南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

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糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第29回 大仏にのぼったことがある


糸井
東大寺の大仏、
俺、人生で何回見てるんだろう。
8回ぐらいは見てる気がするな。

俺もそのぐらいは見てるかもね。
篠原
俺、あの大仏さんの手に乗ったことあるよ。
え! すごいねぇ。
それ、いないよ、あんまり。
糸井
そんなことしちゃダメですよ。
勝手に乗ったわけじゃないでしょ(笑)。
篠原
うん、勝手にのぼったわけじゃない(笑)。
「お身拭い」っつってね、
体をきれいにする行事があるんだよ。

笹でやるんだよね。
篠原
そうそう、笹とか雑巾で拭くんだ。
糸井
それを大仏にのぼってやるの?
篠原
そう。そのとき俺は右手の担当で、
5人ぐらいでのぼった。
俺は親指をきれいに掃除した。
糸井
親指を。
篠原
うん。あと、別のときに、
頭にのぼらせてもらったことがある。
へええ。
篠原
大仏さんの胴内をのぼっていってね、
頭のてっぺんまでいって、
螺髪(らほつ)があるだろう?
あれ、ひとつが、
人、ひとり分くらいの大きさなんだよ。
で、そこにいたら、下から見てた人が、
「螺髪が動いてる!」って思ったらしい。

あ、クマさんの頭を(笑)。
糸井
螺髪だと(笑)。
篠原
螺髪に間違えられたんだ、俺。
ははははは!
糸井
いやあ、なにしろ、それもこれもさ、
大仏をつくったおかげだね、
ああいうでっかいものをつくったおかげで、
みんなこうやって来るんだからさ、
そういう意味では、
ほんと憧れるんだよね、大仏。
奈良から大仏なくしてごらん?
だいぶ、来ない人が増えるよ。
篠原
修学旅行が来ないもんな。
糸井
そうそう。
もちろん、ほかにもいろいろ
すばらしいものはあるけどさ、
まずは大仏を見るでしょう、っていう。

まあ、そうだね。
糸井
大仏があるから、
南大門も有名になってるわけで。
どうでもいいけど、
さっきから呼び捨てだね、大仏様を。
糸井
あっ、まえもあったな、これ。
大仏が聞いたらなんと思うかなぁ。
糸井
あのさ、コンテンツにするときは、
「様」、つけといてよ。大仏様。

大仏も読むからね、ネットのコンテンツを。
糸井
だから、奈良に大仏様があってよかったな、と。
いまごろ様をつけても
許してくれないんじゃないかな、大仏は。
糸井
ところで伸坊、さっきから、
大仏様を呼び捨てにしてるよ。
呼び捨てにすると怒られるよ、大仏に。
糸井
だから、呼び捨てだよ。

(大仏の元ネタは鎌倉編をお読みください)

2026-03-29-SUN

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編