BUSINESS
恋はハートで。仕事はマジで!

第16回
「幅と歪みのある人生」


人生には「幅」と「歪み」が大切である。
まだ30年しか齢を重ねていないが、
これだけは確実に言えることだと思う。

人生の「幅」は、前回お話ししたように、
全く方向の違うベクトルをいくつ持っているかで決まる。
しかも、その大きさが1や2ではなく、
10000や9999であることが重要である
ということも申し上げた。

人生の「深み」は、現時点(30年如きの経験)では
何とも言い難い部分がある。
きっと「深み」というものは、
「深めよう」と思ってできるものではなく、
「結果」としてそうなっただけ、
ということではないだろうか。
ロジックでは計り知れない。

これに引き替え、「幅」は、
自らの能動的な努力によって獲得できるものだ。
これを説明する別の言い方として
「何にでもチャレンジしろ」という人がいるが、
これは少し違う。
コンサルタント的に言うと、
チャレンジする対象を「戦略的に」選ぶことが
非常に重要となるのだ。

そもそも皆さんは「自分」という「コンセプト」を
持っていらっしゃるだろうか。
人生を有意義に過ごすためには
「コンセプト」は必要だと考える。
別の平易な言い方をすると「その人らしさ」、である。
何をするにしても、何を買うにしても、
何を言うにしても、その「コンセプト」に従うのである
(ただし、これは飽くまで自然にそうならなければ
 ならないもので、無理にやるべきものではない)。

おそらくは、この「コンセプト」を
いかに魅力的なものにするか、という視点で
「戦略的に」チャレンジする対象を選ぶことが、
その人の人生を決めてしまうと言っても過言ではない。

これはそんなに難しい話ではなく、
単に「どうありたいか」ということである。
自分の胸に手を当てて考えて欲しい。
実は、どんな人でも真剣に考えれば
「見つかる」ことだと思う。
真剣に考えることが面倒なだけだ。
決してさぼってはいけない。

「歪み」ということについて。
なぜ地震がおきるかというと、
プレートテクトニクスにより長い間かかって歪んだ地殻が、
その歪みに耐えきれなくなり元に戻ることにより生じる。
いかに「歪み」がパワーを生み出すかが
おわかりになるだろう。

人間もそう。
必ずしも好ましいことではないが、
「歪み」があることによってのみ、
outstandingなことができるのだと信じる。
要は「逆境」を乗り越えてのみ、
本当のPowerが発揮できるものだ、ということ。

時に、完全無欠のエリートで、何の苦労もなく
成功しているように見える人がいる。
しかし、こういう場合、この人が
「本当に凄い」とするならば、
(そうでない場合、この人はゴミである)
その人は誰にも分からないように、
自分で「プレッシャー」や「逆境」を
人工的に作りだしているのだと思う。

例えばアイルトンセナという、
もう伝説となったレーシングドライバーがいる。
彼は恵まれた裕福な家庭に育ち、
幼いころからレーシングカートを与えられ、
エリートとしてレーシングシーンに現われた。

その結果、Formula 1の世界では、
最も偉大なドライバーの一人となり、
結局故人とはなってしまったが、生前は驚くべき記録と
人々の胸にかけがえのない感動を残していった。
はっきり言って日本人にはたまらない。

一見、彼は単なるエリートとして捉えられるが、
ここまで彼を英雄たらしめた事実の裏には、
恐ろしいほど自分を追いつめ、崇高な目標を掲げて
自分の限界に挑んでいく、人工的な「歪み」と
「逆境」の環境があった。
その姿に全てのレース関係者、ファンは
心動かされたのである。

これは「好き嫌い」の問題ではない。
どんな人でも、人工的に「歪み」は作り出せる。
ちょっとしたことでいい。
「なにくそ」と思う、その心が大切なのだ。
全てのものに、簡単に「賛成」してはならない。
全員が賛成できるようなものは
「人を殺してはいけない」という命題くらいなものだろう。

絶対に「賛同」してはいけない。
まず「反対」すべきた。
「歪め」。
必ず、あなたのニーズに反する点があるばずだ。

また、自分のやっていることが
許せないようになった方がいい。
満足したら終わりだ。
その人はこの世に生きている理由がない。

常に問題意識を持て。
ただし、「自己嫌悪」はいけない。
自分を愛したほうがいい。
その上で、足りない部分を「許さない」ことが大事だ。
忌み嫌え。
そして改善しよう。

成熟した人間として「歪む」ことが大切である。
ガキが「歪」んでいたら、単なるパンクだ。
(パンクは駄目。ヘビメタが最高。
 彼らは若くして「歪み」ながら「成熟」している)

つづく 

1999-06-14-MON

BACK
戻る