ドライで適度な堅牢性を持つ
フランス・ノルマンディー産のリネンと、
しっとりとしたしなやかさのある中国の絹は、
いっけん、相反する印象の素材。
けれどもこのセーターで使っている麻絹の糸は、
シルクなかでも素朴な「絹紡紬糸」（けんぼうちゅうし
いわゆる「リサイクルシルク」「おちわた」）を使い、
リネンとともに１本の「撚糸」にすることで、
それぞれの特性の「いいところ」を引き出しています。
さらに、できあがった糸に起毛加工をかけることで、
より柔らかな肌触りを実現。
そんな素材を編み立てて、
夏にも着られる薄手のセータをつくりました。

全体がホールガーメントの「天竺編み」。
身頃は円を描くような
「求心」というテクニックの編み立てで、肩線はなし。
いっけん、シンプルで無地のデザインですが、
求心にすることで放射状に目立てが入った、
ノルディックのニットのようなつくりです。

肩線がありませんから、肩幅や形に左右されず、
また、ゆとりのあるサイズ感ですから
身体の線を拾いすぎず、
「その人らしい」表情がうまれます。
また、本来、表にする面をあえて裏に使うことで、
着たときにさらり、すべすべとした風合いを
感じられるようになっています。
表面の結び目のような凹凸は、
絹紡紬糸由来の個性です。

厚みがありませんが、
起毛感とふくらみがあるので通年で着用可能。
素肌に直接羽織って、
また、Ｔシャツやタンクトップなどの上にも
重ねやすい素材です。
やや大きめにつくっていますので、
カジュアルな着こなしもできますよ。

色は白、薄灰、濃紺。
シンプルで使い勝手のよい色です。