恋はハートで。仕事はマジで! |
不安の効用 不安が人を駆り立てる。 人は、不安があるから努力する。 放っておいても大丈夫だと思うことに対しては、 努力などしない。 しかし努力しなければ全くうまくいかない。 「不安材料がある」とよく言うが、 これほど希望に満ちたポジティブな言葉はない。 不安材料があるから、改善が行われるのである。 No pain No gain、ならぬ、 No concern No gainといったところだろうか。 中世ヨーロッパのルネサンス時代には、 レオナルド・ダ・ビンチに代表される 「万能人」という天才がいた。 彼らは、いわゆる理系だの文系だのという 意味のない括りではカテゴライズできない。 芸術家であるとともに、物理学者、医学者でもあり 建築家でもあった。 要は人間として「力」のある人だったのであろう。 この万能人の力の源泉は、 不安に立脚した努力であったといわれている。 不安があるから準備する、不安があるから練習する、 不安があるから研鑚する、 全ての成功は不安がドライブするのである。 楽観的で成功する人もいるが、その場合の「楽観」は、 実は相当の不安の裏返しであり、 物事を行う際の精神状態を安定的に保つための 一つの方法に過ぎない。 そうではない場合、要は単に楽観的な人は、 必ずといってよいほど成功しない。 私は、不安なことがないと不安になる。 仕事をしていても、 「おや、今回はうまく行っているぞ」などと、 ほんのかけらでも思ってしまったら、それでおしまい。 とんでもないことになる。 相当高い次元で仕事をしている場合に限るが、 その瞬間は「うまく」いっていても、 「不安に基づく緊張感」が解けてしまったら最後、 絶対うまくいかなくなる。これは経験則だ。 人工的に不安を作り出すことが必要だ。 これも努力のうち。 安心している状態を 「コンフォート・ゾーン(comfort zone)に陥る」 と表現する。 自分で決めたある期間(半日とか)の間、 心を安め、体を休め、リフレッシュすることは 絶対に必要だが、 それが1週間〜1ヶ月くらい続くとなると、 それはもう「コンフォート・ゾーン」である。 毎日が楽しくて仕方ない、という人がいるが、 これは完全に「コンフォート・ゾーン」に陥っている。 成長は止まるし、何も新しい世界が見えてこない。 「仕事を任されている」とか「やりがいがある」とか 言って喜んでいる人を見かけるが、 こんなものは論外である。 「喜んでいる」時点でアウトだ。 「(こんな重大なことを)任されてしまった」とか 「こんなことやって失敗したら どう責任を取ったらいいんだ」と、 毎日顔面蒼白になるくらいでないと、 ビジネスマンとしては失格といえる。 優秀なビジネスマンは、 その「顔面蒼白」を表に出さないだけであって、 心の中では常にビビっているはずだ。 要は「コンフォート・ゾーン」から抜け出そうと 努力しているのだ。 不安をうまく活用できない人には 個人としての成長がないだけではなく、 その人が 上場企業で仕事をされているビジネスマンだったら、 企業の成長を望む株主に対する背徳である。 今すぐ会社を辞めなくてはならない。 |
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2004-02-13-FRI
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