今年『ナイン』は大当たりする! 去年は知らなかったくせに、応援します。 |
“tpt”という、東京の下町にある 小さくて力のある演劇カンパニーが、この5〜6月、 ミュージカルの公演を行ないます。 フェリーニの『8 1/2』をモチーフにした 『ナイン THE MUSICAL』。 演出家デヴィッド・ルヴォーが、 ブロードウェイで大成功させて、 彼の第二の故郷ともいえる日本に凱旋しました。 だれもが「成功まちがいなし!」と思うような このビッグな舞台ですが、 なんと!! 昨年の第一回公演は、 宣伝不足で大失敗をしているんだって?! そういうこと、あるんですよねぇ。 (たしかに、ボクもキミも知らなかったもんな) 「ほぼ日」は、今年のこの舞台の広報担当の キウチさんとともに、 ほんとにすごい『ナイン』のおもしろさを、 地道にしっかりと伝えてみましょうと、思いました。 |
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 『ナイン THE MUSICAL』 2005年日本版は、 千秋楽を迎えました。 応援、ありがとうございました! ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 最終回 「大当たり」に大感謝! ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ◎千秋楽の報告です。 楽屋の廊下には、 関係者全員の名札が掛かった札があり、 劇場内にいる人は表、 劇場を出たら裏返します。 演出家はすでに日本を離れていますが、 最後の公演が終わるまで、 「デヴィッド・ルヴォー」の札は ずっと表のままでした。 きょう、この日のためにとっておいた、 「大盛況」という言葉を使います。 おかげさまで千秋楽は大盛況でした! ん? いや、ちょっと待った! いま口にしてみて思いました。 大盛況はよくない、ここで使うと威張った言葉です。 それよりもっともっとふさわしい言いかたが、 身近になにかある気がしました、なんだろう‥‥ 特別で、優しくて、愛しくて、 手放したくないこの空気、 感謝の思いでぱんぱんに膨らんだ最終日の劇場、 たしかに「大盛況」なんだけど、その言葉じゃない。 カーテンコールで明るくなった客席には、 泣いてる人が、こちらにも、あちらにも、ああたくさん。 舞台上のみんなの目にも涙が。あれ? ぼくもだ。 そしてこの音、拍手の音。 もしかしたら、この感じって、「大当たり」の感触。 そう、これは大当たりしてるんだ。 この劇場で大当たりしてる! その音に違いないです、この鳴り止まない拍手は! 大阪公演12ステージ、東京公演20ステージ、 『ナイン』をごらんくださったみなさんに、 心からの感謝を申し上げます。 今年『ナイン』を大当たりにしていただき、 ありがとうございます! I love it! tptがつくった『ナイン THE MUSICAL』は、 デヴィッド・ルヴォーの表現を借りるなら、 「ディズニーやキャメロン・マッキントッシュの力を 頼らないで」生まれたミュージカルです。 平日の夜公演には空席が目立った回もあり、 宣伝やPRに関しては足りないことばかりでした。 でも、もっと多くの人に知ってもらいたいという願いは、 「ほぼ日」のおかげで叶いました。 そしてなによりこの連載がなければ、 ぼく自身、こうは『ナイン』を楽しめませんでした。 書くことに困らなかった『ナイン』。 驚いたこと、素敵だったこと、愉快だったこと、 伝えたいことはいくらでもありました。 きっとみなさんにもおありだと思います。 いかがでしょう? どうぞこれからも『ナイン』の話を、 続けてくださいませんか? どこかで。だれかと。いつでも。 そして、まだわからないけれど、近い将来、 『ナイン THE MUSICAL』でお会いしましょう! That's all that I want. 2カ月間、ありがとうございました。 ◎ちょっと私的なひとりごと。 第一回の書き出しは迷いました、 なにを伝えたら『ナイン』を観てもらえるのかって。 たとえば、 演劇は観る人に積極的な参加を求める芸術です。 チケットを買ってもらい、劇場に足を運んでもらい、 長い時間暗やみにじっと座り続けてもらう。 2、3分の遅れは待っても、10分は待たない。 飛行機でさえもう少し待ちそうなものを。 お客さまにたくさん負担をかけておきながら、 それでも最後は拍手をいただき、 うまくすれば喜んでもらえて、感謝もされる。 演劇は「体験する芸術」だから、 観る側にも努力が必要なのかもしれません。 ですが、味見もできない、予告編もない演劇に、 もう少しなにか、出会いにつながるなにかが、 できないかと思いました。 うなぎ屋さんの匂いでそそる煙のような、 焼いも屋さんの腹に響く名調子のような、 お代をいただく前にもできちゃうサービス。 稽古をみてくれたシェフさんとべっかむさんが、 こう言ってくれたんです。 「実際に見えるものが素晴しいんだから、 見えるもののことを書きましょう。 キウチさんの目から見ていいと思うことを、 そのまま書けばいいんです。 焦ってる宣伝部長のキャラクターで」 実際に見えるものが素晴しい、そう聞いて、 100人の力を得た気がしました。 そしてそのとおりに書き始めたわけです。 ただし、「部長」じゃないけど。 ぼくはブロードウェイ版のCDで 『ナイン』と出会いました。 英語台本を読んだのはそのあとです。 去年の秋、日本語台本を読もうとして、 じつは数ページ開いたところで閉じました。 英語のイメージをもったまま見た、 デヴィッド・ルヴォーの演出。 『ナイン』はデヴィッドの世界でした。 想像力と説得力の強さに圧倒されました。 みんなに伝えたいことはそれでした。 ぼくはグイド・コンティーニと同い歳です。 日本人ですので、ほぼ厄年になります。 シェフさんもべっかむさんも、 同じくらいだと思います。 その男三人でミュージカルに夢中になりました。 2カ月間、ああ楽しかったあ! ひとりで楽しんでる時間が長過ぎて、 おふたりには何度も終電を逃させました。 ごめんなさい。 さあ、『ナイン』で学んだ愛を活かさなきゃ。 ぼくは映画監督でもなく、 女性の幻も見ませんが(見ませんねえ)、 わが愛するルイザが、 “Be On Your Own”を歌わなくていいように。 (終わります)
(ほんとに終わります! 『ナイン』の感想は、postman@1101.comに 送っていただければ、tptまでお届けしますので ぜひお送りくださいね!)
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2005-06-13-MON
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