「ショッピング好き」「ものづくりのプロ」など
ふだんから「買いもの」を意識している６人が、
「生活のたのしみ大賞」審査後に座談会を開きました。
話すうちに６人はそれぞれ
「お金を払ってものを手に入れるってどういうこと？」
と、根本的な問題にぶつかることに。
買いものは脳内で思考の火花を起こし、
さらに売り場で話したりあの人に贈ったりで
倍々にふくらみ打ち上げ花火になっていきます。
「物欲」にまつわる６人の複雑な心境の吐露、
どうぞおたのしみください。
（進行：ほぼ日 菅野綾子）
©emiko tennichi
石田ゆり子（いしだ ゆりこ）
1969年10月3日生まれ。東京都出身。
1988年にドラマ『海の群星』（NHK）でデビュー。
以降、ドラマ・映画・執筆・音楽活動など、幅広く活躍。
『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』が
2023年公開予定。
J-WAVEにてパーソナリティを務める
不定期ラジオ『LILY’S TONE』にも出演中。
OFFICIAL HOMEPAGE
https://www.yuriko-ishida.com/
菊池 亜希子（きくち あきこ）
女優／モデル。
1982年岐阜県生まれ。
モデルでデビュー後、
女優として映画、ドラマ、舞台、ＣＭで活躍する一方、
エッセイやイラストなど多方面で活躍。
編集長を務めた『菊池亜希子ムック マッシュ』（小学館）は
シリーズ累計56万部を突破。
著書に『へそまがり』（宝島社）
『おなかのおと』（文藝春秋・Kindle）
『好きよ、喫茶店』（マガジンハウス）など。
現在はLEE（集英社）、天然生活(扶桑社）、
リンネル(宝島社）で連載中。
小林 和人（こばやし かずと）
静かな道具や衣服を扱う
「Roundabout（ラウンダバウト）」と、
余白ある設えの品が並ぶ
「OUTBOUND（アウトバウンド）」の店主。
前者では具体的な「機能」に焦点をあて、
後者では抽象的な「作用」に着目し、
二つの場を通じて様々な物や人を紹介しています。
佐藤 卓（さとう たく）
グラフィックデザイナー。
1979年東京藝術大学デザイン科卒業。
1981年に同大学院修了。
株式会社電通を経て、
1984年に佐藤卓デザイン事務所（現TSDO）設立。
「明治おいしい牛乳」や
「ロッテ キシリトールガム」などの
商品デザインおよびブランディング、
NHK Eテレ 『デザインあ』の総合指導や
『にほんごであそぼ』のアートディレクション、
21_21 DESIGN SIGHTの
ディレクターおよび館長を務めるなど、
多岐に渡って活動中。
www.tsdo.jp
森永 邦彦（もりなが くにひこ）
1980年、東京都国立市生まれ。
早稲田大学社会科学部卒業。
アンリアレイジは、
ファッションは日常を変える装置と捉え活動するブランド。
「神は細部に宿る」という信念のもと作られた
色鮮やかで細かいパッチワークや、
人間の身体にとらわれない独創的なかたちの洋服、
ファッションとテクノロジーを融合させた洋服が特徴。
2003年にブランド設立。
2005年東京タワーを会場に東京コレクションデビュー、
同年ニューヨークの新人デザイナーコンテスト
「GEN ART 2005」でアバンギャルド大賞を受賞。
東京コレクションで10年活動を続け、
2014年よりパリコレクションへ進出。
2019年フランスの「LVMH PRIZE」のファイナリストに選出、
同年第37回毎日ファッション大賞受賞。
2020年 伊・FENDIとの協業をミラノコレクションにて発表。
2021年ドバイ万博日本館の公式ユニフォームを担当、
同年、細田守監督作品『竜とそばかすの姫』で
主人公ベルの衣装を担当。
- 糸井
- 買ってきたのにタンスで眠っているものも
きっとぼくとの関係において
「何か」だったと思うんです。
買いもののピークって、やっぱりなんといっても
「買った瞬間」ですよね。
買って「別送します」と言われたとたんに
ちょっとだけいらなくなっているという
可能性もあります。
- 佐藤
- それもよくわかります。
- 森永
- 「持って帰る」みたいなことって
けっこう重要ですよね。
- 糸井
- 買いものって、
「もの」の話だと思いがちだけど、
「行為」の話なんだなぁ。
- 小林
- 買った瞬間には、
脳内の火花が、
あがりますよね。
- 石田
- そうそう。
生活のたのしみ展って、
その火花があちこちで炸裂して
花火になっているようなたのしさが、
あると思うんですよ。
- ほぼ日
- みなさんの買いものの姿を、
見ている私たちも
とてもたのしいんです。
- 糸井
- あれは、一種の
ショーだとぼくは思います。
なんか、ライブハウスみたいな。
- 小林
- うんうん、たしかに、
フジロックみたいな
フェス感ありますよね。
- 森永
- そうですね。
- 菊池
- さっき糸井さんが、
買いものは買う人だけのものじゃなくて、
それを作った人たちを
応援する意味があるとおっしゃいました。
いま「推し」って言葉があるじゃないですか。
- 糸井
- ああ！
「推し」ね。
- 菊池
- 単推しとかなに担とか「推ししか勝たん」
なんていう言葉もあるんですけど、
私は自分の推しだけを見て
ほかの人の推しているところと分けてしまうのは、
あまりなじめないんです。
好きな気持ちはそれぞれだけど、
「推している」という気持ちはいいね、
ということは共有できると思っています。
- 糸井
- そうだよね。
- 菊池
- それぞれが別の方向を向いてるけど、
「推しを応援する私たち」の
うれしい気持ちを共有できるのが、
生活のたのしみ展のたのしさだ、
という気がしています。
- 糸井
- つまり「推し」って
ポジティブだよね。
- 菊池
- そうなんです。
ポジティブな気持ちだけで
成り立っていたらすごくいいな、と。
生活のたのしみ展は
それができてるんじゃないかな。
- 小林
- わかります。
なんだか、隣の祭も応援する、
みたいな感じでいつもいます。
- ほぼ日
- 私は場内をテキスト中継するために
よく歩いているんですが
みなさんから「買いなよ」「いいね、いいね」
という言葉がよく聞こえてくるんです。
- 糸井
- ああ、みんな言うね。
- 佐藤
- 「買いなよ」って言葉、
たしかによく言いますね。
自分で買うんじゃなくて、
友達にすすめてるんだね。
- 糸井
- あれ、なんでしょうね。
- 菊池
- 推しの状態を互いに喜んでるのかな。
- 石田
- そうかもしれませんね。
- 佐藤
- 応援してあげてる感じか。
- 糸井
- 気持ちの代理なのかなぁ。
- 小林
- あれじゃないですか、
「買いなよ」って言う側も、
買う人の脳内の火花を、
ちょっと欲しいんじゃないですか。
- 森永
- 火花が欲しい？
- 一同
- （笑）
- 糸井
- わかる（拍手）。
- 小林
- 買う人の火花、
ちょっと浴びたいみたいな気持ち、
きっとあるから。
- 佐藤
- ミラーニューロンかな。
同調して、幸福感を感じるんだね。
- 糸井
- そうそう、
ミラーニューロン、ミラーニューロン。
- 小林
- まさに、まさに。
- 糸井
- 羽生結弦くんのスケートを見て、
自分も回ってるような気がする、
あの感じ。
（買いものは、火花だったのか‥‥明日につづきます）
写真｜池田晶紀（ゆかい）
2023-04-02-SUN
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生活のたのしみ展
新宿西口 三角広場
2023年４月29日（土）～５月５日（金）
11時～19時（最終日は18時まで）