糸井 |
零士さんが言う雑学というのは、
つまり、人間学ですよね。
人ってどういう時に、どういう感じ方をするか。
で、それはおそらく自分の感じ方について
さんざん研究しているというのが前提ですよね? |
零士 |
そうです。
自分の見方ですよね。
あくまで自己中心的ですね。 |
糸井 |
自分というしっかりした定点がないと、
その目って身に付かないですよね。 |
零士 |
だから、まず己を知ってくださいと、
僕は言うんですね。 |
糸井 |
おお! |
零士 |
ちょっとまとまりましたか? |
糸井 |
己を知ってください(笑)。
そうですね。 |
零士 |
僕は悪く言ってるんじゃないですよ。
よく「己を知れ、オマエ!」なんて言われると、
言われた人はシュンとなっちゃいますよね。
俺はそういう意味で言ってるんじゃないんです。
「人にはいろいろあるから、まず自分をわかっちゃおうよ」
「自分をわかっちゃって、ちょっと骨ぬいちゃおうよ」と。 |
糸井 |
自分を知る、ということで昔から興味があるのは、
自分がいつもとちがう意外なこと考えてるなって
自分で気づくときってあるじゃないですか?
あれに興味があるんですよね。
たとえば、
机の上で企画していても、
頭の中だけで考えてるから、
自分が考えていることに固定されてるんです。
ところが、事件なり事故にあったときに、
「俺ってこういう時にはこう考えるんだな」って
初めて気づくことがあるわけですよ。 |
零士 |
そういう時って、
いつもとちがう考え方ができたりしますよね。
いつもの自分の考え方のパターンをどかして、
ちがう発想をしたりするのもいいですよね。
僕もそういうことをやりますよ。
「俺のパターンだとこうだけど、
誰々さんだったらどうするんだろうな?」とか。
きっと、ここは流しちゃうだろうな……、
じゃ俺も流そう、とか。 |
糸井 |
それは実験の数を多くすることで磨いていくわけだ?
コンピュータのプログラムの進化みたいですね。
プログラムはマシンの性能がよくなって、
テストできる回数が多くなったことが
進化させてるわけですよ。 |
零士 |
プログラマの人が寝ないで、
コンビニのおにぎり食いながら……。
でも、コンビニがどんどんできて、
簡単におにぎりが買えるようになったから
プログラムが進化したかもしれないし。 |
糸井 |
あ、そういう言い方、あるよね。 |
零士 |
昔は、家に帰らなきゃ飯食えないわけですよ。
夜中に出前なんかとれないですよ。
でも今は、コンビニで飯買ってこようって、
飯が食えちゃうから、ずーっと機械にかじりついて
プログラムのエラー探すのが
できちゃうんでしょうね。
……と、俺は思うんですよ。 |
糸井 |
そうですよね。 |
零士 |
おおもとはきっとそういうことかなと。
供給する前に需要を考えると。 |
糸井 |
それがコンピュータ業界の
進歩をうながしたと思うと、おもしろいよねぇ。
生活の全体を見て、考えていくという感じですねー。 |
零士 |
それは必要ですよね。 |
糸井 |
たとえば、女の人でも、性格があったり、
生活があったり、あるいは過去があったり、
いろいろな要素がありますよね。 |
零士 |
あ、その、“過去”といったらね、
男である以上、女の人の過去を聞いたりするのって……、
あの……やたら聞いちゃう人いるでしょう。
女性の過去って、たとえ正面に見えていても、
あえて視界のスミに置いておくような
見方がちょうどいいんですよ。 |
糸井 |
え? それ、むずかしいな。
聞いてないような、聞いてるような、ってことですか? |
零士 |
女性の過去を気にしないでばく進するんだ、
そういう姿に、女性って共鳴するというか……。
女性なりの、女性だからこその信頼があるんですよね。
それは暗黙の了解だよ、と。
過去は暗黙知だよ、と。 |
糸井 |
暗黙知なんていう言葉も流行語ですよね、今。 |
零士 |
そうかもしれませんね。
過去は自然と淘汰されることなんだよ、とかね。
恐竜が絶滅していって、
あれは自然の流れの中で絶滅していって、
最後に猿が残って、
そして今、僕らがいるんだよっていう、
そういう、とんちんかんな表現も必要なんです。 |
糸井 |
急に話をぶっとばすんだ(笑)。 |
零士 |
ぶっとばすんですよ!
で、また、さっきの話にもどるんですよ。
女性の過去の話を聞くにもね……って。
ちがう場所からパンチを一発入れてるんですよ、必ず。 |
糸井 |
そうか!
とんでもない所から出すパンチを
どうよけるかで、その人の運動神経がわかる、とか。 |
零士 |
ええ。
左からのパンチには、フットワークがいいけど、
右からのパンチには、ガード甘くて当ってるとか。
けっこう見えてくるんですよ。 |
糸井 |
人それぞれですね。
で、人間って人のことを知りたいから、
それぞれの人を、十二支にしてみたり、
誕生日で占ってみたり、血液型だとか、
いろいろジャンル分けがありますよね。
零士さんは、そういうジャンル分けの
おおまかなものをもってるんですか?
(つづく) |