「甲野さんの悩みは わりとかんたんに解決できると思いますよ」 |
|
「ぜひ、ぜひ!」 | |
「甲野さんとっても上手だと 思うけどなー」 |
|
「そうよ、わたしにくらべたら‥‥」 | |
「こう撮りたい、という思いがあるだけに こんなはずじゃ、って思うんだよね。 ぜひ解決を!」 |
|
「ところでぼくはなぜ 呼ばれているのでしょう」 |
まず、ゴリラの写真です。 | |
これですね。 面白〜い、って思っていたのに なんだか寂しそうになっちゃったと。 |
|
これは、まず、露出の問題ですよ。 | |
えっ、露出? | |
多分、甲野さんがこのゴリラを 見たときの印象って、 もっと背景や、地面が目立ってませんでしたか。 |
|
はい! |
|
その背景、土とか木とか草とかが関係して、 きっとこれが可愛く見えたと思うんです。 けど、これはカメラのAEの 欠点だと思うんですけど──。 |
|
AEっていうのは自動露出ですね。 | |
最近のカメラって、 暗いときにすごく明るく写るでしょ。 |
|
しますね。 ちょっと、びっくりするくらい 明るく写っちゃうことがありますよね。 |
|
そう、ちょっとね、 やり過ぎだと思うでしょう。 でね、このゴリラは ほんとうは黒いんでしょう。 |
|
そうですね。しかも夕方でした。 | |
黒い被写体で、まわりも暗い。 だからカメラが判断して、 すごく明るくしちゃうんですよ。 |
|
うん、うん。 | |
で、すっごい明るくしちゃうから 写したい雰囲気がなくなっちゃうんです。 |
|
ん! ‥‥そういうときは、 どうすればいいのでしょう。 |
|
そういうときはちょっと暗めに、 調整してあげるといいですよ。 |
|
暗めに。 |
|
じゃあ夜、夕方以降撮るときは暗く撮る。 | |
そうですね、シェフの撮った お祭りも一緒のことなんです。 |
|
じつはぼくもE-420を持つようになって、 最初にセットになっていたズームレンズで 家の裏のお祭りを撮ったんですよ。 そしたら、なんていうんだろう、 撮影のセットみたいでびっくりして。 |
|
絵が明るくなるんだね。 | |
これはこれで「すごい! よく写ってる!」 っていう感動があるんです。 でも一方で、じっさいに見た感じは、 もっと暗かったよなー、と。 真っ暗な中にぽっとある灯りが きれいだなと思って、 カメラを向けてオートで撮ったら、 ぴかぴかに、こうこうに ライトアップしました、 みたいになってて。 やっぱりちょっと違うかも、って。 |
|
そうなんだよね。 | |
よく撮れてるんだけど、 何だ、この現実感のなさは、と思って。 |
|
じつは、いまのデジタルカメラ全般に その傾向があるんです。 リコーも、GRと、GR2を較べると、 2が明るく撮れるんですよ。 今、全体にそういう傾向にあるので、 使う側で暗め、暗めにいった方が、 多分、ちょうどよくなると思います。 |
|
それは具体的に何をすればいいんですか? | |
GRだったらここを ぴっぴっぴっぴっぴっぴってやれば、 |
|
どこでぴっぴっぴっぴ? | |
ぴっぴっぴっぴ。 | |
ぴっぴっぴ? | |
みなさん、妙です! | |
ほら、このボタン。 暗くなりますよね。 どんどん暗くなりますよね。 |
|
催眠術じゃないんだから。 えーっと、つまり、GRには、 構えた時右手の親指あたりにくる プラス・マイナスのボタンで 調整できるってことですよね。 |
|
そうです、なりますよね。ならないですか? | |
あ、こっちだ、分かった、分かった。 | |
あった? | |
あった、これですね。 | |
それ、それ、そうです。 | |
あのう、わたしのカメラには そういうボタンが‥‥??? |
|
あ、あるよ、あるある。 すみません、読者のみなさんに 伝わらないかもと思いますが、 シャッターのボタンの右に 「+−」って書いてあるちいさなボタンが あるでしょう。ここを押します。 |
|
あ、はい。 | |
そうすると、その手前のダイアルが効くので、 左に回すとマイナス、右に回すとプラス。 液晶画面にそう表示されるでしょ。 |
|
あ、ほんとだ。暗くなった! | |
わたしのカメラにも、ありました! | |
ね。これで簡単にマイナス補正ができます。 |
|
ほんとですね。なるほど、 それでできるだけ 目で見ているのと同じような感じに 近づければいいんですね。 |
|
ただ、特に気をつけた方がいいのは、 液晶画面は、日中、外で見るとき すごく暗く見えるんですよ。 |
|
あ、じゃあモニターを 信用し過ぎちゃだめなのかな。 |
|
明るいところでは信頼しすぎずに いくつか、明るさを変えて撮っておくといいかもね。 暗いところだったらわりと当てになるんですけど。 |
|
どれくらいから、「暗く」撮ったほうが いいっていうめやすはありますか。 |
|
曇りの日の夕方くらいの感じ、 ありますよね。 それよりも暗い感じだったら 最初からちょっと暗めに 撮っちゃった方がいいみたいです、 最近のデジタルカメラというやつは。 |
|
夜、月なんかが出てて、 まわりが暗くて、っていうような 風景を撮ろうと思うと、 ぜんぜんうまく設定できないんです。 |
|
そうなんですよ。 | |
ぴかーってなって、 現実感がないぐらい明るくなったりして。 |
|
むかしの露出計は、 暗いところで測れなかったから あまり当てにならなかったんだけど、 最近のカメラの露出計は、 暗いところが得意なんですね。 そして暗いところを持ち上げる修正をする。 ダブルで明るくしようとしてるから、 ちょっと明るくすればいいのも うんとこんなに明るくしちゃうことになる。 これは、カメラによって違うから、 特性をみて練習するしかないかな。 |
|
はい。もう1個、このゴリラですけど、 撮る高さってないでしょうか。 寂しく見える角度っていうか。 |
|
そうですね。 こういうときは先ず、 真っ正面から行くのがいいと思う。 人間て面白くて、心の目がちゃんと この実体を掴んでるんですね。 だから、まずは真ん前に行って、 真正面からばっと撮ってあげる。 あ、ちょっと違うなと思ったら、 やっぱこっちなんだっていう撮り方をした方が。 |
|
ちょうどここにいる山下さん、 このポーズをしてそこに座ってみてください。 それで、練習してみましょう。 |
|
そのために呼んだんですね! もう‥‥ |
|
えー、そんな、え、練習って、え、そんな。 | |
ハイ、公園にこういう子がいました。 |
|
ここは公園? | |
ほら、可愛い‥‥と思おう! | |
(笑)。 | |
さあ、真正面。 | |
大変ですね。大変ですね(笑)。 | |
こういう感じですよね。 真正面ですよね。 |
|
そうですね。 | |
こういうことですよね? |
|
いい笑顔が撮れた気がします! | |
(つづきます!) |