糸井 |
それほど恥ずかしさが強いとも言えるんだ? |
零士 |
で、睡眠削って動いて時間つかって、
そこまでやったら、恥もクソもないだろ、と。
そうなったときに、
「多少色気あるんじゃないのアイツも」と、
最近ちらっと聞きますけど……。
それまで自分のことで、
色気なんて言われてるのを聞いたことないですよ、俺。
“やり手”だとかね。
“そつがない”とか。 |
糸井 |
もっと猛獣扱いされてたわけだ? |
零士 |
ええ。
で、自分はそれでいいと思ってました。
色気があるなんて言われるのは逆に、
ナメられてると思ってましたからね、僕はね。
そんなの俺はいいんだと。
だから、色気のある人ってうらやましかったですもの。 |
糸井 |
つまり、恋愛関係だとか、男女のことに
参加しているんだけれども、
実はそのことが恥ずかしい、みたいなあたりに……。 |
零士 |
恥ずかしさがあったり、すごく人目を気にしたり、
自分でもいろいろ気にしてるんです。
考えてるんです。
でも、さっき言った色気ってのは、
恥をかける、自分をさらせるっていう、
そのまんまで……ってことですよね。 |
糸井 |
山崎まさよしには、なれないよねぇ。 |
零士 |
なれないですよ。
寝巻きみたいな格好で、いきなりギター弾いて、
めちゃめちゃキザなことを歌いきっちゃって、
というのはできないですよ。僕らには。 |
糸井 |
むずかしいよねぇ。
にしきのあきらのようになら、できてもねぇ。 |
零士 |
ええ。
こうやって、わざと「ウワーッ」って騒いで、
「愛してる〜!」なんていうのは、できますよ。
たぶん、みんなできるんですよ。
ミカン箱ならべて、上に立って(笑)。 |
糸井 |
で、やろうと思えば、郷ひろみのラインも
ありえますよねぇ。 |
零士 |
できるんですよ。
郷ひろみさんも、ある程度は天然の部分はあるけれども、
恥ずかしいとか、シャイな部分もあると思うんですよ。
それを、成りきっちゃうことによって、
ガーッとやることによって、
あの方法がいちばんいいと考えたんでしょうね。 |
糸井 |
だから、ハレとケで言うと、
ハレの色気っていうのは、マネできると。 |
零士 |
できます。 |
糸井 |
表現だから。
ところが、ケの色気……、
ただ飯食ってるだけで色っぽいとか、
みそ汁すすってても色っぽいとか、
そういうの、あるよねぇ。 |
零士 |
にじみ出ちゃってる色気は、
あれはもうね、原発からもれた放射能みたいに、
出たらドワ〜っといつまでも漂っちゃうんですよね。 |
糸井 |
はぁ〜。 |
零士 |
あれはヤバイですよ。
そういうものなんでしょうね。 |
糸井 |
あれ、なくなることもあるんですかね?
ああいう色気って。
鮮度保証期間とか、賞味期限ってあるのかな? |
零士 |
いや、忘れたころに
また効いてくるんですよ、あれは(笑)。 |
糸井 |
(笑)たちわるいねぇ。 |
零士 |
たちわるいんですよ。 |
糸井 |
みんな、さらわれちゃうよねぇ。 |
零士 |
だから、僕らは警戒するんですよ。
ふと、言葉じゃなく雰囲気で持っていっちゃう。
色気でモテるヤツってのは、それですよ。 |
糸井 |
でも、ああいう人は派閥はできないでしょ? |
零士 |
できないですね。
単体ですね。
でも、色気にみんな冒されちゃってるから、
30対1でも、勝っちゃうんですよ。
勝っちゃうし、
なんで勝っちゃうかというと、
みんなが道を譲ってるわけですよ、それは。
できるヤツほど、譲るんですよ。
「はい、お手上げ」と。
そういう図式があると思いますよ、僕は。 |
糸井 |
この話は、続きをまた今度しゃべりたいね。 |
零士 |
しゃべりたいですね、コレ。 |
糸井 |
ここがいちばん面白いですね。 |
零士 |
ええ。
ずっとしゃべってきて、
もうそこに辿り着いたと思うんですよ。
モテるということで、
「どんな男には負けると思う?」
って糸井さんから振られたときに、
「いや、言葉じゃなくね、ちがうことで、
持っていっちゃうヤツがいるんですよ」
っていうのは、そういうことなんですよ。 |
糸井 |
とってもビジネスにはしにくいタイプの……。 |
零士 |
いや、もちろんこれは
本人にも操作性はないですから。 |
糸井 |
あ! 操作性がない!
コントロール不可能。 |
零士 |
不可能! |
糸井 |
あー、だから、よくね、あの……
どう言ったらいいんだろうなぁ。
モテようとしてなくても、
「それだけ力があったら、向こうから来るよ」
という言い方を若い子にすることがあるんですよ。
それのパターンですよね? |
零士 |
そうです。
だから、僕なんかも、お笑いでもね、
まとめちゃったものって、保守的でつまんないよと。
逆にひとつの得意技をずっと通したほうがいいというのは、
この対談を読んでくれる人たちはみんな、
わかったと思うんですよ。
「今自分はすごく考えすぎちゃってるな」って時は、
自分を含めた、ちょっと引いた画面で見る、と。
サッカー中継で言ったら、
すごい球さばきとかに目がいきがちだけど、
それじゃ周りの状況がわからないので、
センターライン付近でやってることなのか、
ゴール前でやってることなのか、
アップの画面じゃよくわからないじゃないですか。
引いた画面……離れたところにいる
ゴールキーパーがどこに立っているかとか、
サポーターのいる観客席もぜーんぶ見えて、
自分のプレイも見える位置にカメラをもっていかないと、
たぶん、モテ道は追求できないです。
そこが第1歩ですよね。
(つづく) |