糸井 |
いちばん難しいタイプ、
いい人系の女性を口説くときに、
“お笑い”ってのは使えるんですか?
ほぐすというか……。 |
零士 |
いい人系というのは、今言った、
保守的で、ある程度人あたりがよくて、
でも実際は頑固だ、という人ですね? |
糸井 |
そこでの、いちばんインパクトのある表現とか、
より接近するための手法ってのは、
感動ですか? 笑いですか? 涙ですか? |
零士 |
あの……そういう女性をですね、
自分がこう……あれするには……。
そういう女性って、こっちのことをよく見てないようで
実際は、よーく見てるんですよ。
見てないようで、見てる。
だから僕はガキの頃に、
「俺がこういう行動したら、あの女の子は
どういう顔をしてるか、向こう側から見ててくれ」と
友だちに頼んだんですよ。
つまり、そういうことなんですよ。
難しいんですよ、基本的には。
真正面から行ったら、本音を見せてくれないんですよ。 |
糸井 |
は〜〜〜。 |
零士 |
そういう意味の事を、
僕はさっきしゃべってたと思うんです。
ガキの頃の話では、ただ漠然と、
「僕が後ろから、その女の子のことを見てたら、
その女の子はどういうことを思ってるか、考える」
と言ったんですけど、つまり、そこまでして
考えなきゃならない相手なんですよね。
こっち側が考えさせられるほどの相手なんですよ。
非常に難しい相手なんですよ。 |
糸井 |
それこそ、商売でモテ道を追求してる人としては、
落としたくてしょうがない、という部分は……? |
零士 |
あるでしょうね。ありますね。
でも、保守的ですから、
なーかなか心の針がゆれないんですよ。 |
糸井 |
いわば、その女性の人生観を変えさせるような
ところってあるわけでしょ? |
零士 |
(小声で)あるんですよ……。
だからもう、ある意味、宗教的な部分というか、
なにかがないと……。 |
糸井 |
カリスマ性だ! |
零士 |
カリスマ性です。
そういう意味でのカリスマという言葉は
いい言葉だと僕は思うんですよ。
本当のカリスマで、
その人の心のなかに入っていって、
実際にその女性のことを
きちんと理解してるわけですよ、こっちは。
会ったしょっぱなに、ポッとつかむ。
会った日のうちにもう「はい、わかってますよ」と。 |
糸井 |
それは、主にやっぱり言葉ですか? |
零士 |
言葉でしょうね。
あと……洞察力。 |
糸井 |
洞察力(笑)。 |
零士 |
「俺は洞察力がないんですよ」って人は、
「じゃあ毎日見てろ、考えろ」と。 |
糸井 |
人のバッティングをよく見てろ、みたいなもんだね。
ビデオに録って自分のフォームを研究するとか。 |
零士 |
ぜったい大事なことですよ。 |
糸井 |
「早い段階で心の針をゆらさなきゃいけない」というのは、
よくわからないけど、わかる気がするねぇ。 |
零士 |
そうでしょ!
時間かかっちゃダメなんですよ!
時間かけちゃうと、
なにかあと一歩入り込めないんですよ。 |
糸井 |
つまり、兄弟の関係になったら
意味がないってことですよね。
姉妹とかね。 |
零士 |
そうなんです。
で、向こうはそうさせようとするんですよ。
向こうがですよ。
こっちはそういう気はなくても。 |
糸井 |
しますよね。
で、若い男がよく失敗するのは、
女の子の仲間になっちゃって、
女同士のつきあいになっちゃう、というケースですね。
それはモテてるを越えて、
「男としては、なんでもないヤツ」に
なってるケースってありますよねぇ。 |
零士 |
あー、はいはい。
いい人で終わる、というね。 |
糸井 |
あれは、時間かけちゃったという……。 |
零士 |
時間かけちゃったというのと、
やっぱり、その、
どうも歌はうまいんだけど、リズム感がない。 |
糸井 |
(笑)。 |
零士 |
タイミングがわるい、
間のとりかたがわるいんですよ。
でも、タイミングとか、間も、
いっつも考えてやってれば見えてきますよ。
できないってのは、
どっかやっぱりズルしてるというか
怠けてるんですよね。 |
糸井 |
怠けてる? |
零士 |
怠け者……それはいけませんよ〜。
せっかくの才能を無駄にしちゃいますよ。 |
糸井 |
は〜〜〜。
あの、たとえばの話で、
今はもう使わないセリフで、
こう言ったらうまくいった、という言葉はありますか? |
零士 |
もう使わないセリフで……? |
糸井 |
昔こういうふうに言ったら、
保守的な女の子の心の針がゆれて、
一気にグラッときたという、そういう言葉です。
あ! 零士さん、まだ現役で使ってそうだなぁ(笑)。
そういう言葉ってありますか?
(つづく) |