こんにちは、ほぼ日の奥野です。
尊敬する編集者にしてゆかいな大先輩、
宝島「VOW」二代目総本部長・古矢徹さんとともに、
ちいさな連載をはじめたいと思います。
スマホや携帯を持たない“丸腰人”人生65年の
古矢総本部長と、スマホは愛用するが
ときどき海に投げ捨てたくなるわたくし奥野が、
世界の片隅にひっそり存在するであろう
愛すべき“丸腰人”を探しに行く‥‥という企画です。
まず手はじめに、“丸腰人”ご本人さま、
もしくは“丸腰人”のまわりにいるみなさまから、
スマホや携帯を持たないがゆえの
困難とペーソスに満ちた日々のエピソードを、
送っていただきたいなと思ってます。
それらを、当連載で紹介していきたいと思います。
投稿どしどしお待ちしてます!
採用された方には、素敵なプレゼントも考え中。

>宝島「VOW」二代目総本部長・古矢徹さんとは。

古矢徹(ふるや・とおる)

「止れま」「まさる死ろす」「聞け、わだみつおの声」などのおまぬけネタで知られる、雑誌『宝島』の読者投稿企画“VOW”(バウ)二代目総本部長。『宝島』休刊後、女性誌『sweet』(宝島社)に拾われ今も連載継続中という知る人ぞ知る事実は、21世紀雑誌界の奇跡と言っても過言と言えなくもなくなくない? 声優の古谷徹さんとは別人。最近「久しぶりにVOWのサイトを見たら、二代目総本部長がお元気そうで何よりだった。東秋留の辺りを通りがかるたびに古矢さんっぽい人を探すんだけど見つからないなぁ」との読者のSNSへの書き込みあり。古矢さんっぽい人は、今は西東京市あたりで探すと見つかるかもよ。

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ある丸腰人の物語 02

5、6年前くらいだったかな。
おしゃれな雑貨屋さんで、
支払いのときに、
何かお得になるような登録関係の話をされて。

で、「携帯持っていないんですよね」
と言ったら、
店員さんが目を丸くして、
そのあと、憂いを帯びた感じで、
ぼそりと「羨ましい」とおっしゃったんです。

微笑んで、「いいですね」と。

とても美しくておしゃれで華やかで、
言い方は悪いけれども
「人生勝ち組」みたいな雰囲気の女性だったのですが、
一瞬で儚げな雰囲気を纏われて。

それからほんの少しだけ、
そのときの世情の息苦しさみたいなものを吐露されて、
うっかり言ってしまった、みたいな感じで
「あ、すみません」と、商品を渡していただき、
お互い微笑みあって店を出ました。

あのとき
「だったらあなたも持たなきゃいいのでは?」
と言うのは簡単でしたし、
それまでの自分ならそう思ったはずなのですが、
なぜかそんなふうには思えなかったんですよね。

うまく表現できないけれども、
なんかちょっと、切なくなってしまったというか、
あの方の切実さが感じられて、
「なんて世の中になったのだろう」と思ったのです。
「持たないわけにはいかない」
という状況もあるんだよなあ、と。

今はさらに時が進んで、
もっとすごいことになってきている気がしています。
あの店員さんはどうしているのかなあ。

(RINATARO)

(つづきます)

2024-10-08-TUE

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  • 丸腰人のエピソード、大大大募集中!

     

    スマホやケータイを持っていない。
    ただそれだけなのに、こんなご苦労、こんなひどい目、
    はたまた、こんないいことありました‥‥
    というエピソードをお送りください。
    どんな些細なことでも、けっこうです。
    オチなどなくても気にしない。
    丸腰人ご本人でも、丸腰人の近くにいるのアナタでも、
    誰でも投稿OKです。
    総本部長とふたりで、すべての投稿を謹んで拝読し、
    「これは!」と感じ入った投稿を、
    この連載で紹介してゆきます。
    みごと掲載された方には、素敵なプレゼントも考え中。
    どうぞ、ふるって投稿ください。
    総本部長が長年(?)あたためてきた
    この連載の命運は、みなさんの1通にかかっています!

     

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    イラスト:ゴロー