BUSINESS
恋はハートで。仕事はマジで!

第8回
外資系企業に憧れるなかれ、日系企業はきわめて優秀。



金融機関の不透明な取引が米国のマーケットで
批判の的になったり、年功序列、終身雇用がもたらす
非効率なオペレーションが問題視されたりと、
昨今、日本企業は何かとネガティブなイメージを
もたれることが多い。

これに対して外資系企業はどうかというと、
オープン、フェア、セクハラなし、格好いい、高給などと
圧倒的にポジティブである。
しかし、果たして本当にそうなのだろうか。

私は大学院を卒業してこのかた、
7年あまり社会人をやっている。
「7年社会人をやったくらいで何がわかるんだ」
と言われそうだが、
コンサルタントとしてはベテランである。
実際、弊社の100人のコンサルタントの中では
古いほうから10〜20番目。

要は、社会人生活のすべてを
外資系の会社で過ごしたことになる。
よって、日本の会社には勤めたことがないわけであるが、
クライアントの社内をよく観察していると大方察しがつく。
また、クライアントの中にはけっこう外資系もあるので、
他の外資系の内情もよくわかる。

こうして両者を比較してみると、
決して外資系が優れているとはとても思えない、
というのが私の見解である。
しかしこれはよく考えると当たり前のこと。
日本に居を構える外国の会社というのは、
要は出張所、もしくは支店。
組織として立派なものは作れない。
これは、逆に日本の会社の海外現地法人なんかを
想像してもらえればわかる。

まず、まずいのがバックオフィスの人材の質。
株のディーラーにしろコンサルタントにしろ研究者にしろ、
その会社のバリュープロポジションを担うポストには、
ヘッドハンティングによりかなり優秀な人材を揃えている。
しかしながら一方、そういった人材に費やしたコストは
バックオフィスの人間でカバーすることになる。
当然のことながら質は落ちる。

例えば、○○物産なんかでは、
商社マンのアシスタントが
早稲田出のかなり優秀な女性だったりする。
そんな人がアシスタントの仕事をやるのは
適材適所ではないのではないか、
とかいう人がいるかもしれないが、
これは言いかえると層が厚いということでもある。

一方、外資系ではどうか。
セクレタリーなどは、高卒で海外の秘書養成専門学校などを
卒業した人間がやっている。高卒が悪いとは思わないが、
やはり一般的な教養という面で劣るのは否めない。
言い過ぎを覚悟で思い切って言ってしまうと、
「単に英語がしゃべれるから」という理由で
採用される人もいるのだ。
外資系の会社に仕事で電話すると、
応対する女性の態度が横柄、
言葉遣いがなってないなんていうのはよくあること。

また、こんなこともあったと聞く。
経理部の人材の質が劣悪なため、
給料が多めに支給されてしまっていた人がいて、
本人もそれに気づかず
(これも問題だが)2年が過ぎた。
で、2年後、経理部がこれに気づき、
2年間払いすぎていた給料を
一括で返済しろと言ってきたという始末。
こんなことは普通の会社では考えられないことだ。

次の問題は、社内の基本的な仕組みが脆弱だということ。
前述のとおり、外資系は組織がなっていない。
例えば、人によって評価の基準が
違ったりすることがあったりする。
また、人によって昇給の回数が違ったりもする。
これは、評価体系の正常な運用をチェックする機構が
存在しないことに起因するが、
全くもって信じられないことである。

まるで、ママゴト、あるいは学園祭の様相を呈している。
こんなもの、明らかに「会社」ではない。
こうして外資系会社の実態をつまびらかにしてくると、
いかに日系会社が優れているかがおわかりになったと思う。
まさに、外資系企業に憧れるなかれ、である。

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>「敵を知り、味方を知る」ということは、原則ですよね。
そういう意味じゃ、
外資系(敵だってことではないんでしょうが)のことを、
妙に「すごいもんではないか」と思ってる学生たちとか、
ビジネスマンのみなさま方に、
今回の原稿はぜひとも読んでいただきたい。
「買いかぶるな。なめるな」と、言いかえてもいいですな。

あの甲子園準決勝のあとの松坂投手の言葉、
『ここで負けたらPLに申し訳ないと思った』には、
うらやましさを感じました。
ライバルって概念が、
すっごくセクシーなものに思えました。
( darling )

1998-08-24-MON

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