PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙93 紺野さんからのメール2

こんにちは。

もう一年近くも前になりますが、
ここで、胸が痛い時、というシリーズを
やったことがあります。

この時には
虚血性、つまり、血の巡りが悪くなることで起こる、
心臓の病気・狭心症や心筋梗塞について
どうして起こるのか、とか
どんな症状が伴うのか、とか
本人がその時にすべきことは何か、などについて
何回かに分けてご紹介しました。

虚血性疾患がどうして起こるのか、
ということについてご紹介した日に
沖縄の栄養士・紺野さんからメールをいただきました。

虚血性の病気が
心臓で起これば心筋梗塞(心臓発作)ですし
これが脳の中で起これば脳梗塞(脳卒中)です。

脳外科のある病院で働いていた紺野さんは
脳梗塞を起こしてしまった患者さんに対して、
病気の再発を防いで
少しでも長く、元気で過ごせるように、
今後の食生活を見直すことについて
お話をする機会がよくあるので、
その際、ほぼ日でのわたしの話を使ってもいいか、という
問い合わせでした。

もちろん、わたしの話がお役に立つのなら大歓迎です。
ぜひ、使ってくださるよう、お返事を書きました。

その後、どうなったかなあ、と思っていたところ
先日、紺野さんから再びメールをいただきました。

思いがけない展開に、
わたしは、今後ほぼ日でどうやっていくべきか
ちょっと考えてしまいました。

今後のわたしの問題については
後でゆっくり考えることにして、
ここで紺野さんからのメールをご紹介します。
------------------------------------------------

すごくすごく以前に、
「本田さんの文章を栄養指導に使わせて!」と
お願いしました紺野です。
すごく遅くなりましたが、
結果を報告いたします。(笑。遅すぎますね?)

あの後、本田さんの文章を
プリントアウトして傍らに置き
2、3週間栄養指導を行っていましたが、
これで私、大変なことに気付いたのです。

それは、解り過ぎたら、怖いんだ、ということです。

若い人ほど理解が早く、
自分の体の中で起こっている事が何なのか、
解った途端に表情が凍るのです。

その後はもう、私が何を言っても、
ショックのあまり上の空で、
肝心の「だから、食事で注意が必要なのですよ。」まで
聞き取ってはくれませんでした。

それでやむなく
本田さんの文章を使うのを止めました。
一ヶ月も続かなかったと思います。

これは、私のカウンセラーとしての
力不足もあると思います。
どこを省き、どこに力を入れて説明すれば良いのかと、
考えもしましたが、上手く出来ませんでした。
確かに、多少ショックを受けさせたほうが
食事にも気を使うようになるのでしょうが、
「よし、これから頑張ろう。」と思っている人と、
「怖い怖い、どうすればいいんだ・・・。」と
凹んでしまった人の表情はあまりにも違い、
「本人の体調が余計悪くなったら?」と
私自身も怖くなってしまい、止めました。

よって、それ以降は、のほほーんとした受診者を前に
「もう少し真剣になれよー。」と思いながらの
栄養指導が続いておりました。

なぜ過去形かといいますと
仕事を辞めたからなのですが、
私実は5月より、ペルーに行くことになりました。
英語もスペイン語も
「こんにちは。」しか言えない私ですが、
初の長期一人旅に出ます。

縁があって内地から沖縄に来て
またここで縁をつくって(?)ペルーに行きます。
日系一世のお家にステイもする予定なのです。

と、言うわけで
たまにはペルーからも「ほぼ日」を読もう!と思いつつ、
ご報告させていただきます。
なんか、話がそれましたが
栄養指導の件、ありがとうございました。
それでは、お元気で!!

---------------------------------------------------

ほぼ日でスペースをいただいてから
まる2年になります。

この間、読んでくださった方々から
たくさんのメールをいただきましたが、
そうかーと、こんなに驚いたものは久しぶりでした。

もうちょっと、
どなたにも笑顔で受け取っていただけるような
内容にしていった方がいいのかもしれません。

病院で働くようになって数年経った頃から、
わたしは、患者さんや
患者さんになる前の方々と同じ土俵で
(英語では「同じページ」で、と言うみたいです。
似てますね)話ができないかなあ、と
考えることが多くなってきていました。

そんなとき、ほぼ日で書いてみないか、と
糸井さんに誘っていただいて、
「ここでなら、今考えていることができるかもしれない」
と思い、始めてみることにしました。

そして、今、わたしはあの時に
糸井さんに声をかけていただいたことを
心から感謝しています。

健康について最終的な責任をとれるのは
そのご本人自身だけだと思います。
そして、わたしたちは
できるだけその力になることができるよう、
毎日の仕事を続けています。

今後も、ヘルスケア・プロフェッショナル、というか
まあ、健康についてはどちらかというと詳しい者として
「これを知っておくと、いいんだけどなあ」
ということについて
ご紹介していきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

では、みなさまどうぞお元気で。

本田美和子

2001-04-22-SUN

BACK
戻る