さあ、冬季五輪です。今年はイタリア。
ミラノとコルティナダンペッツォ(長い!)で
2月6日から2月22日まで開催されます。
かつては膨大な量のメールを
狂気じみた長さで翌日に掲載していた
「観たぞオリンピック」シリーズですが、
東京オリンピックでその形式は終わり、
その後に開催されたオリンピックからは、
ぼくが1日に1本、原稿を書く
というスタイルでひっそり続けています。
あ、ぼくというのは、ほぼ日の永田です。
さて、今回のオリンピックでは、
さらにのんびりと、書けたら書きます、
というくらいの感じで行きたいと思います。
そしてリアルタイムの観戦実況的な発信は、
Xの「#mitazo」をご覧ください。
さあ、はじまったらはじまっちゃうよ?
開会式から閉会式まで、よろしくお願いします!

 

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#02

オリンピックを思い出す

 
たったいま開会式を観おわった。
さあ、いよいよオリンピックがはじまる。
ミラノ・コルティナ2026オリンピックの
オープニングセレモニーは、
アテネやロンドンのそれを思い出させる
ヨーロッパ的な演出が詰め込まれていて、
なんだかちょっとうれしかった。
重厚で、抽象的で、誇りやプライドを感じさせて、
芝居じみたこともしっかりやって、
ここぞというところには世界的な歌唱で締める。
そういうヨーロッパ的な開会式が
ぼくはとても好きである。
思えば、一昨年にオリンピックが開催された
パリだってばりばりのヨーロッパなんだけど、
あのオープニングセレモニーはやっぱり独特で、
ヨーロッパというより「パリ!」だった。
あれにくらべると、バンクーバーの開会式のほうが
カナダなのにヨーロピアンだった気がする。
などとつらつら書きながら思うけれど、
いやあ、ずいぶん長くオリンピックを観ているなあ。
バンクーバーっていつだったっけ?
と思って調べてみたら2010年だって。
余裕で16年前だよ。ついこないだみたいだけどな。
明け方、ミラノ・コルティナの開会式を観ていて、
5つの輪っかがぶらさがって
五輪のシンボルマークをつくろうとしていたときも、
「まあ、失敗してもバンクーバーみたいに、
閉会式で取り返せばいいからな」とか思ってたものな。
えっ、あなたも?
ずいぶん長いですね、観戦歴が。
さて、開会式は終わったけれど、
本格的なオリンピックはこれからだ。
実質的には今日の夕方あたりから、
ぼくらは競技に引き込まれていく。
へんな言い方だけど、オリンピックって、
実際にその瞬間が訪れるまでは
オリンピックだということを忘れている気がする。
たのしみだなあ、とか言うくせに、
ぼくらは2年が経過するうちに、
オリンピックというものを
毎回すっかり忘れてしまうのだ。
リアルに想定すると、
どうやら今日の夕方あたりから
本質的なオリンピック観戦はスタートする。
アイスホッケーとかカーリングとかの
一次リーグを観て徐々に盛り上がっていき、
きっと最初の感情のスパークが起こるのは、
日付が変わってかなり深い時間からはじまる
スキージャンプ女子ノーマルヒルだ。
よい結果が出るにせよ、
惜しい結果になるにせよ、
たぶん多くのオリンピックファンが
深夜を超えて明け方あたりに、
「ああ、オリンピックってこうだったよ」と
思い出すことになるのだろう。
もちろん予選やリーグ戦だって
オリンピックの大切な試合に違いないし、
日本人選手が登場しない競技だって
観てたらだいたいおもしろいから、
集中して観てるはずなんだけど、
やっぱり、そういう観戦と、
「勝ってくれ!」と祈るような見方は違う。
具体的にいえば、応援している選手が
メダルに手をかけそうになるときに、
観ているぼくらのこころはぐわっと動く。
それが手に入るにせよ、
もうすこしのところですり抜けるにせよ、
祈ったり願ったり叶ったり凹んだり、
拳を握ったり呆然としたりしたときに、
ようやくぼくらは、
「ああ、オリンピックってこうだったよ」と
思い出すことになるのだ。
どうして忘れちゃうんだろうなあ、毎回毎回。
ふり返ってみると、
そういったオリンピックのはじまりの瞬間を、
ずっともたらしてくれていた競技が、
冬季はずっとモーグルだったような気がする。
すくなくとも2014年までは、
ぼくのこころのヘッドライナーを務めていたのは
上村愛子さんだった。
今回のオリンピックでは、
高梨沙羅選手に向けてまずぼくは祈るだろう。
北京の無念をここで晴らしてくれたら、
多くのファンはきっとその瞬間に
オリンピックを思い出す。
そして、たとえそれがうまく叶わなくても、
やっぱり、オリンピックを思い出す。
そういうかけがえのない祭典が、
実質的には今日の夕方からはじまります。
ジャンプ競技選手の寿命は長いから、
ひょっとしたら高梨沙羅選手が
冬季オリンピックのこころのヘッドライナーを
務めるようになるのだろうか。
とりあえず週末は、観たあと寝ればいいから
どっぷりオリンピックに浸れますね。

(つづきます)

2026-02-07-SAT

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