しかし、そのように
「みんながわからない問題のみを解いて
かっこよさを増大さす」
というようなニッチ手段を使っていては
国公立受験の科目数には
追いつかないんじゃないでしょうか。
「そこはもっと
Think Bigです。
京大に入ったら、モテる。
モテますよ。
ぼくが本格的に京大をめざして
勉強をはじめたのは、高3の夏です」
当時つきあっていた彼女が
同志社大学に行くということを耳にして、
国立大学進学のみ許されていたとうじ君は、
俄然おなじ「京都」の「京都大学」に
まっしぐら体制を取ることになりました。
女の子のパワーってほんとうにすごいんだね!
読者のみなさまから寄せられた、
マジでガチな勉強の質問、相談に、
「ほぼ日」とかかわりのある
「意外に高学歴な人たち」が答えます。
勉強の質問がありましたら、
上の「勉強や絵の質問をする!」ボタンから、
気軽にメールしてくださいね。
勉強の話をしている集団に入るために、
とうじ君は何をやったのでしょうか。
「とにかく、女の子がわからないと思うような
項目の勉強をしていくんです。
授業が終わって、みんなが
『あそこ、よくわかんなかったね』
といっていることを聞き耳立てておいて、
勉強していって
『あ、そこ、こうだよ』と教えてあげるのです。
よく、『チャレンジ』のDMのまんがとかで
『あ、そこ、やります』
と手をあげる人いるでしょ?
先生が
『みんな、この分野の問題は無理そうだな。
だれかわかる奴いるか?‥‥しかたない、
おい●●、やってみろ』
と言われて、スッと黒板に出て解く人です。
あれになりたかったんです。
あれ、モテますよ」
当然モテますね。
いままでシャツを出しても出しても
まったくモテなかった人でも。
「女子との会話が増えていきます。
高校生クイズ大会に出ているような
かしこい人というのは、
7割がたは『もともとくわしい人』です。
でも、3割はジャンル型の
ニッチな人です。そういう役回りなんです。
人があまりやらないことをやる。
みんなが難しがることからやる
そしてモテる」
姑息! とっても姑息!
でも、雑用でキャプテンやってた
とうじ君だからこそできたことかも!
シャツを出すって、あーた‥‥‥、
でも、高校で女子とふれあった
とうじ君は、
イモムシが蝶になってはばたくように
目覚めていきました。
「イケてる男子というのは、
勉強の話をしている男子、
体育会の部活で輝いてる男子、
バンド系の男子、
その3つに分かれていました。
そして、それぞれのグループでつるんでくれる
女子がいるわけです。
ぼくは、先ほど言いましたように
スポーツと音楽がまったくダメでしたので、
かろうじて入れるのは
勉強でイケてる集団でした」
そのような2大事件を経て
みごと共学の長田高校に入学された
とうじ先生は、
中学と同様、ふたたびテニス部に入部しました。
そして、勝ち取った共学の学園生活を
満喫しようとしていたとき、
大きく気づいたことがあったそうです。
「なんだか、女の子たちに
『頭のいい人がかっこいい』という
空気があったんですよ」
そんなもん、あたりまえや!
成績がいい人、頭のいい人は、
女の子はみんな好きですよ!
「それに男子が気づけるのは‥‥
残念ながら、高校に入ってから、
くらいなもんですよ」
ひぃえええええ。気づけや!
じゃ、それまでは、
何でモテると思ってたんですか?
「シャツを出して着る、とか」
し、シャツ?
「刈り上げてない、とか
ぼっちゃん刈りじゃない、とか。
これでモテると思ってました」
「もうひとつのきっかけは、
高校受験よりさかのぼること半年、です。
じつは中学3年の夏休み、
母親が体調をくずして入院したんです。
いつも『勉強せぇ』と怒る人が
とつぜんいなくなりました。
なんでもいいよ、せんでもええよ、
という毎日が
ぼくにやってきたのです。
よく、親に『勉強しろ』と言われると
『いまやろうと思ってたのに!』
と、かえってやる気が失せる、
などといいます。
でも、そのときって、ほんとうには
やろうとはしてないですよね。
勉強しろと言われたり怒られたりすることが
いつまでもいつまでも来ないと、
人間は不安になります。
そして、ぼくは勉強するようになりました」
とうじ君は、得意な「雑用」力をいかして、
中学では生徒会の図書委員長という、
これまたそんなに花形ではないかもしれない
シブいポストで活躍したりもしました。
「勉強もスポーツもイマイチ」
であるにもかかわらず
得意な「雑用」で、生きる道を得てきた
とうじ君が、京大現役合格までたどりつく
道筋をお話しいただくことにいたします。
勉強をするようになった大きなきっかけは
ふたつありました。
「ひとつめは高校受験です。
ぼくは公立高校をめざしていましたが、
親に言われて『すべりどめ』の私立高校も
受験しました。
そこが、男子校だったんです。
男子校だということを知らずに
受験会場に行きました。
当然、会場には男しかいない。
びっくりしました。
ぼくは決めました。
必ず公立高校(共学)に行こう、と。
そこから猛烈に勉強しました」
つまりは私立受験から公立受験までの
その短いあいだに、
めっちゃ、勉強したんですね。
ちなみに私の子どもは男子校で
自分は女子校出身ですけど、
いいもんですよ、男子校も女子校も。
では、京大のとうじ先生、
よろしくお願いいたします。
いまなぜほぼ日の「経理」なのかというのは
別にして聞きますが、
京都大学法学部ということは、あれですね、
お小さい頃から成績はよかったんですか?
「いや、わりとダメでした。
特に、中学まではまるでダメです。
英語の時間に、マイケル・ジャクソンを
みんなの前で『ミカエル・ジャクソン』と
読んでしまってから、
英語が苦手になりました。
英語と音楽がとにかくダメで、
しかもスポーツもぜんぜんできない、という
パッとしない生徒だったと思います。
中学では、スポーツができないくせに、
テニス部に入りました。
ぼくはおそらくほめらて伸びるタイプで、
そのときにほめられることといえば
雑用だったんです。
人があまりやらないことをやれば、
ほめてもらえるものです。
雑用ばかりやって、いちばん雑用がうまいので、
キャプテンをしてました」
とうじ先生はものすごくていねいに
みなさんからいただいた相談に
目を通しています。
「いま、ぼくがご相談を選んでしまったら、
このあとの先生方がその相談を
選べなくなってしまうので、
申しわけないので、責任は重大です。
慎重に選びます」
そこに、ニシダくんがやってきました。
「お、『勉強の夏』サイドは
とうじ君がトップバッターですか。
でも、ぼくは、勉強は、だめだなぁ、
相談には答えられない。
だって、勉強は社会に出て
役に立ってる実感がないもの」
そうですね。私もけっこうそのタイプ。
「役に立っているのはなんですか?」
生まれ育ちかなぁ。
「わああぁ、たしかに。
あとは恋愛ですかね」
恋愛ね。特に男の子はそうかもね‥‥と、
まじめにメールを読むとうじ君の横で
勉強を否定してしまうかのような
会話をくりひろげました。