この漫画のもとになった投稿
ダンナが食事をつくるたびに
「適当につくったけどなんとか形になった」
と言う。
謙遜だということはわかっている。
「そんなことはない、とても美味しい」
と女房は返す。
でも、その度に何だかモヤモヤする。
ある日、女房はダンナに伝えた。
食事をつくってくれること自体が嬉しい。
そしてその食事が美味しいことも嬉しい。
せっかく美味しくつくってくれたのに
過度に謙遜されると何だか悲しい。
適当につくったものを食べさせてもいいと
軽んじられているようで悲しい。
謙遜をその都度やんわり否定して
よいしょっと持ち上げるのも地味にしんどい。
ふむふむと頷くダンナ。女房はさらに続ける。
人生の折り返し地点を過ぎたであろう現在、
お互いがつくって食べる機会は
無限にあるわけではない。
謙遜なんかしないで
お互い美味しくつくって大いに自慢しよう。
でもって美味しいものを
さらに美味しく食べよう。
それ以来、ダンナは食事をつくるたびに
つくった料理のポイントを
アピールするようになった。
低温の油でニンニク炒めて香りを移した、とか。
鍋の彩りにニンジンを
スライスして入れた、とか。
レタスをちぎっただけのお皿だって、
グリーンサラダ・季節の
ドレッシング添えに変身。
女房は嬉しい。とても嬉しい。
(☆ぬばたまの☆/いつかの「今日のダンナ」より)
2023-11-04-SAT
-
エピソード、募集中です。
-
「今日の小ネタ劇場」とは
2005年から連載を開始した読者投稿コンテンツです。2022年時点ですでに17年以上、「今日のコドモ」「今日のダンナ」「今日のじーばー」「今日の気になるあいつ」….などの20以上のカテゴリから、日替わりで毎日欠かさず3ネタを更新してきました。アーカイブを残していないため、その日のネタは、その日にしか読めません。2016年には、過去の傑作から選りすぐって書籍化もされました。ほぼ日に来たら、まずはここからという読者も多い、大人気のコーナーです。今日の「今日のコドモ」は、こちらからどうぞ。
-
今日マチ子
漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題となる。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に4度選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。コロナ禍の日常を絵日記のように描いた近著『Distance わたしの#stayhome日記』が、2022年1月『報道ステーション』にて特集された。
-
漫画:今日マチ子
編集:奥野武範(ほぼ日)
デザイン:杉本奈穂(ほぼ日)
感謝:「今日の小ネタ劇場」を愛する
すべてのみなさま