HOST
いっそあのホストに訊こう!

第29夜 ホストという呼び方を変えたいんだって?



零士 長い時間しゃべってきましたけど、
これだけ十分に話す時間をもらえれば、
こっちの言ってることは読者に伝わると思います。
中途半端なヤツがでてくると、
「まーたなに言ってんの、この人!」と
思うかもしれませんが、
一応、僕が出てきた以上、
ここで話してることは本当のことですから。
でも、ひじょうに簡単で、当たり前のことを
しゃべってきたんですよ。
糸井 そうなんだよねー。
本当は簡単なことなんだろうけど、
人はついちがう方向に考えがちですよね。
零士 だからそっちに行くのを、うまくこう、
止めてあげたいという思いが強くて……。
だから今日こうして対談してるんですけど。
「そこから先に行っちゃわないで」と、
「メールで質問してくれたことの先に
 行かないで、もどってくれ」と。
 
糸井:
“研究と書いて、どりょく(努力)と読む”。
モテたいというテーマって、
研究できるから話が広がっていくんだもんなぁ。
零士 そうなんです。
若い人は特に、自分の位置を見ておかないと、
なにげにヒツジの群れと同じように動いてるんですよ。
それよりは、ヒツジの群れを仕切る、
牧羊犬になってほしいですね。
糸井 それは、零士さんは
自分でやってきたという自信があるんだよね。
零士 あの牧羊犬もきっと責任感もってやってるんですよ。
誇りをもって。
糸井 零士さん、なんか……、
ホストという呼び方を変えたいんだって?
零士 そーなんですよ。
なにか僕らの仕事を、ホストという言い方以外に……。
まあ「ホストクラブ」がありますよね、
これって水商売のなかでの
男の世界では最高の地位なんですよ。
いわば、パイロットで言ったら、
戦闘機のパイロットなんですよ
で、ホストクラブの別な言い方としては
「ボーイズバー」とか「ホストパブ」とか、
いろいろあるんですよね。
「ボーイズバー」はちょっと暗いとか、怪しいとか、
そういうイメージを感じるんですよ。
で、僕がたどりついたのは「ボーイズクラブ」。
……今のところ、これ以上の言葉がないんですよ。
募集したいんですよ、俺。
ホストに代わる言い方を。
糸井 でも、“ボーイズ”って言うと、
ちょっとゲイな感じがしますよね。
零士 それがあるんですよー。
だから、「ボーイズクラブ」、いいんですけど、
いまいちピントがきてないんですよ。
「ボーイズバー」って言うと、
「それ、ホスト予備軍だろ?」って感覚です。
「パブ」とか「サパー」ってのもあって、
サパ男(さぱお)って言い方の人もいますけど、
やっぱり、ホストはホストなんですよ。
糸井 呼び方については時間がかかるよねぇ。
零士 ええ。
ホストが増えていってる今、
先のことを考えると、名称を変えたいと思うんですよ。
で、僕らの世界で……、なぜ歌舞伎町で
今これだけホストが増え続けているかというと、
タテ社会だからなんですよ、基本的には。
体育会系なんですよ。
そうじゃないと、ご法度ごとが守れないんですよ。
糸井 零士さんの店のホームページで
男の人の写真紹介を見ると、
みんな坊主頭にしたら
甲子園球児の顔してますよね。
運動部の顔ですよね。
零士 わかりました? やっぱり?
タテ社会、体育会系じゃないと、
秩序が守れないんですよ。
女がからんじゃうと。
糸井 目先の欲望で動いちゃうんだ?
零士 ええ。
今、俺がこうやって2時間かけてしゃべってるのを
聞いてるときは、わかるんですよ。
でも、現場になったらやっぱり、走るんですよ。
糸井 そうだろうねぇ。
零士 で、秩序とモラルを守らせるためには、
体育会系で縛るしかないんですよ。
30人で派閥をつくらずに、30人で店を動かす場合はね。
それが50人になったら、割ったほうがいいんです
だから、そういう意味で、
我々はこれだけちゃんとやっているわけですよ。
まあ、もーのすごく厳しい世界ですよ。
で、みなさんが思ってるよりは、
めちゃくちゃ厳しい世界なのに、“ホスト”って言うと、
たとえば、昔、体育会系でがんばってきたお父さんが、
「なに? ホスト!?」ってマイナスイメージで言うのが
僕はすごく残念なんですよ。
そういうんじゃないんですって!
俺たち相撲部屋みたいな感じで
がんばってるんですよ。
もう、めちゃくちゃにしごかれるし、
時には本当にブッ飛ばされてますからね

仕事で酒飲んでも、ヘベレケになってても、
ミスはミスで怒られますから。
すごい厳しいですよ。

(つづく)

2000-07-19-WED
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