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読者のみなさんから届いたお便り #56

 
前期のNHK朝ドラも、戦争中のことを生々しく描いていましたね。
あのような場面を見ながら、いつも思うことがあります。
あの時代に、わたしが小学生だったら、
とても熱心な軍国少女になっていただろうし、
主婦だったら、国防婦人会で率先して活動して、
戦争を賛美しない人たちを非国民と罵っていただろう、と。
そして、終戦を迎えてどうなっていたのだろう、と。
わたしは、とても「正義」とか「正しさ」とか
「世のため、人のため」に弱いのです。
なので、学生運動が盛んなころに学生だったら、
その後どうなっていたか、怖くて想像もつきません。
たぶん、運動にのめり込んでしまったと思う。
生きて大学を卒業することが出来なかったかもしれない。
平和な時代に生まれ育つことができていることを、
いつもありがたく思いながら暮らしています。
わたしが物心ついたくらいの時代(1960年代末)には、
まだ、街で「傷痍軍人さん」がハーモニカなどを吹きながら、
道端に座って、お金を乞いていらっしゃいました。
はじめて買ってもらった児童書は
「気をつけバリケン分隊」という戦争児童文学傑作選でした。
国語の教科書にも太平洋戦争を扱った作品が
いくつも(毎年?)載っていたと思います。
小学校4年生のとき(1974年くらい)、
ピアノの先生のお家の応接間(待合スペース)には
「はだしのゲン」が置かれていましたが、
わたしはとても怖がりなので、
ちょっとめくっただけで読むことはできませんでした。
小5のとき(1975年くらい)には、夏休みの宿題帳に
「お家の人に戦争の話を聞きましょう」
というページがありましたが、
母は「悲しいから話したくない」と話してくれませんでした。
そのページは真っ白のまま提出しました。
父からも母からも、戦争中の話を聞いたことはありません。
(父は昭和9年、母は昭和12年の生まれです。)
母は、NHKの朝ドラも見ませんでした。
「戦争の話が出てくるから見たくない」と言っていました。
「おとなになれなかった弟たちに…」を読んだのは、
いつだったか。
「黒い雨」は中学校の教科書に載っている部分だけ読みました。
「夕凪の街 桜の国」は、
書評に「怖くない」と書かれていたので読みました。
感想を出版社に送ったら、広告に使っていいかと連絡がありました。
何回も読み直しています。
「火垂るの墓」は映画を見終わって、辛すぎて、
「もう一生見ない」と思いました。
家族でハワイに行ったとき、
弟が「日立ツリー」を見たがっていて、
ツアーだと真珠湾(アリゾナ)記念館がセットになっているけど、
わたしは「真珠湾記念館で笑顔で記念写真を撮る日本人」に
なりたくなかったので、
そこへは行かないとの約束で行ったのに連れて行かれて、
入り口で号泣しました。
もちろん中には入っていません。
仕事で広島に行ったとき、
川を見ると
「この川が人で埋まっていたんだな」と思ってしまったので、
遊びで行くことはできないと思いました。
広島と長崎の原爆資料館の展示を見るのは無理だと思っています。
サイパンにも行けないです。
宮古島の図書館で郷土史の本を読んだとき、
ちかくに2つのガマがあって、
逃げ込んだ人の中に英語のわかる人がいたほうの人々は
米軍と話して生き残って、
英語のわかる人のいなかったほうの人々は
全員玉砕されたというのがあって、心に残りました。
ドキュメンタリー映画は「ひめゆり」が印象的でした。
学生のとき、姉妹校の中国の山東医学院に学生交流で行ったら、
ちょうど抗日の40周年でポスターがたくさん貼ってあって、
ドキドキしました。
学会でヨーロッパに行ったときには、
第2時世界大戦の記念碑みたいなものを見ると
一緒にいる日本人以外の人たちが、
日本がナチスと同盟していたことを思い出さなければいいなと
思いました。
オランダでは、
現地の方が「アンネの家」を案内してくださって、
自分たちはアンネを守ったと誇らしげでしたが、
わたしは、そのときも心苦しかったです。
2〜3年前、そのときの勤め先の上司
(わたしより20歳下)に、
地元の病院が元陸軍病院だったことを話したら
「日本って軍隊持ってないですよね?
 どこと戦争したんですか?
 アメリカと一緒に戦ったんですか?」
と言われて、こんなに高学歴(医師)の方でも
日本とアメリカが戦争したことを知らない人もいるんだと、
びっくりしました。
思い出すままに書いてしまい、
整理されておらず、申し訳ありません。
(かなえゆい)

2025-10-05-SUN

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    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶