川島小鳥さん、祖父江慎さんといっしょに 福井あわら温泉ぽかぽかカニ歩き

sugano

写真との関係づくり

2017/01/21 15:31
祖父江さん
「今回の展覧会の特徴は
小鳥さんが写真との関わりについて
どう思っているかということが
全面に出たと思っています。

これまで美術館でやる写真展は、
写真を額に入れて、ストレートに、
いいものですから見てください、
というものでした。

だけども、今回の展覧会は
写真を小さくしたり、
きちんとしたプリントのものもあれば
ざらざらしたものもある、
プレートにしてさわることができたり、
動いたり、穴に顔を突っ込んで見たりできます。
突っ込んだ穴の隣にも穴があって
もしかしたら、出会いの場になるかも!」

小鳥さん
「写真は出会いですから。
あの穴で誰か出会って
結婚しないかな?
穴で、思ってもなかった知らない人と
目があって、
見る気持ち、見られる気持ちも
味わうことができます」

祖父江さん
「このように、小鳥さんは
写真との関係が濃厚で
写真とやりとりできる、
写真といっしょに生活できる、
というようなことを
やろうとしている人だと思います。
だから、ごらんくださるみなさんも、
この展覧会のタイトルどおり
遊んでもらって、
自分は写真とどんな関係をもつのか
考えるきっかけにしてもよいのではー」
sugano

最初は映画をやろうと思っていた

2017/01/21 15:20
小鳥さんは、最初から
写真家をめざしていたわけじゃなくて、
ある時期は映画をやろうと
思っていたそうです。

「映画って、チームで作りますよね。
当時はなんだか、
人の意見に嫌って言えなかったんですよ。
だけど、写真はひとり。
根暗でも写真なら、
けっこうできるところあるから‥‥」
sugano

なぜそんなに瞬間を切り取りのがうまいの?

2017/01/21 15:12
祖父江さん
「ぼくは、人に
写真を撮ってもらうこともあるし、
撮影の現場にたちあうこともあるんだけど、
シャッター音ってわりと聞こえるわけ。
小鳥さんのシャッター音は、
シャッター切る数も多くないし、
とてもリズミカルなんですよ。
あれは、なんですか?
すこし未来に(シャッターを切る瞬間)に
その人のいい時期が起こるとわかって、
指が動くんですか?」

小鳥さん
「ぼくは前から、
いつも過去にもどりたいと思いがちでした。
高校生のときは中学生に戻りたくて、
中学生のときは小学生に戻りたかったです。
どちらかというと、
時間をとめたいと思ってたのかもしれません」

祖父江さん
「そっかー」

小鳥さん
「あ、でも人から、
小鳥くんはシャッターで人を殺してるって
言われたことがあります」

祖父江さん
「ああ、そうね。
小鳥さんがシャッターを切ると、
それがその人の
いちばんいいときになっちゃう」

小鳥さん
「いや、そうじゃないと思う」

祖父江さん
「小鳥さんってさ、きゅうにいなくなるでしょ?
いるのに存在感がないってことあるの。
あれは写真家として
すごい才能なんだけども、
そのへんは鍛えられたの?」

小鳥さん
「もともと存在感はないし(笑)、
でもいつも、写真を撮るためには
そうなりたいと思っていました。
半分気体になってるというか‥‥」
sugano

コントロールできない

2017/01/21 15:06
小鳥さん
「写真って、コントロールできないんですよ。
昨日までいい写真がとれてたのに
撮れなくなるかもしれないし。
写真はいつも、
何かに出会うことで
成り立っていくものです。
だから、当然、
予期せぬものに出会っていくわけです。

たとえば『未来ちゃん』だったら、
あの子は写真を撮ってもガン無視でした。
撮ろうとかまえるとパーっと
どこかにいっちゃったりして、
ぼくは佐渡にいるあいだ、
シャッターを切る瞬間をいつも待っていました。

もちかえったフィルムを現像したら、
なんかいいなと思った。
知り合いからもそういう意見があって、
あ、そうなんだな、と思いました」
sugano

計画嫌い

2017/01/21 14:57
祖父江さん
「今回、展覧会の準備のために
小鳥さんに会ったときに、
急にパツキンになってるのに
まずびっくりしましたね」

小鳥さん
「髪ですよね。
これは、大阪で髪を切ったときに
たまたまその人が
髪を染める方だったので、
やってもらったんです」

祖父江さん
「小鳥さんは、ほんとうに
計画をたててそのとおりにやるのは、
やらないよね」

小鳥さん
「計画立てるの、いやなんですよ」

祖父江さん
「でも、小鳥さんは遅刻しないよね〜」

小鳥さん
「そうですね、祖父江さんは
遅れますか?」

祖父江さん
「‥‥‥‥‥」
sugano

小鳥さんのいいところ

2017/01/21 14:48
小鳥さん
「ぼくの写真って、
すごくわかりにくいと思うんです。
どこがいいのかというのを
言葉で説明するのがむずかしい」

祖父江さん
「写真家の方ってたいてい
テイストとかあるけど、
小鳥さんはそういうのがないんですよ。
だけれど、たとえば人が変わっていく段階の
あるひとつの境界線のような瞬間に
シャッターチャンスがあるとしたら、
そのシャッターを切るのがものすごくうまい人、
それが小鳥さんなんです」

小鳥さん
「そうやって言葉にしてくれるのも
祖父江さんだし、
自分のことをずっと見てくれて
心配してくれてたのも祖父江さんです。
ですから、今回の展覧会はぜひ
アートディレクションを祖父江さんに
お願いしようと思ったんです」
sugano

最初に小鳥さんの写真を見たとき

2017/01/21 14:36
祖父江さん
「最初に小鳥さんの写真を見たとき、
いい写真がいっぱいあって、
どうしようかな、と思いました。
ぼくが直接プリントを見せてもらったときの
幸福感を、本を買った人にも味わってほしいし、
同じように見てもらおう、と思いました。
ですから、横長で、
パカっと大きく開く装丁にしました。
コデックス装という
一般的ではない加工でした」

小鳥さん
「あのとき、帯に大きく
川島小鳥、という名前を
入れてくださいました」

祖父江
「あれは『未来ちゃん』という作品集
だけれども、川島小鳥さんが撮ったんだよ、と
わかりやすいほうがいいと思ったの」

小鳥さん
「そのときから、なんとなく祖父江さんは
ぼくのことを見ててくれて
これからどうしていくんだろう、と
心配してくれている気がしていました」
sugano

であいはそもそも

2017/01/21 14:21
小鳥さん
「『未来ちゃん』を佐渡ヶ島で
撮りはじめて
最初、自費出版の写真集をつくったんです。
それを見たナナロク社の方が
正規の出版で出しましょうと
声をかけてくださいました。
だけど、もしやるなら、条件があって、
デザインが祖父江慎さんだったらやりたいと
言ってみました。
そのころぼくは祖父江さんと
面識はありませんでした。
もちろん作品は知っていましたけれども」

祖父江さん
「そうだっけ?」

小鳥さん
「『未来ちゃん』を撮りはじめたとき、
楳図かずおさんの
ドキュメンタリーを見たんです。
そのときのキャラクターがすごいな、と思って」

祖父江さん
「あのドキュメンタリーを見た人たちから
楳図かずおさんに動きが似てて
赤塚不二夫さんに顔が似てる、って
よく言われました」

小鳥さん
「未来ちゃんは、生命力が
爆発しているような女の子だったので、
そういうスピリットを持ってる人に
やってもらいたい、と思ったんです。
で、断られると思ったら‥‥
引き受けてくださった」

祖父江さん
「ふふふ、うれしかったですよ。
昔のことをいま聞くと照れますね」
sugano

トークはじまりました

2017/01/21 14:03
川島小鳥さんと祖父江慎さんの
トークイベントがはじまりました。

会場にはたくさんのお客さんが
集まっておられます。

祖父江さん
「まずは、ふたりの出会いが
なんだったか、お話しましょうか」

小鳥さん
「ぼくと祖父江さんの出会いについて、
ということですか?」
sugano

トークイベント会場です

2017/01/21 14:00
柿ソフトを食べた我々、
心置きなくジャストタイムで
金津創作の森アートコアに
到着しました。

これから、
川島小鳥さんと
祖父江慎さんの
トークイベントがはじまります。