堀越さんの いろいろな掛け声
大向うの堀越さんへのインタビューが終了してから、
実際にいろいろな掛け声のパターンを
「ほぼ日」の和室で録音させていただきました。
このコンテンツの第1回〜7回までで、
すこしずつそれを公開してまいりましたが、
最終回となる今回、
録音させていただいたすべての声をご紹介いたします。
収録を行ったときの、
そのままの流れでお届けいたしましょう。
このコンテンツの、大団円をお楽しみください!

※威勢のいい音がしますので音量にご注意を。

ほぼ日


非常にやりづらいとは思いますが、
お願いします(マイクを向ける)。
堀越
ちょっと心の準備が(笑)。
ほぼ日
そうですよね、すみません(笑)。
堀越
とりあえず立ちますね(立つ)。
ほぼ日
はい、いつものスタイルで。
堀越
‥‥マイク、近くないですか?


ほぼ日
大丈夫です。
堀越
歌舞伎座くらいをイメージして‥‥。
とくに前ぶれなくやっていいですか?
ほぼ日
はい‥‥。
堀越
じゃあ‥‥‥‥
ほぼ日
ぅうわああああーーーー!
(大拍手)
すっごおーーい!!
(大拍手)
これ、これですよ!!
堀越
あとは、どうしましょう?
ほぼ日
もうずっと録音していますので、
解説を加えていただきながら、
いろいろなバリエーションを
堀越さんのタイミングで言っていただければ。
堀越
わかりました。
まずは「中村屋」でパターンがあるといいですね。
じゃあ、世話物とかで、
ちょっと短く掛けるようなとき。
セリフとセリフのあいだで‥‥

ちょっとしんみりした場面‥‥
あとはそうですね、花道の出で、
ちょっと派手に掛けたいとき‥‥
ほんとうに絞って掛けるときは‥‥
あと、ちょっと高めに掛けるとき。
高めにっていうのは、
女形の芝居だったりとか踊りとかで
ちょっと調子が上がっていくようなときですね‥‥
 
逆に踊りでしっとり決まるようなときだと‥‥
 
とまあ、中村屋さんはこんなところですか。
ほぼ日
じゃあ、今度は屋号を変えて。
堀越
別の屋号ですね。
何がよろしいでしょう?
ほぼ日
いや、もう思いついたもので。
堀越
じゃあ、「音羽屋」いってみましょうか。
ほぼ日
「音羽屋」。
堀越
尾上菊五郎、菊之助さんの屋号です。
ほぼ日
お願いします。
堀越
では‥‥
 
ほぼ日
おおーー!
(拍手)
堀越
今のは、どっちかっていうと強く、
見得のときとかに掛ける感じです。
で、花道を音羽屋さんが
出てくるときだったらちょっと張って‥‥
 
セリフとセリフのあいだだったら‥‥
 
あと、そうですね、
登場人物が腹を斬って死ぬような場面なら‥‥
 
ちょっとしんみりだったら‥‥
 
こんな感じですかね。
ほぼ日
いやぁ、すごーーい。
堀越
成田屋さんの荒事とかだと、
もうちょっときっぱりしてきますね。
ほぼ日
「荒事(あらごと)」というのは?
堀越
まあ、文字どおり荒々しいお芝居です。
勇猛な勇者や鬼が出てくるような。
ほぼ日
なるほど。
堀越
『弁慶』だと‥‥
 
という感じで、
今のは弁慶の出のところですね。
登場の場面。
団十郎さんの見得の場面とかですと‥‥
 
ほぼ日
‥‥すばらしい。
じゃあ今度は、
屋号でないものを何かひとつ。
堀越
ああー、そうですね。
では、「まってました」とかどうでしょう。
ほぼ日
いいですね、お願いします。
堀越
これにも何パターンかありますけど、
だいたいいちばんいい感じだと‥‥
 
ほぼ日
‥‥かっこいい。
しびれますね。
堀越
もうちょっと間がある場合は‥‥
 
屋号以外ですとあとは‥‥。
「ご両人」とかいきましょうか。
ほぼ日
はい、「ご両人」、
ぜひお願いします。
堀越
これはなかなか難しいんですけど‥‥
 
ほぼ日
あ、わりと強く。
堀越
場面によりますけどね。
今のは『吉野山』っていう踊りがあって、
そこで雌雛、雄雛つって、
こうピッて決まるところがあるんですけど、
そこなんかは今くらいのほうが引き立つ。
ほぼ日
へええ〜。
堀越
指と指をからめてるくらいの、
ちょっといい感じの場面だと‥‥
 
ほぼ日
はあ〜。
堀越
「ご両人」は意外ときっぱり決めてあげないと、
だらんとしちゃうんですよ。
屋号に比べるとフレーズが長いんで。
「ん」で終る言葉だから伸びないし。
ぴしっと決めないと、
「ごりょお〜に〜〜ん」ってなっちゃう。
ほぼ日
ああ〜(笑)。
堀越
あとは、掛け声の種類としては、
「紀尾井町」とか「神谷町」っていう。
ほぼ日
あ、はい、町の名前。
堀越
紀尾井町からいきましょう。
四代目・尾上松緑さんだったら‥‥
 
ほぼ日
いいですねえ。
堀越
じゃあ「神谷町」。
七代目・中村芝翫(しかん)さんの場合は‥‥
 
 
ほぼ日
ああ‥‥。
堀越
神谷町さん、芝翫さんは女形さんなので、
今のように強く掛ける場合もあれば、
もうちょっと弱く掛けることもあります。
それは踊りの時とか、こんな感じで‥‥
 


ほぼ日
なるほど微妙な。
堀越
まだまだありますが、
まあ、こんなところでしょうか。
ほぼ日
ありがとうございます。
最後にもうひとつ、
これは失礼なお願いでしたら
ほんとうに恐縮なんですけど、
「ほぼ日刊イトイ新聞」の公式のご挨拶に
「ほぼにちわ」というのがあるんですね。
堀越
ほぼにちわ、ですか。
ほぼ日
はい。
それをですね、
やっていただけないでしょうか‥‥。
堀越
はい? それを、
「大向う風に」っていうことですか。
ほぼ日
はい。
堀越
どんなイントネーションですか。
ほぼ日
ほぼにちわ。
堀越
ほぼにちわっ。
ほぼ日
あ、もうすでにいいです。
よろしくお願いします!
堀越
じゃあ一発でいきましょう‥‥
 
ほぼ日
わあぁ‥‥。
堀越
ちょっと絞ったのもいきましょう‥‥
 
一同
(大拍手)
ほぼ日
‥‥ありがとうございましたっ!
ばんざーーい!


一同
(大拍手)
ほぼ日
ありがとうございました、
もう、ほんっとにありがとうございました!
堀越
なんか私、遊びにきただけみたいです(笑)。
ほぼ日
(笑)
いやあ、すばらしい。
  (コンテンツは、これにて終了です。
 最後までのお付き合い、
 ありがとうございました!
 堀越さんの掛け声は、ずっとここにあります。
 いつでも聞きにきてくださいね)

2010-01-26-TUE

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