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『MOTHER2』ふっかつさい開催記念対談


はじめてのひとも、
もういちどのひとも。
はじめてのひとも、
もういちどのひとも。
なぜか寡黙な作者 糸井重里 × うれしそうな企画者 岩田聡

with(この件についてはベテラン進行役 永田)
第1回 『MOTHER2』のはじまりは。
第2回 いろんなところに思い出がある。
特別なゲームの寡黙な作者。
うれしいお知らせです。
糸井重里がつくった名作ロールプレイングゲーム、
『MOTHER2 ギーグの逆襲』が、
Wii Uでダウンロードして遊べることになりました!
しかも、「Miiverse(ミーバース)」という
ネットワークサービス上の場で
わいわい思い出話をすることもできるんですって。
はじめてのひとも、もういちどのひとも、
ぜひ、遊んでみてくださいね。
『MOTHER2』といえば、このふたり、
糸井重里と任天堂の岩田聡さんが話します。
進行は、「ほぼ日」の永田です。

第1回
『MOTHER2』のはじまりは。

── えー、このたび、
Wii U のバーチャルコンソールで
『MOTHER2』が配信されることとなりました!
つきましては‥‥。
糸井 永田くん。
── はい、なんでしょう。
糸井 「ほぼ日」を読んでる人には、
バーチャルなんとか、みたいなことを言っても
よくわからないかもしれないよ?
── ああ、失礼しました。きちんと説明します。
ちなみに、糸井さんはわかってますよね?
糸井 失礼な、わかってるよ! ‥‥だいたいは。
岩田 ははははは。
 
── ええとですね、去年の年末に発売された
任天堂の最新ゲーム機、Wii Uには、
「Wii U バーチャルコンソール」という機能があります。
これは、ファミコン、スーパーファミコンといった、
過去の任天堂のハードでリリースされた名作ソフトを
ダウンロード購入できるというサービスなんです。
‥‥ということですよね、岩田さん?
岩田 はい、そのとおりです。
ちなみにWii Uでは、
ゲームボーイアドバンス用ソフトについても
配信を準備しています。
糸井 ふむ。
── で、奇しくも今年はファミコン生誕30周年です。
そのお祝いも兼ねて、
「Wii U バーチャルコンソール」で過去の名作7本を、
なんと、「30円」で購入できるという
体験キャンペーンがはじまっているのです。
糸井 安すぎるっ!(ドンッ!)
── お茶がこぼれますから、
ほんとに机を叩かないでください。
糸井 ティッシュ、ティッシュ。
岩田 ちなみに、今回の体験キャンペーンは
「Wii U バーチャルコンソール」の正式配信に
さきがけた先行販売という位置づけです。
「30円」での購入は30日間限定です。
── はい。ということで。
糸井 ということで?
── かの、スーパーファミコンの名作、
『MOTHER2 ギーグの逆襲』が、
体験キャンペーン第3弾として、
3月20日より、4月18日まで、
配信されることになりましたー!
パチパチパチパチ!
糸井 よかったです。
岩田 よかったですね。
WiiでもDSでも3DSでも、
『MOTHER2』は遊べなかったですからね。
── しかも、のちほど説明いたしますが、
「Miiverse(ミーバース)」という
Wii Uのなかにあるネットワークサービスに
糸井重里本人が登場して、
みなさんとコミュニケーションする、予定!
パチパチパチパチ!
糸井 なんだか、よくわかってないけど、
よかったです。
── えー、本日は、その、
「『MOTHER2』ふっかつさい」開催の
お祝いと告知を兼ねまして、
本日は、このゲームにたいへん縁の深い、
糸井重里さんと岩田聡さんにお越しいただきました。
糸井 縁は深いねぇ。そうとう深い。
岩田 でも、「ほぼ日」の読者のなかには、
そのあたりのことを、ご存じない方も多いですかね。
── そうですね。
岩田さんは、任天堂の社長になられる以前、
黎明期の「ほぼ日」の起ち上げに
ご協力くださっているんですが、
そもそも、糸井重里と出会ったきっかけが、
この『MOTHER2』というゲームで。
岩田 そうですね。
『MOTHER』の話というのは、同時に、
私と糸井さんの出会いの物語でもあるので。
── はい。じゃあ、そのあたりの経緯から
軽くふり返っていただければと。
糸井 ‥‥‥‥。
── ‥‥糸井さん?
糸井 うん?
── そのあたりの経緯から
ふり返っていただければと。
糸井 そのへんはさぁ、永田くんが
しゃべっておけばいいんじゃないの?
── えーー。
岩田 ははははは。
糸井 だってさぁ、そんな、3人が知ってる話を
わざわざもう一回くり返さなくても。
── そうはおっしゃられましても‥‥。
糸井 永田くんがまとめて書いておいて、
それを、さも俺と岩田さんが話したように
まとめておいてくれてもいいよ。
── えーー。
岩田 ははははは。
糸井 そのあたりのことを永田がまとめます。
さぁ、どうぞ!
── ええーっと、1989年、糸井重里のつくった
『MOTHER』というRPGがファミコンで発売されました。
その続編である『MOTHER2 ギーグの逆襲』は、
スーパーファミコン用のソフトとして
開発されていたのですが、
ま、簡単にいうと、それが頓挫しかかったと。
糸井 うん。
── そのとき、難航していた『MOTHER2』の開発を
立て直すべく現場に現れたのが、
岩田聡さん、その人でありました。
ちなみにそのときは、HAL研究所という
ソフト開発会社の社長兼プログラマーという立場ですか?
岩田 そうです。
糸井 そのとき岩田さんが言った
有名なセリフがあるだろう?
── いま言おうと思ってたんですよ!
ええと、現場でそれまでできたものを
チェックした岩田さんは、
糸井重里に向かってこう言ったそうです。
これをこのまま‥‥。
糸井 「これをこのままつくるなら2年かかります」
── しゃべるならぜんぶしゃべってくださいよ。
岩田 ええとね、私の記憶によると、
とりあえず、その時点では
完成する流れになってなかったんですね。
で、まず「このままではできないと思います」
って糸井さんに断言したんです。
── うわぁ。
岩田 「よければお手伝いしますが、
 つきましては2つ方法があります」と。
そこで、そのことばになるんですね。
「いまあるものを活かしながら
 手直ししていく方法だと2年かかります。
 イチからつくり直していいのであれば、
 半年でやります」と。
糸井 かっこいいだろう?
── 糸井さんは、それを聞いてどうでした?
糸井 もう、「お願いします!」なんだけど、
正直いって、そのときはまだよくわかってないんだよ。
岩田 で、私は、
「とりあえずちょっと動かしてみます」ということで
そのときにできていたデータを持ち帰るんですね。
それで、たしか1ヵ月後ぐらいに、
マップがスクロールして動くようなところまで組んで
糸井さんたちに見せたんです。
そしたら、みんな、ものすごく驚いてくれたんですよ。
糸井 もう、びっくりしちゃった。
「う、動いてるぅっ!」って。
── それくらい行き詰まってたんですね、開発が。
岩田 みなさんが異常なテンションで驚かれるもんですから、
私は逆にものすごく不思議なわけです。
いや、ふつうのことしただけなんだけどな、って。
糸井 その「ふつう」が、ずっとできてなかったんだよ。
おそろしいところにいたねぇ、いま思えば。
そこからは、みんなが岩田さんを頼りにしてね。
実際に半年でぜんぶ動くようになったんだよ。
── 『MOTHER2』の開発期間って
ぜんぶでどのくらいなんですか?
糸井 どのくらい‥‥でしたっけ?
岩田 えーっと、開発をはじめてから丸5年くらいですね。
── 岩田さんがいなかったところも含めて。
岩田 そう、ぜんぶで5年です。
私がいない4年間があって、
最後の1年だけ、お手伝いしたんです。
── んん? いま、あらためて気づきましたけど、
岩田さんが入ってからは1年なんですね。
糸井 そうだよ。速かったよ。
岩田 でも、個々の要素はできてましたから。
グラフィックもできてたし、
シナリオもサウンドもある程度、完成してたし、
材料はそろっていたわけで。
── でも、動いてなかったんでしょう?
岩田 はい、動いてなかったですね(笑)。
── あの規模のRPGが、
動くようになってから1年で発売できてるって、
やっぱりすごいです。
糸井 うん。
岩田 半年ぐらいでとりあえず全体がつながって、
通しで遊べるようになって、
やっぱり、もうひと磨きして出しましょうって言って、
あと半年、細かいところを調整して。
糸井 でも、短いよねぇ。やっぱりすごいよ。
岩田 でも、そういう意味でいうと、
過去の4年間があればこそ、『MOTHER2』なんです。
あの味は、1年で即席でつくったら出ないですよ。
過去の4年が無駄だったわけではまったくなくて、
悩んだ人たちの試行錯誤は
ぜんぶゲームのなかに活きてます。
糸井 そうだねー。
── 開発が止まっていたからこそ、
糸井さんのなかで肥大化していく遊び、
みたいなものもあっただろうという気がしますし、
そのあたりの「規格外」な要素こそが
『MOTHER2』だという気もします。
岩田 おっしゃるとおりですね。
糸井 それ、俺が言ったことにしといて。
── ちゃんとしゃべってください。
岩田 (笑)
糸井 そう、だから、ふつうだと成り立たないというか、
整合性がとれないことが増えてくるでしょ?
── そうですね。
糸井さんが遊びの要素を盛り込めば盛り込むほど、
まぁ、ゲームは破綻していくというか。
岩田 ははははは。
糸井 ところがね、そういうのが積み重なって、
「ここがどうしても整合性がとれません」
みたいに問題がはっきりすると、
それはそれでぼくの得意分野なんだよ。
ふたり あーーー。
糸井 だから、そういう相談を持ちかけられるときって
ぼくはけっこううれしかったね。
「よーし、なんとかしよう!」って。
岩田 で、タコけしマシンを発明するんですよ。
── そうだ(笑)。
糸井 そうそう(笑)。
── ゲームの中で、行けるところと行けないところを
はっきり管理しなきゃいけなくなって、
どうしようかと頭を悩ませていたときに糸井さんが、
「じゃ、その道をタコで塞げ」と。
で、そのタコをなくして道を通れるようにするために
どうすればいいかというと‥‥。
糸井 主人公が「タコけしマシン」を手に入れるんだよ。
ふたり ははははははは。
糸井 そういうことを考えてるときは
ほんとにたのしいんだよなぁ。


(つづきます)

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 糸井重里、鈴木慶一&田中宏和、大山功一、 太田光、川上弘美、BOSE、吉田戦車‥‥。  2003年の『MOTHER1+2』が出たときに 掲載したコンテンツはこちらからどうぞ! 糸井重里、鈴木慶一&田中宏和、大山功一、 太田光、川上弘美、BOSE、吉田戦車‥‥。  2003年の『MOTHER1+2』が出たときに 掲載したコンテンツはこちらからどうぞ!
 

2013-03-18-MON