BUSINESS
恋はハートで。仕事はマジで!

第2回
会社は20%の人によって支えられ、
残り80%の人は、この人たちに食わせてもらっている。

「会社は20%の人によって支えられ、
残り80%の人は、この人たちに食わせてもらっている。」
ということがよく言われる。
これは組織であるいじょう仕方がない。
SWATとかNAVY sealとか、何かしら特殊で、
極めて明確なobjectiveをもった集団ならいざしらず、
通常の会社組織ではあたりまえのこと。

ならばどうだろう。
「20%の頑張る人用コース」
「80%のフォロアー用コース」を初めから設けてはどうか。
入社時に自分の好きなコースを選択するのである。

自分の人生設計をするうえでは、このほうがより効率的。
しかも、会社としても「頑張るコース」の人には、
思う存分やってもらうかわりに、
かなりのプレッシャーをかけられるわけで、
全体としてはプラスのほうが多いのではないか。

私が勤務している某コンサルティング会社では、
入社時にある種の「禊ぎ(ミソギ)」を行なわされる。
これは会社として正式に行なわれるわけではないが、
私自身は「そのように」理解した。
その「禊ぎ」がどんなものかというと、これがごく単純。
社訓を言いわたされるのである……。

まず、第一に「Client interest first」 、
第二に「Building the firm」。
この2つを遵守することが
できるかどうかの判断を迫られる。
たった2つではあるが、
その意味を深く知るにつれ、笑顔は消えていく……。

特にひとつ目の「Client interest first」。
日本語にすると“顧客第一主義”。
簡潔ではあるが、それゆえに意味深いものだ。
要は「今後コンサルタントとして人生を送るうえでの
すべての判断は“クライアントの利益”を
第一criteriaとすべし」ということである。

「提言内容をクライアントのためになるものにする」
という当然のことに加え、
例えば、「今週末の過ごし方をどうするか」
を判断する場合にも及ぶ。
クライアントのことを思えば
週末もぶっとおしで仕事すべき、
かと思うと必ずしもそうではなく、来週の月曜日に
「よりクリエイティブなことを思考しなくてはならない」
という状況だとしたら、
週末は精神に負担をかけないようにゆっくり過ごす、
という判断を下すといった具合だ。

また、我々はかなり高額のフィーを頂いているのだが、
この費用対効果をどのように最大化していくべきか、
という課題も、瞬間瞬間で判断しなくてはならない。

例えば、移動。
都内だと地下鉄が最速だと考えがちだが、
「本当の都心」(日比谷から霞ヶ関までとか、
西麻布から四谷までとか)での移動は、
駅のホームからビルまで歩く時間を含めて比較すると、
圧倒的にタクシーのほうが早い。

だとすると、
我々に費やされているフィーを考慮した場合、
少々のコストをかけても、タクシーに乗って移動した方が、
クライアントに対してはプラスになる。
要は少しでも早く目的地に到着できれば、
それだけ物を考える時間を増やせるということ。
それに、タクシーの中なら熟睡できるので、
そのぶんの睡眠時間を削って、夜に仕事ができる。

これだけの判断を瞬間瞬間にしていかなくては、
本当に「Client interest first」は実現できないのだ。

私の場合、
「ここまでのことを全人生におよんで実行しないと、
この仕事はできないが、それでもやるか?」
と入社時に問われた、という意味で「禊ぎ」だった。
これは「頑張る人用のコース」を提示された例であるが、
ここまで明確にされれば、
自分の人生をはっきりと定義できる。

入社したはいいが、何をやらされるのかわからない。
もしくは、やりたいことがあってもやらせてもらえない、
というのは、あまりにも悲しい。
せめて、「頑張る」のか「楽にいく」のかを
客観的に明確化できなければ、
不遇の人生を歩むしかないと断言できる。

そんな会社はすぐにでもやめるべき、あるいは、
今回のようなことを明確にさせるよう努力すべきと考える。
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>「ホワイトカラーのリストラが、
激しく実行されるようになる」と、
よく語られているのだけれど、
それを本気で自分のこととして考えているのは、
菅原さんの言う、いわゆる「20%」の側の
人たちばっかりだという気がするんだよねぇ。

あと、いったん戦略的に
「頑張らないコース」を選択して、頑張った方が
効果的に頑張れるんじゃないかなんて、
「モノポリー・ゲーム」好きの人なら考えそう。

もういっこだけ、
すっごいちっちゃなツッコミ入れていい?
少しでも時間のコストを小さくしようとするために
都心ではタクシーがいい、と。これは、わかるけど。
そこで熟睡できるから、
夜の睡眠時間が削れるってのは、
ちょっと、説得力ないよなぁ(笑)。
( darling )

1998-06-14-SUN

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