第41回 |
|
カメラ付き携帯電話の楽しい使い方。 |
カメラ付き携帯電話で撮影した
2001/10/06〜2001/10/14の空。
(クリックすると拡大します)
自分が出会った人たちを、
出会ったものたちを、
その時見つけた新しい発見といっしょに、
誰かに伝えたいと思うのは、
写真の大きな楽しみのひとつです。
そして時には、自分自身のために、
そういった瞬間を残しておくというのも、
とても大切なことなのではないかと思っています。
道具がなんであれ、同じように撮り続けることで、
生まれてくる写真もたくさんあります。
最近では、すっかり携帯電話も普及し、
ほとんどの機種には“カメラ機能”が付いていますが、
プロの写真家にとってもこの機能は、とても魅力的なこと、
とても楽しいことなのではないかと思っています。
おそらく、皆さんの携帯電話の中にも、
大切な家族の写真や、
あるいはとても大好きな何かが、
たくさん入っているのではないでしょうか。
もちろんそれだけでもすてきなことなのに、
撮ってすぐに携帯メールといっしょに
送ることだって出来るのですから、
面白くないわけがありませんよね。
ということで、今回は“カメラ付き携帯電話”のお話です。
仕方なく使った携帯電話で、
「今日の空」は始まった。
実は、ぼくはずっと「フイルムカメラ派」でした。
今でこそデジタルカメラを
毎日のように持ち歩いていますが、
現在、毎日更新している
「今日の空」を始めるまでは、
今のような使い方はしていませんでした。
ところがある日、とてもきれいな空に出会って、
「この空を撮っておこう!」
と思ったとき、残念ながらその時ぼくは、
カメラを持っていませんでした。
カメラマンなのに、カメラがない!
そこで、仕方がなくカメラ付き携帯電話で、
その空の写真を撮りました。
そしてまた次の日も、何となく気になって、
同じように空を見上げると、
そこには、また昨日とは違う空があって、
今度は、その空の中でかわいい雲が漂っていました。
そして、その日もカメラ付き携帯電話で空を撮りました。
そんなことを毎日繰り返しているうちに、
ぼくの携帯電話は、“空の写真”で
いっぱいになってしまったのでした。
そして、そうやって写された
携帯電話の中の空の写真を、
何度も繰り返し見ているうちに、
ぼくは、当たり前のことではあるのですが、
同じ空が一枚もないことに気が付いたのです。
空の写真を何となく観ているだけで、
その日にあったいろいろなことを
思い出すことが出来るほどに、
空は一枚一枚、違っていました。
このときに、気づきました。
たとえカメラ付き携帯電話であっても、
ただメモのように記録するだけではなく、
やり方によっては、写真そのものを
楽しむことだって出来るのだと。
そんなことがきっかけで、
現在も毎日更新中のぼくのブログ
「今日の空」は始まりました。
携帯電話は「毎日持ち歩くカメラ」。
もちろん、“カメラ付き携帯電話”さえ
あればいい、というわけではありませんが、
あえて乱暴な言い方をすると、
写真を撮ろうとするとき、
要はカメラなんて、何だっていいのだと
ぼくは考えています。
もともとカメラという道具は、
少しでもあなたが感じた何かを
“一枚の写真”というかたちに残しておくために、
あるものなのですから。
とはいうものの、最近のカメラ付き携帯電話は
たしかにカメラの性能もかなり向上してきましたが、
それでも、あくまでも内蔵カメラですから、
レンズだって小さいですし、
たくさん光を取り込むことが出来ません。
そのせいで、どうしても特に暗いところで撮ると、
なかなか思うようには撮れないものです。
そんなわけで、ちょっとブレやすい
という欠点もあるのです。
だから、カメラ付き携帯電話で写真を撮るときは、
出来るだけそのことを注意して、
目線と同じ線上に、しっかりと手を伸ばして、
撮ってみてください。
そうすることで、かなりブレにくくなりますので、
ぜひ、試してみてくださいね。
とにかく、カメラ付き携帯電話の最大の利点は、
やはり何といっても、いつでも気軽に撮れる、
ということなのではないでしょうか。
まずは、別に空でなくてもかまいませんから、
毎日同じものを撮ってみるのも
面白いかもしれませんね。
たとえば、植木に水をあげるときに
大切な植木を一枚。
かわいいペットを毎日一枚。などなど。
そうです。何だっていいのです。
まずは、気楽に毎日あなたのそばにあるものを
一枚一枚撮ってみたらどうでしょうか。
それだって、きっと難しい写真の勉強をするよりも
ずっと簡単に、写真を撮ることの練習になるはずです。
そして何よりも、そうやって続けていくうちに
必ず新しい発見だってあるでしょうし、
そこからはじまることだって、
もしかしたら、あるのではないでしょうか。
今回は、カメラ付き携帯電話の話をしていますが、
第5回「ほんとうに正しい、カメラの選び方。」
でもお話ししましたように、
世の中には、たくさんのカメラがあります。
そして、ぼくは“カメラ付き携帯電話”も、
その中のひとつだと思っています。
逆にいうと、いつも持ち歩いている
気軽な“カメラ付き携帯電話”だからこそ
撮ることが出来る写真だって、
たくさんあるはずですよね。
実はぼくも今、新たに“カメラ付き携帯電話”を使って、
空ではない写真を、毎日撮っています。
そんな写真も、近いうちにお見せできると思いますので、
楽しみにしていてくださいね。
カメラというのは何であったとしても、
あくまでも写真を撮るための道具です。
だから、そのことを忘れないで、
いつでも、楽しく写真を撮って欲しいと思っています。
そしてもしも、その中から一枚でも
好きな写真が撮れたならば、
そこから、もっと好きな写真を撮るために、
時にはデジタルカメラを使ってみたり、
より写真的な写真を撮るために、
フイルムカメラを使ってみたらどうでしょうか。
そうやって写真をたくさん撮って、
それを楽しむことが出来るようになったら、
その時にはじめて、道具の選択も含めて、
必ず新しい方法が生まれてくるはずです。
そして、そんな時が来たならば、
その時にこそ、あなただけのとっておきの
大切なカメラを1台、手に入れてみてください。
そのときに、一気にまた新しい世界が拡がっていきますよ。
*ただし、いくら簡単に写真が撮れるからと言っても、
くれぐれも、マナーだけは
忘れることがないようにしてくださいね。
あれから5年後、
GR DIGITALで撮影した
2006/10/09の「今日の空」より。
(クリックすると拡大します)
次回は、
「いい写真を見つけるために、
プリントをしてみよう。」
というお話をします。お楽しみに。 |