私たちほぼ日と「miffew」の出会いは、
このブランドに関わっている
柴田隆寛さんがきっかけでした。
柴田さんは、
雑誌『&Premium』のエグゼクティブディレクターを
創刊から約3年半にわたって務めた方です。
現在も、ジャンルやメディアに縛られず、
さまざまなブランドでご活躍中です。
ほぼ日では、
かわいらしくて高品質なソックスブランド、
「ROTOTO」でお世話になりました。
そんな柴田さんがクリエイティブディレクターを務める
日本の冬にぴったりな、あたらしいウエア、
それが「miffew」です。
柴田隆寛さんと、
このブランドのデザイナー・井上真美さんに
「miffew」の魅力をうかがいました。
-
- ───
- 柴田さん、おひさしぶりです。
「ROTOTO」の靴下では、たいへんお世話になりました。
- 柴田
- いえいえ、こちらこそ。
- 井上
- はじめまして。
「miffew」デザイナーの井上です。
- ───
- 井上さん、
どうぞよろしくおねがいします。
- 井上
- よろしくおねがいします。
- ───
- 本日は靴下ではなく、「コート」ですね。
- 柴田
- そう、コートを。
- 井上
- こちらにご用意してあります。
「miffew」のコートです。
- ───
- わぁ‥‥。
お話はうかがっていましたが、
実物を見るのははじめてです。
- 柴田
- さっそくですが、
ぜひ、着てみてください。
- ───
- なにはともあれ体験を、ですね。
ありがとうございます。 - ‥‥これは、ダッフルコート。
では、しつれいして‥‥。
- ───
- え? か、軽っ!
- 柴田
- ふふふ。
そうでしょう。
- ───
- つまり、これが‥‥。
- 柴田
- はい、「ダウンウエア」です。
- ───
- この中に、「羽毛」が‥‥。
- 柴田
- はい。
「羽毛」が入っています。
裏側をみてください。
- ───
- ほんとだ‥‥。
「羽毛」が‥‥。
- ───
- 着ている自分を鏡で見ても、
ダッフルコートを
着ているようにしか見えません。
- 井上
- そう言っていただけてうれしいです。
- ───
- 私もダッフルコートを持ってますけど、
それはずっしりと重たいので‥‥
なんだかいまふしぎな感覚です。
- 柴田
- そうですよね、
ダッフルは重たいものが多いです。
- ───
- はぁ~‥‥。
ダウンに見えない「ダウンウエア」。 - こういうものって、
いままであまり無かったと思うのですが、
どのような経緯で開発されたのでしょうか。
- 井上
- それは、
「こんなコートがあったらいいのにな」と、
思っていたのがきっかけですね。
- ───
- ご自身が?
- 井上
- はい。
ダウンコートって、
とてもあたたかいのに軽くて、
すばらしいですよね。
- ───
- ええ。
- 井上
- ですが、
「ふだん街で暮らすときに、
ここまであたたかい必要があるかな?」
とも思っていたんです。
- ───
- ほう。
- 井上
- もっとすっきりと
都会的にダウンを着ることができたら、
おしゃれにたのしく
冬をすごすことができるのではないか、と考えて
「miffew」のダウンウエアをつくりました。
- ───
- すっきりと都会的なダウン‥‥。
- ダウンウエアというものは、
ふっくらしたシルエットだと
思い込んでいました。
- 柴田
- そうですよね。
- 井上
- 「miffew」では、
お仕事やフォーマルな場所にも
着ていけるような
ダウンウエアを目指しました。
- ───
- ああ、フォーマルにも。
‥‥たしかに、
これは冠婚葬祭、大丈夫です。
- 柴田
- もちろん、ウインタースポーツ用のものや
雪山へいくためのアウトドア用ダウンウエアは、
ほんとうにハイスペックで
すばらしいんです。
- 井上
- ええ。
「miffew」のウエアには、
それほどの性能はありませんが、
私たちがふだん街で暮らすのには、
十分なあたたかさだと思います。
- ───
- 冬のアウトドアには
ハイスペックなダウンコートを。
ふだんのおでかけには
「miffew」のコート、ですね。
- ───
- すこし羽織らせてもらっただけで、
あたたかくなってきました。
- 井上
- はい、
袖のさきにまで
しっかりとダウンを入れているので、
かなり温かいと思います。
- ───
- ほんとうだ。
すみずみにまで、ダウンが入っていますね。
- ───
- こんなにダウンを入れているのに、
どうして、すっきりとしたシルエットを
たもつことができるんでしょう。
- 井上
- すっきりと見せるために、
いろいろな工夫をかさねてきました。 - たとえば、ダウンの量です。
- ───
- ダウンの量。
- 井上
- はい。
あたたかく着ていただけるよう、
ウエア全体にダウンを入れています。
ですが、
肩まわりにダウンを入れると、
どうしても、
スタイルがくずれやすくなってしまいます。
なので、そういうところのダウンの量は
若干すくなめにしているんです。
- ───
- ほぉー。
あ、ほんとですね。
- 井上
- 反対に、
背中やおなかまわりは、
ダウンの量を多くしています。
こういう細かな調整によって、
あたたかさをたもちながらも、
スッキリとしたシルエットを実現しています。
- ───
- たいせつな場所は、しっかりあたたかく。
- 井上
- はい。
あとはやっぱり、パターンと縫製ですね。
- ───
- パターンと縫製。
- 井上
- パターンは洋服をつくるときの、型紙のことです。
シルエットを決める重要な要素なので、
どうしたらもっとすっきり見えるのか、
何度も何度も試作をしました。
- 柴田
- 脇のところをもうすこし削ろう、とか。
もっと生地をおさえてみよう、とか。
ほんとうに細かい調整をくりかえしました。
- 井上
- たとえば、この裾の部分。
ダウンが入っているパーツと、
外側のパーツは、
あえて縫い合わせていないんです。
- ───
- あれ、ほんとだ。
つながってない。
- 井上
- ここを縫い合わせてしまうと、
外側の生地がダウンのボリュームをひろって、
もっさりとしたシルエットになってしまうんです。
- ───
- はあーー。
その一箇所を縫うか縫わないかで、
そんなに大きなちがいが出るんですね。
- 井上
- ええ。
そういう、こまかな調整のくり返しです。
- 柴田
- ですから、「miffew」のコートは、
一般的なコートよりも
パーツの数がとても多いんです。
- 井上
- ほんっとうに多いです。
ですから、この数を縫ってくださっている
工場の方々には感謝しかありません。
- ───
- それほどの工程を経ているからこその、
この「すっきりシルエット」なんですね。
- 柴田
- そうです。
工場の職人さんとのやりとりは、
かなり密に行っています。
- 井上
- すべて日本の工場でつくっているんですよ。
- 井上
- もちろん海外にも、
すばらしい職人さんはたくさんいらっしゃいます。
ですがやはり、
日本語で直接やりとりをするほうが
細かいことを伝えやすいんです。
- ───
- ニュアンスを。
- 井上
- ええ。
細かなシルエットの調整はもちろん、
そもそも普通の洋服とは
パターンがまったくちがいますから、
イレギュラーなことばかりで。
職人さんとは、ほんとうに何度も
ニュアンスのやり取りをしてきました。
- 柴田
- ダッフルコートの中にダウンを入れるなんて、
普通はまずないですからね(笑)。
- 井上
- 工場も、一か所ではなく
いろんなところにおねがいしています。
- ───
- 複数の工場に。
それはなぜですか?
- 井上
- 工場さんごとに、
得意とする工程がちがうんです。
なので、
それぞれの得意分野にあわせて、
おねがいをするようにしています。
- ───
- ということはその工場さんごとに、
細かなニュアンスのやりとりがあった‥‥。
- 井上
- はい。
あまりにも複雑で、むずかしくて、
はじめは「完成できないかも‥‥」と
思ったくらいでした(笑)。
- ───
- そんな「miffew」のダウンウエアを、
ほぼ日からも、
販売させていただけることになりました。
ありがとうございます。
- 柴田
- いえいえ、こちらこそありがとうございます。
- ───
- あの、それで、すみません。
- 柴田
- はい、なんでしょう。
- ───
- 最初にお聞きするべきだったのですが‥‥。
- そもそも、
ブランド名の「miffew」は、
どういう意味なのでしょうか。
- 柴田
- 「miffew」は「ミフュー」とよみます。
これは、日本で古くからつかわれている
「三冬(みふゆ)」という言葉が語源なんです。
- ───
- 「三冬」。
- 柴田
- ええ。
冬の時期の、とくに寒い3ヶ月間をあらわす言葉です。
- ───
- なるほど。
- 柴田
- 冬の3ヶ月間をすごすためのウエアとして、
「miffew」と名付けました。
- ───
- まさに日本の冬のための、ダウンウエアなんですね。
また一段と寒くなってきましたから、
ちょうどよさそうです。
- 柴田
- みなさんに「miffew」のコートを
体験していただけるとうれしいです。
- 井上
- 通勤やお買い物、お出かけ、デートなど、
街のいろいろな場面で着ていただきたいです。
- ───
- おふたりとも、
本日はどうもありがとうございました。
(おふたりへのインタビュー、終わります)
2024-01-19-FRI