1今日の落としもの
わはは がんばれ
たびたび通る道に
鏡のかけらが落ちていました。

車のミラーの破片なのか、
粉々の銀色のなかに
一片だけ大きめのひとつがあって、
そこを通るたびに、いつも覗いていました。

角度によって桜の木の枝が映っていたり、
曇り空が映っていたり、
季節が変わって新緑を映したり、
雨に打たれて水滴まみれだったり。

わたしは鏡のかけらに愛着がわいて、
それがまだ落ちていると
安心するようになりました。

冬になり鏡の上に雪が降ると、
存在がわからなくなってしまいました。
雪かきのときに
どこかへ行ってしまうかもと思っていたけれど、
春になったらちゃんと
地面に鎮座していてくれました。

季節が一巡するまではたしかに落ちていて、
一年半くらい経ったある日、
鏡はなくなりました。

いつもその場所で下を向いて
空を覗き込んでいたので、
以来とても寂しいです。

(粒子)

2026-08-29-SAT