですよ。
でも、本当は違うんですよ。
早い段階で、ドンピシャで、
インスピレーションがお互いに閃くようなことを……、
“心の針をゆらすようなこと”を
いかに早い段階で言えるかどうかなんですよね。
その女性といい関係になるには。 |
糸井 |
うわー、それ、いちばん難しそうですね。
さっき話が出た、“攻撃的なタイプの女性”より
難しいですね。 |
零士 |
難しいでしょ?
攻撃的なタイプの女性のほうが簡単なんですよ。
……隠しているものが見えるから。 |
糸井 |
あ……そうか!
攻撃的なタイプの女性が
ある部分で突っ張ってたら、
その内側に弱点があるんだなって
わかりやすいわけだ〜。
その逆で、柳に風で、
逆らわず、おだやかにあしらうという
一見けっこういい人というのは、
何を守って、何が弱点なのかわからないのか……。
だから、インパクトのある表現で
早い段階でつかまえる、と。 |
零士 |
そうです。 |
糸井 |
零士さんがお店の新入りのときに、
アイスペールかかえて、わざと滑って転んで目立った、
みたいなことですよね? |
零士 |
そうなんです。
そういうのを、何気に見てるんですよ。
でも、それを見せないんですよ、保守的な人ってのは。
(つづく) |